サムスン電子ジャパン「Galaxy S25 Ultra」は、同社スマホの中でも上位モデルだ。

【テーマ】スマホのAI機能を使う

スマホの翻訳が想像以上に実用的だ

今回は、AIによる翻訳・通訳機能を紹介する。例として取り上げるのはサムスン電子ジャパンの「Galaxy S25 Ultra」だが、海外出張で何度も便利に活躍してくれている。実際に使って感じたメリットや課題などを紹介していこう。

Galaxyの翻訳・通訳がすごい

 外国語が苦手だという方は少なくないだろう。数年前なら語学学習をするべきだと考えただろうが、昨今はAIによる翻訳や通訳で十分だと思い始めた。僕自身、中国語やフランス語を学んでいたことがあるのだが、なかなか身に付かない。そうこうしている間に、AIによる翻訳が圧倒的に進化し始めており、かなり実用的になってきている。

 例えば、英語が喋れる方でも、中国や韓国、フランスなどに出張に出かけると、言葉が分からないことも多いだろう。そんな時にも大活躍してくれるはずだ。

 翻訳や通訳と聞くと、Google翻訳などを使って、短いやりとりを見せる——と思うかもしれない。だが、最近はもっと機能が拡充している。

 今回例として紹介するのは、サムスン電子ジャパンが提供するAndroidスマホの「Galaxy S25 Ultra」だ。なお、「Galaxy Z Fold 7」など、他の機種でも同様に使えるので気になる方は調べてほしい。

 Galaxy S25 Ultraは、通訳機能を本気で推している。その証拠に、画面を上から下にスワイプすると、通知エリアに通訳アイコンが表示される。ここでタップすればいつでも素早く通訳機能が使えるのだ。

 この通訳機能には二つのモードが用意されている。「会話モード」はお互いに画面をタップして話すと、相手の言語で表示される機能だ。Google翻訳などでもおなじみの機能に近いのだが、何よりすごいのが、オフラインでも使えることだ。

 つまり、ローカルでAIを利用して翻訳しているわけだ。当然ながら、飛行機の中や地下街など電波がないところでも問題なく利用できる。

 さらに、常に高速なレスポンスで利用できるのが大変に大きなメリットだ。Google翻訳を使おうとして電波が悪いために結果が遅くてイライラすることがままある。そんな課題が一切ないのが素晴らしい。もちろん、翻訳の速度も素晴らしい限りだ。僕は、海外でのやりとりによく利用している。

 なお、会話モードの翻訳結果は24時間で自動的に削除される。

 もう一つの「リスニングモード」を個人的には最もよく使っている。このモードでは、海外でのスピーチなどを聞いて、そのまま翻訳してくれる。リアルタイムに翻訳されるので、目の前でスピーチを聞いている内容が日本語で理解できるわけだ。

 精度は90%程度といったところだが、例えば、自分の専門分野なら単語がわかるので十分に理解できるだろう。例えば、中国語のスピーチを聞いていても、「コンピュータ」「Windows」などの単語は英語を使うことが多い。おそらく、ほぼ世界共通だろう。今年もコンピューテックスのイベントをリスニングするために利用したのだが、その際も例えば「COMPUTEX」という単語はうまく翻訳できなかった。とはいえ、そこは聞いていれば分かるので問題ない。

 リスニングモードは、過去に聞いた内容を保存しておける。テキストを選択してコピペしたり、AIで要約したりも可能だ。ただし、要約は1万文字以内なので、会話が長くなると分割する必要があるのが少々面倒だ。

通訳機能は機内モードでも利用できるのが素晴らしい。
Galaxy S25 Ultraは通知から通訳機能が使える。

録音アプリも便利だ

 Galaxyの標準ボイスレコーダーアプリもなかなか便利で、こちらは、リアルタイムの翻訳はできない。ただし、録音後に翻訳することは可能だ。翻訳に関してはこちらもオフラインで利用可能。インターネットにつながっていなくても利用できるのがすごい。

 さらに、要約にも対応するが、こちらは、インターネットにつながっている必要がある。ボイスレコーダーは、当然ながら録音した音声も残る。対して、翻訳機能は録音した音声は残らず、テキストが残るのみ。両者を合体したツールが出てほしいところだ。

 僕は最近では、録音してテキスト化から翻訳までできる専用のボイスレコーダーを別途用意して、そちらで録音し音声を残している。Galaxy S25 Ultraは、もっぱら現場でのリスニングに活用しているのだ。Galaxy S25 Ultraは、通話機能も通訳が使えるのが便利だ。例えば自分は日本語で話しているのに、相手には中国語で伝わり、相手の中国語が日本語になって聞こえるのだ。タイムラグもほとんど感じられないほどの機能なのは感服する。

 とはいえ、海外でいきなり使おうとしても戸惑うことが多いので、日本国内でテストしておくと良いだろう。使える言語は、中国語、日本語、英語、韓国語となっている。

会話モードでは双方向で通訳が可能。
リスニングモードでは、スピーチなどをリアルタイムで翻訳してくれる。こちらは履歴も残る。
ボイスレコーダーアプリでは、録音を文字起こし可能。
さまざまな言語に翻訳もできる。
このような形で翻訳可能だ。
Galaxy S25 Ultraは、通話の通訳機能も素晴らしい。

AI通訳はどんどん進化する

 AIによる翻訳・通訳機能は今後も日々進化を続けるだろう。多くの人が利用して学習が進むほどに精度も上がっていくことだろう。方言などにも対応を始めていくに違いない。

 Galaxy S25 Ultraを使っていて感じるのは、やはり、ローカルでの処理だ。インターネットを介さないで翻訳・通訳ができるので、レスポンスが非常に良く環境に左右されない強みがある。すでに、通訳ができるイヤホンなども登場しているので、さらに実用性が増していくだろう。スマホは使い勝手が良く、例えば、オンライン会議でも横に置いておくだけで、スラスラと翻訳してくれる。

 あと5年もすれば、スマホや専用のデバイスを介することで、言語の垣根を取り払った会話ができるはずだ。少なくとも、にわか仕込みよりはAIが優れているという状況になることは間違いなさそうだ。