ベアメタルサーバーの特長と用途

ベアメタルサーバーは、OSやソフトウェアがインストールされていない「空の状態」の物理サーバーです。一般的なサーバーはOSがインストールされており、ソフトウェアを導入すれば、すぐに使える状態になっていますが、ベアメタルサーバーは単体ではすぐに利用できないものの、自由に環境を構築できるという特長があります。

ベアメタルサーバーの最大の特長は、性能の高さと柔軟性にあります。仮想化ソフトウェアが存在しないためハードウェアのリソースをフル活用し、パフォーマンスを最大限に引き出せ、負荷の大きな業務の安定稼働が可能になります。さらにOSやソフトウェアを自由に選んでインストールでき、カスタマイズも可能です。また、仮想化ソフトウェアによる脆弱性リスクがないため、高いセキュリティを確保できます。

今、ベアメタルサーバーに注目が集まっている理由の1つは、ビッグデータの解析・処理、シミュレーション、機械学習、生成AIなど、高いパフォーマンスを必要とする用途の需要が増えていることです。また、大量のユーザーアクセスを処理したり、大規模なデータベースを運用したりする場合や、オンプレミス環境のアプリケーションやライセンスをそのまま移行したい場合にも有効です。

より従来型のサービス形態に「専用レンタルサーバー」があります。一つの物理サーバーを専有するという「サーバーの利用形態」全般を指すもので、広義にはベアメタルサーバーも専用レンタルサーバーに含まれます。区別はあいまいで同義で扱われることもあります。

ベアメタルサーバーのメリット・デメリット

ベアメタルサーバーは、自社だけでサーバーを利用できる専有タイプであることが大きなメリットです。仮想化によってリソースを複数のユーザーで共有するサーバー(共有サーバー)と違い、リソースを独占して使用できるため他者の影響を受けません。例えば、リソースを圧迫されたり、負荷の増加に悩まされるといったことはありません。

一方で、専有タイプであるためのデメリットもあります。まず、コストが高いこと。初期費用に数万円〜数十万円かかることもあり、月額料金も高めです。OSやソフトウェアのインストールや設定を個別に実行しなければならないため、環境構築に手間がかかります。

ベアメタルサーバーの主なメリットとデメリットは以下の通りです。

【ベアメタルサーバーのメリット】
・処理速度が速く、業務効率が向上する
・安定したシステム稼働が可能
・サーバーを自由にカスタマイズできる
・サーバー機器やアプリケーションなど既存の資源を有効活用できる
・セキュリティを強固にできる

【ベアメタルサーバーのデメリット】
・申し込みから利用開始までにリードタイムが発生する
・管理・運用が複雑でメンテナンスの負荷が高い
・利用開始後のスペック変更が難しい
・仮想化サーバー(クラウド)と比べて初期投資が高い
・ライフサイクル終了や経年劣化で交換する必要がある

クラウド感覚で使えるベアメタルクラウド

ベアメタルサーバーをデータセンターに設置し、クラウド経由で提供するオンデマンド型サービスを「ベアメタルクラウド」といいます。ベアメタルクラウドは物理サーバーの性能と柔軟性を持ちながら、クラウドの利便性も備えています。また、メンテナンス負荷を軽減できるメリットもあります。

ベアメタルサーバーはユーザーの申し込み後に物理サーバーを準備するため、利用までに時間がかかりますが、ベアメタルクラウドは事前に用意された物理サーバーを提供するため、すぐに利用できます。

従来のクラウドサービスとの違いは、ベアメタルクラウドは仮想化技術を使わないことです。代わりに物理サーバー自体をユーザーに提供します。仮想化によるオーバーヘッドが存在しないため、リソースを最大限に活用して、高いパフォーマンスを発揮できます。物理サーバーを専有できるため、従来のクラウドサービスよりもセキュリティを強固にできます。また、物理サーバーとクラウドを組み合わせた「ハイブリッドクラウド」も構築しやすくなります。