日本Xreal プロダクトマネージャー(PdM) 高 天夫

Xreal
XREAL One Pro

Xrealが提供する「XREAL One Pro」は、同社が独自に開発した空間コンピューティングチップ「XREAL X1」を搭載したARグラスだ。あらゆるデバイスとの高い互換性があり、遅延を感じない安定した画像と、動きにぶれがないクリアな映像を体験できる。同社独自の光学エンジン「X Prism」を備えることで、57度の視野角を実現し、10m先で最大428インチ相当の大画面を堪能可能だ。別売のXreal製品を組み合わせると、さらに活用の幅が広がるという。
text by 森村恵一

最大で428インチの大画面投影

 ARグラスの性能は、二つの要素に左右される。一つは入力した映像信号をいかに高速かつ高精細に処理できるか、もう一つは映像やデジタルデータをクリアに表示できるかだ。この二つの性能を高めるためにXrealでは、空間コンピューティングチップ「XREAL X1」を自社開発した。そしてこれを「XREAL One Pro」に搭載しているのだ。

 加えてXREAL One Proは、頭の上下左右の動きや首の回転を感知する「3DoF」に対応している。より自然で、没入感のある映像体験を楽しめるのだ。もし3DoFが不自然なARグラスを使うと、いわゆる3D酔いのような感覚に襲われる。しかしXREAL One Proには、そうした不快感がない。こうした一連の高速画像処理に対して、XREAL X1が威力を発揮している。

 日本Xreal プロダクトマネージャー(PdM) 高 天夫氏は、XREAL X1によって生まれるメリットをこう話す。「XREAL X1があるからこそ、今までの我々のARグラスではできなかったことが、XREAL One Proだけで実現するようになっています。外部出力が可能なデバイスさえあれば、XREAL One Proの機能がフルで使えるのです」

 また、光学エンジンも自社開発している。同社独自の「X Prism」もXREAL One Proに搭載し、57度の視野角を実現したのだ。そして10m先で最大428インチという迫力ある映像を、XREAL One Pro内に映し出せる。高氏はX Prismについても、「X Prismにより、光学エンジンの設計が当社の従来製品から一新されました。薄さはもちろん、外からの光の反射がなくなり、より鮮明な映像を届けられるようになっています」と特長をアピールする。

独自の光学エンジン「X Prism」により、従来の光学エンジン「Birdbath」よりも44%軽量化、画面サイズの38%拡大を実現した。
XREAL One ProにXREAL Eye(別売)とXREAL Beam Pro(別売)を接続した様子。3製品を組み合わせれば、AR活用の可能性が大幅に広がる。

ARの可能性を広げる組み合わせ

 XREAL One ProをType-CケーブルでPC・スマートフォンに接続すると、外部モニターとして認識される。PCの場合はセカンドモニターになるので、PC側の設定によってミラーリングや拡張画面を利用可能だ。モバイルモニターの代わりにXREAL One Proを持ち歩く使い方も考えられるだろう。

 XREAL One Proは、BOSEが監修した独自の音響設計・機能を備えている。スピーカーは耳元付近のテンプルに配置されているため、高音質な音響も楽しめるのだ。リフレッシュレートは最大120Hzなので、クリアかつ滑らかに動画を再生できる。ちなみに、本体サイズは瞳孔間距離に合わせてMとLを用意しているため、全体の95%のユーザーにフィットするのだ。

 またXREAL One Proは、Xrealが提供する別の製品と組み合わせることで、AR活用の可能性が大きく広がっていく。

 別売のXREAL Oneシリーズ専用カメラモジュール「XREAL Eye」を装着すれば、XREAL One Proが頭の動きに加えて、体の動きも認識できる「6DoF」対応になる。さらにはXREAL One Proに備えてあるボタンを押せば、静止画/動画の撮影も行えるのだ。

 もう一つ、XREAL One Proの魅力を向上させる製品が、別売のスマートフォン型ARコンピューティングデバイス「XREAL Beam Pro」だ。XREAL Beam Proは、XrealのARグラスに接続できる。このデバイスをつなげば、PCや通常のスマートフォンでは体験できない空間コンピューティングや、3D写真・3D動画の撮影が可能になるのだ。XREAL Beam Proをコントローラーにして、AR空間に表示されたUIを操作すると、まさに空間コンピューティングを体感できる。

手軽にARを体験可能に

 XREAL One ProとXREAL Eye、XREAL Beam Proの組み合わせは、さまざまな活用用途が考えられる。例えば、工場で作業手順を確認する際に使えるだろう。XREAL EyeでQRコードを読み取り、5G版のXREAL Beam Pro、もしくはWi-Fi版のXREAL Beam ProでクラウドやサーバーにあるPDFの作業手順書を参照し、XREAL One Proにその作業手順書を映し出すといったことができる。XREAL One Pro内に映し出された作業手順書を確認しながら、従業員はハンズフリーで作業が行える。また、作業手順や作業映像をXREAL Beam Proで3D撮影し、XREAL One Proで立体的に再生すれば、静止画や2D動画で見るよりも実体験に近い研修が実施可能だ。

 さらに本製品によるAR体験は、介護施設での高齢者に対する疑似的な旅行や回顧体験にも活用できる。ARグラスはARゴーグルよりも軽量であるため、年齢を問わず装着して活用が行える。XREAL One Proはスピーカーも搭載されているので、一緒に音も楽しめるのだ。

 これまで敷居が高いと思われていたAR体験も、XREAL One Pro、XREAL Eye、XREAL Beam Proの組み合わせならば、手軽に体験可能だ。ARの新たなビジネスを生み出していける。