2025年はビジネス向けのCopilot+ PCが花開く
ユーザーのAI活用を支える新PCラインアップ

3月18日、レノボ・ジャパンは同社のノートPC「ThinkPad」シリーズの新ラインアップを発表した。発表した製品は全7モデル・全15プラットフォームで、3月18日から順次販売予定となっている。Copilot+ PCの要件を満たす製品や1kgを切る製品も登場する新ラインアップは、AI活用やハイブリッドワークにどのように貢献していくのだろうか。

AI PCの拡充で顧客の生産性向上を目指す

レノボ・ジャパンは3月18日に、同社のノートPC「ThinkPad」シリーズ2025年モデルの発表会を開催した。記事ではAIが活躍する時代のレノボ・ジャパンの開発テーマや、軽量化を実現したThinkPadシリーズの特長を紹介していく。

7モデル15プラットフォームの
幅広いラインアップな新製品群

 3月18日に発表された「ThinkPad」シリーズの新ラインアップは以下の7モデルだ。

・13.3インチノートPC「ThinkPad X13 Gen 6」
・14インチノートPC「ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition」
・14インチ2in1PC「ThinkPad X1 2-in-1 Gen 10 Aura Edition」
・14インチ2in1PC「ThinkPad T14s 2-in-1 Gen 1」
・14インチノートPC「ThinkPad T14s Gen 6」
・14インチノートPC「ThinkPad T14 Gen 6」
・16インチノートPC「ThinkPad T16 Gen 4」

 さらに各モデルでCPUの異なる製品も販売し、合計で15プラットフォームの新PCを発表している。なお、この中でCopilot+ PCの要件を満たすのは、AMD Ryzen AI PRO 300 シリーズ プロセッサーを採用したThinkPad X13 Gen 6、ThinkPad T14s Gen 6、ThinkPad T14 Gen 6、ThinkPad T16 Gen 4と、インテル Core Ultra 200V シリーズ プロセッサーを採用したThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition、ThinkPad X1 2-in-1 Gen 10 Aura Edition、ThinkPad T14s Gen 6、ThinkPad T14 Gen 6だ。

 新ラインアップの紹介に先駆け、レノボ・ジャパン 執行役員 副社長 開発担当 塚本泰通氏は、ThinkPad開発の方向性について以下のように切り出す。「ThinkPadは1992年に初めての製品をリリースし、登場から今年で33年になります。当社はこの33年間変わらず、常にお客さまの生産性向上に貢献することを突き詰めて開発を続けてきました。しかし、生産性の意味は年々変わってきています。昔はコンピューティングツールとして作業を早く終わらせることが重視されていましたが、今ではWeb会議をスムーズに実行できるコミュニケーションツールとしてのThinkPadが重視されています。そしてAIの台頭により、AIを提供するパートナーとしてのThinkPadも求められています」

 続けて塚本氏は「私たちは今『3P AI User Experience』という新しいテーマで開発に取り組んでいます」と、AIが活躍する時代のThinkPad開発について話す。「3Pの一つ目のPは“Personalize”です。ユーザー一人ひとりに寄り添い、より最適化したデバイスで生産性向上に貢献することを目指しています。二つ目のPは“Productive”です。AIによってユーザーの時間の使い方を変え、繰り返しになりますが、生産性の向上に役立てるようにしています。三つ目のPは“Protected”です。AIを使う際、さまざまなデータを扱うと思います。そのためセキュリティやプライバシーへの配慮を欠かさず、ユーザーが安心にAIを使えるよう、開発を行っています」

レノボ・ジャパン
執行役員 副社長 開発担当
塚本泰通
レノボ・ジャパン
企画本部 製品企画部 マネージャー
元嶋亮太
レノボ・ジャパン
大和研究所 機構設計
橋倉 誠

一人ひとりの働き方に最適な
Copilot+ PCを提案する時代に

 塚本氏に続いて、レノボ・ジャパン 企画本部 製品企画部 マネージャー 元嶋亮太氏が登壇した。元嶋氏はThinkPad新製品群を「新製品群は全て、堅牢性やキーボードの打鍵感といったThinkPadが大切にしている普遍的な価値を、進化させてお届けしています」とアピールする。

 さらに元嶋氏は、今回の製品リリースではCopilot+ PCのラインアップ拡充を重視していると語る。「皆さまご存知の通り、Copilot+ PCは2024年にマイクロソフトから発表された新しいPCのカテゴリーです。ThinkPadでも2024年8月に発表した14インチノートPC『ThinkPad T14s Gen 6』を皮切りに、Copilot+ PCをリリースして参りました。Copilot+ PC発表から2年目となる2025年は、ビジネス向けPCでもCopilot+ PCが花開くと当社は信じています。そう考える背景は、PCのスクリーンショットを撮影して過去の情報を検索可能な『リコール』といった、情報検索を短縮する機能が最大レベルまで登場しているためです。一人ひとりの働き方に最適なCopilot+ PCを提案する、すでにそんな時期になっているのではないでしょうか。そのため今回リリースするThinkPadでも、13.3インチから16インチまで、幅広いラインアップのCopilot+ PCを用意しています」
 では、今回の新製品群の特長とは何だろうか。全製品に共通する主な特長は三つある。

 一つ目はメンテナンス性だ。全製品にユーザーで交換が可能なCRU(Customer Replaceable Unit)バッテリーを搭載している。二つ目はCopilotキーだ。今回リリースする製品には全て、マイクロソフトの対話型生成AI「Copilot in Windows」を即時に起動できるCopilotキーを搭載している。三つ目は常時接続だ。全ての製品において、オプションで5G Sub6もしくは4G LTEに対応可能だ。併せて法人向けに、5年間データ通信容量制限なしの5G/4G LTE接続利用権を付帯する「Lenovo ConnectIN」(レノボ コネクティン)をThinkPadの型番に組み込む形で投入する。

1kgを切る軽量設計を実現しつつ
堅牢性もしっかりと担保

 最後にレノボ・ジャパン 大和研究所 機構設計 橋倉 誠氏が登壇し、新製品群の開発のこだわりについて語った。

 今回する新製品群の中で、ThinkPad X13 Gen 6は本体重量約933g〜、ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionは本体重量約986g〜と1kgを切る軽量設計を実現している。まずThinkPad X13 Gen 6の開発テーマについて、橋倉氏は「軽量化を理由に、堅牢性や信頼性といった、ほかの何かを犠牲にしないと決めて開発を始めています。加えて、さらに製品を進化させることに気を配って開発を進めました」と強調する。「ThinkPad X13 Gen 6は、前世代の『ThinkPad X13 Gen 5』から約190g軽量化しています。およそスマートフォン1台分ほど軽くなったのです。軽量化していても、衝撃・落下・振動といった200種類以上のハードウェア検証テストを合格しているため、堅牢性の心配はありません。天板には強くて軽いカーボンファイバーを採用し、モニター部を持ってPCを持ち運んでも、モニターが折れずに耐えられる設計になっています」(橋倉氏)

 ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionについては、筐体の特長と併せて搭載するカメラの特長も語られた。「HDR処理に対応した4K MIPIカメラを搭載しています。HDR処理に対応したことによって、眩しい場所でも奇麗に映ります。前世代『ThinkPad X1 Carbon Gen 12』よりもさらに自然な映りを実現可能です」(橋倉氏)

 橋倉氏は最後に「細部にまで組み込まれた大和研究所の気配りによって、ハイブリッドワーク時代の生産性向上をサポートします」とユーザーにメッセージを送った。

橋倉氏は「こう使ってくださいとは言いませんが」と笑いつつ、「モニター部分を片手で持っても耐えられる素材を選んでいます」と新製品の堅牢性をアピールする。