圧倒的な性能と電力効率を両立!
インテルの最新CPU「インテルCore Ultraプロセッサー」で変わるビジネスPC

今回は、日本HPからリリースされた最新のモバイルノートPCを3製品レビューする。モバイルに向いたモデルながら高性能なCPUを搭載しており、メインマシンとしても十分に活躍してくれる。機種ごとの特長も含めて紹介するので、自身の働き方に適した1台を見つけてほしい。まずは、高性能の核となり、AIにも強みを持つ最新のCPU「インテルCore Ultraプロセッサー」のポイントを抑えていこう。

Point 1
ベースライン性能が飛躍的に向上

 インテルのCPUは、第12世代、第13世代インテルCoreプロセッサーと着実に進化し性能が毎年向上してきている。今回新たにアーキテクチャを刷新し、インテル史上最高水準の優れた電力効率、性能、かつAI機能を強化したインテル Core Ultra プロセッサーが登場した。

 インテルCore Ultraプロセッサーは、基本性能が大幅に向上している。例えば、3年前のCPUと比較すると、オフィス作業は最大47%効率アップ※1、ビデオ編集は最大2.2倍のAI処理※2が可能だ。その上で電力効率が高いのもポイントだ。従来から搭載されていた高性能なPコアと省電性の高いEコアに加え、新たに低電力Eコアが追加された。ライトな作業は低電力のコアを搭載したSoCだけで動作させ、より高い性能が必要な場合、Pコア、Eコアを搭載するコンピューティング・タイルを立ち上げる方式を採用することで全体の消費電量を抑えながら性能を両立している。一例としてビデオ会議の電力消費が前世代より最大36%削減※2され、バッテリー駆動時間が長くなり、快適に仕事ができる。

※1 インテル Core Ultra 7 プロセッサー 165Hと第11世代インテル Core i7-1185 G7 プロセッサーの比較
※2 インテル Core Ultra 7 プロセッサー 165Uと第13世代インテル Core i7-1365U プロセッサーの比較

Point 2
効率化のカギになるAI

 昨今は、まさにAIのムーブメントが起きている。現在多くの生成AIはクラウドで処理されているが、今後、これらの機能がエッジで処理できるようになる。

 生成AI以外のAI処理ではユーザーが気付いていないところですでにAI処理がエッジで行われる例も多くある。

 例えば、オンライン会議のWebカメラのノイズキャンセリングや背景除去、フィッシング対策、ランサムウェアの検出などが例として挙げられる。

 これから加速度的にAIは進化し、2〜3年後には、現時点では想像すらできないほどさまざまなところでAIが活用され、仕事の効率化を高める重要なツールになることは疑う余地がない。この予想が間違っているとすれば、時期のみで、1〜2年後には大きく活用され始める可能性も高い。

 仕事でAIを利用する場合、PCを用いるのは今後も共通だ。一気に高性能化するAIを視野に入れたPC選びも重要なのだ。

Point 3
AIはCPUのトータル性能が重要

 インテル Core Ultra プロセッサーは、これまでにもおなじみのCPU、GPUに加え、AI処理に特化したNPU(Neural Processing Unit)を新たに搭載している。しかし、AI処理は、CPU、GPU、NPUの三つのエンジンがバランス良く動作しなければ快適には使えない。それぞれのエンジンを適材適所で処理させることで最大限のパフォーマンスを発揮するのだ。

 いろいろとリリースされ始めたクラウド型の生成AIを試した方もいらっしゃると思うが、プライバシー保護に懸念があるのではないだろうか。そこで注目されているのが、高速レスポンスかつ情報漏えいの心配もないローカルで処理をするエッジAIだ。ネットワークを使用しないため、例えば、社内の機密データを学習させることも可能。今後は状況に合わせてクラウドも使用するような、ハイブリッドなAI活用に移行していくことが見込まれる。

 すでに、AIはさまざまな部分に使われ始めており、イラストを描く、書類を生成するといった、話題になっているもの以外にも膨大かつ重要な機能が提供されている。

 これからPCを導入するなら、AIに強いモデルを手に入れるのは絶対条件だ。ただし、それは一部だけの機能に目をやるべきではなく、トータルとして性能の高いモデルを選ぶべきなのだ。PCは5年程度使うのが一般的なので、「今は使わない」ではなく「数年後に使うかもしれない」で選択しないと痛い目を見るタイミングなのだ。

Point 4
ビジネス用途ならインテル vPro プラットフォームにも注目

 ビジネス向けのPCで僕が常に強調しているのが、インテル vPro プラットフォームの重要性だ。そのメリットは数多いのだが、今回はリモート管理について解説しよう。

 インテル vPro プラットフォーム搭載モデルなら、ネットワーク接続がされていれば、PC電源オフやOSが起動しない場合でも、遠隔地からアクセスするアウトオブバンド管理が可能となる。

 在宅勤務や出張中のメンバーのPCを最新で安全な環境に保て、必要な場合はリモートからITサポートを受けることも可能なわけだ。

 今年の夏にも世界中でPCの動作が止まるいわゆる「ブルースクリーンエラー」問題が話題になったが、こんなときにもインテル vPro プラットフォーム搭載モデルならいち早く遠隔地からトラブルシューティングが可能なので、ダウンタイムを最小限に抑えられるわけだ。

 もちろん、インテル Core Ultraプロセッサーにもインテル vPro プラットフォームに準拠した製品がリリースされているので確認しておこう。

インテルの最新CPU
「インテル Core Ultra プロセッサー」を搭載する日本HPの最新モデルを実機レビュー!

ハードとソフトでPCを守る

 今回は、日本HPのビジネス向けモバイルノートPCを3製品ピックアップする。どれもインテル Core Ultra プロセッサーを搭載するので、AIにも強い製品だ。

 3モデルの現物を使用しつつ記事を執筆しているが、いつもながら本体デザインの素晴らしさには舌を巻く。派手なところのないビジネスにマッチしたデザインだが、アルミの質感がとても良く、細部の完成度も高い。要求が厳しい米軍調達基準(MIL規格)を満たしているので仕事でヘビーに使うのには最適だ。

 さらに、日本HPのビジネスPCは「HP WOLF SECURITY」を標準搭載している。ハードウェアレベルでのセキュリティ対策が施されているので、Windowsが起動する前にも機能する。前述したインテル vPro プラットフォームにはインテル ハードウェア・シールドというセキュリティ機能もあり、HP WOLF SECURITY同様にBIOSレベルの領域の保護が可能だ。

 また、Windows 11のUEFIセキュアブートを活用することで、安全にOSを起動できる。これから各社のテクノロジーを用いることで、強固なセキュリティ環境を構築可能だ。

Web会議に強いPCを

 今や、多くの打ち合わせがWeb会議で行われるようになった。Web会議の良し悪しが、仕事の成否を決めかねないのだ。

 その点、今回の3モデルはどれもWebカメラやマイク・スピーカーが素晴らしい。特にWebカメラのクリアな映像は肌の色合いもよく、話し手のイキイキとした姿をリアルに伝えられる。HP独自の「Poly Studio」のオーディオチューニングで、音質が非常に良く、また、AIベースのノイズリダクションで、常に聞き取りやすい会議が実現する。

 なお、インテル Core Ultra プロセッサーは、前世代のCPUに比べるとビデオ会議時の消費電力が最大36%押さえられている。バッテリー駆動でオンライン会議を行うのにも最適だ。また、性能が高いので、ヘビーなアプリとWeb会議アプリの併用も問題ない。

 日本HPはこれからのAI PCは「パーソナルコンピューター」から、「パーソナルコンパニオン」に変わると見ており、利用者と伴走する存在に位置付けている。そうした伴走者としての機能を備えた3製品を見ていこう。

HP EliteBook 1040 G11 Notebook PC

 14インチディスプレイは縦横比16:10で、作業領域がとても広くメインマシンとしても文句なしに活躍するモデルだ。しかも最小構成時には約1.235kgと軽いので、モバイルにも向く。内蔵型プライバシースクリーン「HP Sure View Reflect」の搭載モデルを選択可能で、外出先でののぞき見も気にせず作業できる。

 HP eSIM Connectに対応するのも魅力の一つ。導入時のコストだけでau回線を利用した4G LTE/5Gデータ通信ができる。通信量は無制限なので、いつでもどこでもWeb会議をする必要があるセールスパーソンには最強の武器になる。公衆Wi-Fiを使う必要もないので、安全性も高い。

 バッテリーは約20時間の超長時間駆動で、30分で50%の充電に対応する。

独自の「Poly Studio」によるオーディオチューニングによって、マイクもスピーカーも音質が非常に良い。
HP Sure View Reflectの搭載モデルを選択可能で、外出先でのショルダーハッキングを防げる。

HP EliteBook 830 G11 Notebook PC

 スタンダードな13.3インチのモバイルノートPCで、最小構成時約1.288kgと軽量なので、いつでも手元に置いて活用できる。非常に美しいボディーはMIL規格に準拠したテストを実施しており、安心して持ち歩ける。

 13.3インチと聞くと画面が狭く感じるかもしれないが、縦横比が16:10なので、より正方形に近く作業領域が広い。最大400cd/m2の明るいディスプレーはアンチグレアなので、映り込みも少なくモバイルには最高の相棒になる。

 バッテリー駆動は約16時間と長く、30分で50%まで急速充電できる。昼休みの充電で午後から帰宅まで問題なく使えるだろう。なお、1,000回の充放電に対応する高耐久バッテリーを搭載するのもうれしい。

30分で50%まで充電できる急速充電に対応しており、昼休みのような短時間の充電でも午後の業務から帰宅まで十分に使える。

HP Elite x360 830 G11 Notebook PC

 画面が360度回転するコンバーチブルタイプの2in1PCだ。ディスプレイサイズは13.3インチで、1.319kg(最小構成時)と軽いのでいつでも持って歩ける。2in1タイプとしてはかなり軽量だが、ボディは剛性感が非常に高い。もちろん、堅牢性も文句なしなので、安心して使える。

 2in1モデルは、Web会議には最強の武器になる。ペン入力にも対応するので、ホワイトボードを使ったり、プレゼンのスライドに注釈を書き込んだりしながら説明すると理解度は大きく向上する。もちろん、Webカメラの画質とPoly Studioのクリアな音声も見逃せない。また、対面の商談時にもタブレットスタイルで相手にスライドや資料を見せて、ペンで書き込むことも可能だ。ペンによる書き込みは、案外ヘビーな作業なのだがインテル Core Ultra プロセッサー搭載モデルなら筆記の遅れなどの心配もない。

 バッテリー駆動も最大約16時間半と長く、日々の利用状況を学習して充電を最適化する機能も搭載する。

対面でのプレゼンが行いやすいコンバーチブルモデル。ペンも組み合わせて使えば理解度が大きく向上するだろう。