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日本マイクロソフト/ヴイエムウェア

日本マイクロソフト/ヴイエムウェア

2022年03月08日更新

国内ITビジネスをけん引するリーディングベンダーに
2022年度の商機とその攻略法を問う

突如、世界中がコロナ禍に見舞われ、リモートワーク環境への対応を余儀なくされた。その結果、国内でも徐々に本格化しつつあったDXへの取り組みが停滞している。しかしニューノーマル時代を見据えたビジネスモデルの構築に取り組む企業が、ようやく現れてきている。こうした企業の取り組みを支援することが、国内ITビジネスの次の商機となる。その商機をどのように攻略すれば実利につながるのか、DXをけん引するリーディングベンダーの戦略をリポートする。

国内企業のDX推進と地方経済の活性化に向けて
クラウドネイティブ開発とデータ&AIを全国で支援

日本マイクロソフト

コロナ禍以降、企業ではリモートワーク環境を支えるためのIT投資が行われてきたが、2021年後半からはニューノーマル時代を生き抜くための新しいビジネスモデルの構築に着手する企業が増えているという。そうした中で日本マイクロソフトではクラウドネイティブなアプリケーションやシステムの開発、AIを用いたビッグデータの活用によるDXの推進に注力していく。

アジャイル開発やDevOpsによる
クラウドネイティブアプリ開発を支援

日本マイクロソフト
クラウド&ソリューション事業本部
インテリジェントクラウド統括本部
統括本部長 業務執行役員
藤井仁志 氏

 日本マイクロソフトのAzureビジネス本部 プロダクトマーケティング部 部長 田中啓之氏は「ここ半年ほどIT投資の対象をコロナ禍への対応から次のビジネスの展開へと大きく舵を切るお客さまが増えてきています」と指摘する。

 新しいビジネスモデルを構築するには新しいサービスを開発しなければならないが、従来のオンプレミスでのウォーターフォールモデルでは、新しいビジネスモデルを支えられるサービスを開発することはできない。そこで日本マイクロソフトではクラウドネイティブなアプリケーションの開発支援に力を入れていくという。

 日本マイクロソフトのクラウド&ソリューション事業本部 インテリジェントクラウド統括本部 統括本部長 業務執行役員 藤井仁志氏は「コロナ禍以降、あらゆるビジネスで顧客接点が多様化しており、顧客を取り巻く社会や経済も不透明です。そうした環境でヒット率を上げるには、正解が出るまでトライ&エラーを繰り返さなければなりません。それを実践するにはアジャイル開発やDevOpsが必要です。これらの開発手法はクラウドでのリモート開発と相性がいい。そのためクラウドネイティブなアプリケーションで顧客接点となるフロントの仕組みを開発するお客さまが増えています」と説明する。

 日本マイクロソフトはクラウド上でのDevOpsによる開発を実践できる「Visual Studio 2022」を提供している。Visual Studio 2022では.NETだけではなくマルチ言語に対応しているほか、GitHubとの連携によりリモートでの共同作業も可能だ。

 ところで欧米ではエンジニアはユーザー側におり自社でAIやビッグデータを活用してDXを積極的に推進しているが、日本ではSIerやベンダーに開発をアウトソーシングしており、社内にエンジニアがいないためDXがなかなか進まないという事情がある。しかし田中氏は「大手企業のお客さまではITやクラウドのスキルを持つ人材を雇用、育成して内製化する動きが出てきています。日本マイクロソフトではこうした取り組みをトレーニングや情報提供など、いろいろな施策で支援していきます」と説明する。

データとAIの活用を促進
企業のDXを加速させる

 クラウドネイティブなアプリケーションの開発を支援する施策として「Solution Competency Center」を発表している。Solution Competency Centerとは日本マイクロソフトとパートナーの協業によるCoE(Center of Excellence:組織横断での継続的な取り組みを行う際に中核となる組織や拠点)として、双方のソリューションの専門性や強みを融合させて、顧客のクラウドネイティブなアプリケーション開発を支援するコンサルティングサービスを提供する施策だ。顧客のデータ資産の棚卸しやアプリケーションのアセスメントを経て、それらをどのように活用していくのかを顧客と一緒に考えていく。

 田中氏は「Azureはプラットフォーム製品ですのでAzureだけではできないことがたくさんあります。パートナーさまの製品やサービスを組み合わせて新しい価値を生み出したり、あるいはこの仕組みの中でパートナーさまが新しいサービスを作ったりするなど、パートナーさまを巻き込んでパートナーさま自身も変わっていただくことも期待しています」と説明する。

日本マイクロソフト
Azureビジネス本部
プロダクトマーケティング部 部長
田中啓之 氏

 クラウドネイティブなアプリケーションで新しい顧客接点を実現できたら、その次はそこから得られるデータをどう活用していくかというニーズが出てくる。例えば既存のデータとのインテグレーションや、それらをまとめたデータレイクを作った上でのAIの活用方法などだ。

 そのニーズに対して日本マイクロソフトでは国内企業のDX推進を支援するための中核的なマーケティング施策「Find new value on Azure」を展開しており、Azureビジネスにおいてパートナーを支援する「Find new value on Azure Marketing Accelerator(FAMA)」というプログラムを提供している。

 田中氏は「FAMAでは参加パートナーさまへの特典の提供や、Azure上で提供しているコグニティブサービスの導入事例の紹介などを通じて市場を啓蒙し、導入を促進していきます。例えばAzure Synapse Analyticsは国内で240社以上の導入実績があり、売上で35%(2021年11月時点・2021年2月比)という高い成長率を記録しています」と強調する。

全国47都道府県に支援拠点を展開
日本全国でITのレベルを上げていく

 国内企業のクラウドネイティブなアプリケーションの開発やデータとAIの活用を支援する施策を通じて、日本マイクロソフトは国内企業のDXへの取り組みを加速させたいと考えている。その拠点となるのが「Microsoft Base」だ。

 Microsoft Baseの役割について藤井氏は「大手のSIerのビジネスは首都圏が中心です。しかしDXへの取り組みが特に遅れているのは地方の中堅中小企業です。そこで各地域のパートナーさまと連携して、その地域のお客さまのDX推進の支援をする物理的な拠点がMicrosoft Baseです」という。

 Microsoft Baseではハイブリッドワークやワーケーション環境を提供するほか、地域のスタートアップや地域外へのビジネス拡大の支援、地域へのIT関連教育事業、地域の自治体など行政と連携してハッカソンやアイデアソン、ICTの支援などを行う。ただし拠点に人を集めるのではなく、情報発信やサービスの提供が本来の役割となる。

 Microsoft Baseは現在12拠点が稼働しており、2022年3月までに合計20拠点、2023年6月を目標に全国47都道府県に展開する計画だ。
 藤井氏は「地方の企業のDX支援は地域経済の活性化につながるほか、オフショア開発のリスク回避から国内回帰の動きが活発化する中で、東京一極では対応できないため日本全国でITのレベルを上げていく必要があります」と指摘する。

 こうした日本特有の状況や事情に対して日本マイクロソフトでは「米国の施策をそのまま日本で展開するのではなく、日本に合った独自の施策も展開していきます」(田中氏)と意気込みを語る。ちなみにSolution Competency CenterもFind new value on Azureも日本独自の施策である。

DXを加速させるクラウドネイティブなアプリ開発と
エッジコンピューティングを営むクラウド基盤の最適化

ヴイエムウェア

2021年はクラウド、アプリケーションモダナイゼーション、ワークスペースの三つの領域に注力したヴイエムウェアでは、2022年以降の3年間を「アクセラレート」(Accelerate)と位置づけ、成長を加速していくという。その主軸となるのがさまざまなパブリッククラウド上で展開される「VMware Cloud」と、クラウドネイティブなアプリケーション開発に向けた「VMware Tanzu」だ。

2022年は成長を加速させる「Accelerate」のフェーズへ

ヴイエムウェア
執行役員 事業変革担当
社長室 室長
種子野 亮 氏

 国内市場において順調に成長を続けるヴイエムウェアのビジネスだが、その要因について同社の執行役員 事業変革担当 社長室 室長 種子野 亮氏は「エンタープライズ企業においてハイブリッドクラウドの大規模な環境整備が始まっており、『VMware Cloud Foundation』や『VMware Cloud on AWS』のビジネスが好調です。また2020年に構築したテレワーク環境のセキュリティ対策が課題となり、その対処としてデジタルワークスペースとセキュリティの需要も旺盛です」と説明する。

 そして2022年度の見通しについて種子野氏は「2020年はコロナ禍への緊急的な対応、レスポンド(Respond)のフェーズで、2021年はそれに順応するアダプト(Adapt)のフェーズでした。そして2022年からの3年間を、成長を加速させるアクセラレート(Accelerate)のフェーズと位置付けており、2020年や2021年と比較して大幅な成長を遂げるとみています」と語る。

 その原動力となるのが顧客におけるDXの推進だ。国内では2017年あたりからDXへの取り組みが広がり始めていたが、コロナ禍によって停滞してしまった。しかしニューノーマルでのビジネスモデルの再構築を目的に、DXへの取り組みが再び勢いづき、その中でビジネスが伸びていくという見立てだ。特にコロナ禍以前はあまり進んでいなかったBtoBでのDXが進展するという。

 種子野氏は「BtoCでは消費者の行動原理が大きく変わりDXがますます必要です。BtoBではリモートワークでペーパーレス化が進むなどワークスタイルが変わり、それに伴ってシステムの作り方や必要な機能も変化しています。その結果、システムのクラウドへの移行やクラウドネイティブなアプリケーション開発の需要が拡大するでしょう」と説明する。

クラウドネイティブ環境がDXを加速する
コミュニティを組織して人材育成に貢献

 2022年度とそれ以降のビジネスの注力領域についてまずハイブリッドクラウドの需要に向けた「VMware Cloud」を挙げる。現状もオンプレミスで運用されているシステムのクラウド移行の需要増に対して、さらに伸ばしていきたいと意気込みを高めている。

 種子野氏は「2021年のビジネスの実績からハイブリッドクラウドの商機はまだまだ大きいと実感しました。2022年以降はハイブリッドクラウドの大規模案件を獲得してビジネスをさらに伸ばしたいと考えています」と強調する。

 そしてセキュリティに関しても引き続き力を入れていく。デジタルワークスペースのセキュリティ強化のニーズは引き続き堅調であり、同社では「VMware Anywhere Workspace」をゼロトラストモデルのセキュリティのアプローチで提案することで競合への競争力を高めていくという。

 ここまでの取り組みは、従来のビジネスの延長線上であり、引き続き順調な成長が見込める領域と言えるだろう。さらに今後のDXへの取り組みが加速する中で次のビジネスチャンスもしっかり捉えていくという。

 種子野氏は「ハイブリッドクラウド環境が最適化されていくと同時に、クラウドネイティブなアプリケーションの開発が不可欠となります。その際にパブリッククラウド上でのクラウドネイティブなアプリケーションの開発環境として
『VMware Tanzu』の価値を、お客さまのDX担当部署やLoB(Lines of Business:事業部門のソフトウェア)開発担当部署を中心に訴求していきます」とアピールする。

 DXへの取り組みを加速させている企業ではクラウドネイティブなアプリケーション開発を内製化したい、アジャイル開発を実践したいなどの要望があり、いずれもそれらに対応できる人材の育成が課題となっている。

 種子野氏は「クラウドネイティブなテクノロジーやアーキテクチャを考えるCoE(Center of Excellence:組織を横断して継続的な取り組みを行う際に中核となる部署や拠点)のようなコミュニティを作りたいという声がテクノロジー部門から出てきています。お客さまの内製化が進んでいないことを考慮すると、お客さまとだけでなく現状はSIもやっているパートナーさまとクラウドネイティブに特化したCoEを立ち上げたいと考えています」と意欲を語る。

日本のエッジコンピューティングに商機
自治体・パートナー・ベンダーの一体で臨む

 ヴイエムウェアが今後グローバルで注力するビジネスの一つに「エッジコンピューティング」がある。製造業が多い日本ではエッジコンピューティングに大きな商機があると同社はみている。種子野氏は「お客さまは工場などの現場のコンピューティングを高度化していかなければ競争力を維持、向上できないと考えており、それが内製化に向けたデジタル人材の育成に取り組む理由となっています」と指摘する。

 そしてエッジコンピューティングの基盤として、エッジクラウドのソリューションを提供していく。種子野氏は「工場は地方に立地していますが、当社は地方に強いわけではないのでパートナーさまとの連携が不可欠です。製造業にもいろいろな分野があり、それぞれの分野で強いパートナーさまと協業でのソリューション開発や、エッジコンピューティングではハードウェアとのセットでソリューションが構成されますが、地域に密着して保守サービスを提供するベンダーとの協業も重要だと考えています」と語る。

 そして「地方でビジネスを展開する場合、必ず自治体さま、通信事業者さまが絡みます。エッジコンピューティングのビジネスでは自治体さま、パートナーさま、ベンダーの垣根がなくなり、一体となって取り組むケースが増えるとみています。その際、当社は自治体さま、通信事業者さまと強い信頼関係を持っていることが強みとなります」とアピールする。

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