2020年の国内BDAソフトウェア市場はやや鈍化

Big Data Analytics/Data Management

 IDC Japanは、国内ビッグデータアナリティクス(以下、BDA)/データ管理ソフトウェア市場の予測を発表した。同社は、分析情報管理/統合基盤(Analytic Data Management and Integration Platforms)、BI/分析ツール(Business Intelligence and Analytics Tools and Platforms)、パフォーマンス管理/アナリティクスアプリケーション(Performance Management and Analytic Applications)を含むソフトウェア群をまとめて、BDAソフトウェア市場と定義している。

 2020年の国内BDAソフトウェアの市場規模は3,337億7,200万円で、前年比6.8%増になったと推定している。データレイクを構成するためのデータベースソフトウェア、インテグレーションソフトウェアなどが市場の成長をけん引した。新型コロナウイルス感染拡大によって一時的にBDA関連投資抑制が起こり、2020年は成長率がやや鈍化した。しかし消費者/ビジネス市場でのデジタルシフトは顕著であり、企業におけるデータ活用需要が拡大した結果、2021年以降は2桁成長になると予測している。

 一方、リレーショナルデータベースシステムを含む国内データ管理ソフトウェア市場の2020年の市場規模は3,456億9,100万円、前年比5.3%増になったと推定している。2020年前半はコロナ禍での対策として、IT分野の中でもコラボレーションやリモートワーク関連のツールに投資が行われる傾向にあった。だが、2020年後半にIT投資傾向がデータベースおよびデータベース管理/開発市場へ持ち直したことにより、2020年全体ではデータ管理ソフトウェア市場は堅調な成長となった。

クラウドサービスへのシフトが明確に

 企業のDX進行によるデータ活用意識が高まることや分析に必要なデータ量の増大によって、データベースシステムを中心とするデータ管理ソフトウェア市場は今後も堅調に成長する見込み。さらに、増大し続けるデータ量のスケールアップに向けたクラウドサービス需要が拡大するとみており、同市場の2020〜2025年の年平均成長率は8.4%、2025年の市場規模は5,173億4,800万円になる予測だ。

 これに伴い、国内BDAソフトウェア市場も堅調に成長し、2020〜2025年の年平均成長率は14.1%、2025年の市場規模は6,465億2,200万円になる予測。同市場は明確にクラウドサービスへシフトしてきており、2025年にはクラウド比率が初めて50%を超える見込みだ。

 IDC Japan グループディレクター 眞鍋 敬氏は、国内BDA/データ管理ソフトウェア市場の今後の成長に向けて「アフターコロナを考慮し、企業のデータ分析需要に対応するためにITサプライヤーはデータプラットフォームの訴求強化、データエンジニアリング人材の確保/育成などを行っていくべきです」と提言している。

店舗向け画像解析ソリューション市場は拡大へ

Image Analysis

 矢野経済研究所は、店舗向け画像解析ソリューション市場の動向と将来展望を発表した。

 2020年度の店舗向け画像解析ソリューション市場の規模は前年度比78.2%の11億1,000万円となった。背景には、新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う緊急事態宣言の影響でユーザー企業が検討していた案件が一時的に導入検討の中断に追い込まれた上、従来のクラウド系の店舗向け画像解析ソリューションベンダーの多くが当該事業からの撤退・縮小を行ったことがある。2021年度には、新たに市場に参入してきたエッジAI系の店舗向け画像解析ソリューションベンダーの動きが本格化するとともに、中断していたユーザー企業の導入検討が再開され、案件数も増加する見込みだ。また、巣ごもり需要で業績が拡大した消費財系の量販店や、EC化の進展に伴って本格化したオンラインとオフラインの垣根を超えて購買意欲をつくり出そうとするマーケティング概念である「Online Merges with Offline」(OMO)の動きなどが需要を後押しする形で、店舗向け画像解析ソリューション市場は持ち直すと予測している。そのため、2021年度の同市場は前年度比141.4%の15億7,000万円になる見込みだ。

 2022年度から2023年度の店舗向け画像解析ソリューション市場は、現在各所で検討されている案件での本格導入が期待されている。これまでの市場規模が非常に小さかったことから、成長率としては著しく大きくなる見込みであり、2021〜2024年度の年平均成長率は40.9%に達する予測だ。

バーチャルオフィス市場は活発化の傾向

Virtual Office

 アイ・ティ・アールは、バーチャルオフィス市場の規模推移および予測を発表した。

 2020年度のバーチャルオフィス市場の売上金額は3億2,000万円で、前年度比6.4倍の規模となった。背景には、同市場を構成するベンダーの売上金額が数倍に伸びたことと、参入ベンダーが増加したことがある。現在、バーチャルオフィス市場は黎明期であり、まだバーチャルオフィスの定義も明確に定められていない。そのため、独自のコンセプトを掲げた多様な製品・サービスが登場している。特に2019年度以降は、大手ベンダーをはじめとした新規参入ベンダーが増加し始めた。昨今ではテレビ番組や一般紙で取り上げられるなど、コロナ禍を機にバーチャルオフィスの認知度が向上している。これによりバーチャルオフィスのユーザーが急増し、バーチャルオフィス市場は活発化の傾向にある。

 今後も、同市場はユーザーのさらなる増加が予測される。例えば、オンラインイベントやキャンペーンでの一時的なバーチャルオフィスの利用が見込めるほか、コラボレーションやコミュニケーション関連の製品・サービスとの連携によるプラットフォーム化、勤怠管理製品・サービスとの連携による在宅勤務下の就業管理の効率化など、導入のきっかけとなる機能強化・拡張が進むとみている。上記を踏まえ、同市場の2020〜2025年度の年平均成長率は96.8%を予測している。