建設・製造現場のDXを推進する
42インチ電子ペーパーデバイス

リコー「RICOH eWhiteboard 4200」

リコーから発売された「RICOH eWhiteboard 4200」は、42インチという大型画面を採用した電子ペーパーデバイスだ。「現場のDXを前進させる」というキャッチフレーズで、工事現場や製造現場、医療現場などの“現場”のDXに貢献する最新ガジェット。同社のクラウドを活用したデータ共有にも対応する。デジタル化が遅れがちな“現場”に向けて、手書きとデジタルのメリットを提案できるデジタルホワイトボードになる。
text by 森村恵一

稼動時間は10時間以上

画面が水で濡れていても、乾いているときと変わらないスムーズな書き心地を実現している。

 リコーでは、以前から大型液晶ディスプレイを活用した電子黒板であるインタラクティブ ホワイトボード「RICOH Interactive Whiteboard」を提供してきた。オフィスでの活用を想定して開発されたインタラクティブ ホワイトボードに対して、RICOH eWhiteboard 4200は、屋外で使うことを想定した設計になっている。表示画面を電子ペーパーにすることで長時間の稼動を実現した。電子ペーパーは、文字や画像の表示に電力をほとんど消費しない。内蔵バッテリーによるカタログ上の稼動時間は10時間となっているが、ネットワークの利用や頻繁な書き換えなどを行わなければ、10時間以上の表示が可能となる。屋外や電源を確保できない現場でも、十分な利用に耐える。

 電子ペーパーの採用により、表示した情報は屋外などの明るい場所ほどしっかりと読める。その表示は、16階調のモノクロだが、PDFへのデータの書き出しやクラウドを介した情報共有に配慮して、RGBと蛍光色も記録できる。本製品には専用ペン(白)が付属されているが、別売りの専用ペン(黒)を利用すれば、2本のペンで同時に書き込みが可能となる。専用ペンは充電が不要な防水対応で、付属のホルダーを使って本体の左右に固定できる。画面のサイズは42インチと大きいが、本体重量は約5.9kgと軽く1人でも持ち運べる。

 RICOH eWhiteboard 4200は、PDFデータを読み込んで表示できるだけでなく、専用ペンで「分割」や「拡大」といった文字を書き込むと、それぞれの文字に対応したコマンドが表示される。例えば「画面分割」を選ぶと、42インチの画面が四つに分割され、一つの画面は拡大し、もう一つの画面は全体を表示するなどして、図面を多角的に確認できる。コマンドは51種類内蔵されており、手書き入力した文字のテキスト変換や、文字を拡大、縮小するといった操作などが行える。

A4サイズのPC-Webzineとの比較。縦666.6×横891.3×厚さ14.5mm。本体重量は約5.9kgで1人での持ち運びも容易だ。
画面表面はツルツルしているが、実際の紙に書いているのと同じような感覚で書き込める。

手書き情報の共有が可能

バックライトを搭載していないため、明るい場所に置くと文字がよりくっきりと見やすくなる。

 同社のクラウド基盤「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES」を契約すると、RICOH eWhiteboard 4200でアドオン型のクラウドサービスが利用できる。このサービスを活用すると、最大で6台のRICOH eWhiteboard 4200をクラウド上で連携させて、手書き情報のオンライン共有が可能になる。活用例として、リアルタイムで情報を表示させるデジタルサイネージとしての使い方が考えられる。電源の保持が不要なので、公共交通機関で事故などの情報を改札の近くで伝えたり、無人駅に設置して遠隔で情報を伝えたりする、といった利用も実現できるだろう。

 RICOH eWhiteboard 4200は、ホワイトボードで情報の伝達や確認を行っている現場であれば、業務のDXを後押しできる強力なデバイスになる。

 リコーでは、ホワイトボードを利用している現場での業務課題をヒアリングして、自社のテクノロジーで解決できる可能性を追求し、RICOH eWhiteboard 4200を生み出した。RICOH eWhiteboard 4200は、ホワイトボードを利用しているあらゆる“現場”に対して提案できる。特に、屋外で長時間の利用を考えると、バッテリーで駆動して防塵防水対策が施されているRICOH eWhiteboard 4200は、ホワイトボードを超える情報伝達ツールとなる。建設や製造、医療、公共交通機関など、あらゆる“現場”のDXに貢献するRICOH eWhiteboard 4200は、これまで見過ごされてきたビジネス領域への新たな提案のきっかけを作り出す。

画面の端にあるアイコンをタップすれば文字の幅や色をすぐに変更可能だ。アイコンは専用ペンでしか反応しない。
専用キャリーバッグ(別売)を用意している。肩ひもや取っ手が縫い付けられており手軽に持ち運べる。