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ローコード/ノーコード市場をIDC Japan入谷氏が解説

ローコード/ノーコード市場をIDC Japan入谷氏が解説

2021年08月16日更新

Special Feature 2

ノーコード・ローコードが導く組織のDX

コロナ禍で働く環境が大きく、そして今までにないスピードで変化した。そのスピードに対応するため、注目が集まっているのがノーコード・ローコードプラットフォームだ。あらかじめ用意されたパーツをパズルやブロックのように組み合わせながら、誰もがシステムを作れるそのプラットフォームは、プログラミングの門戸をあらゆる人に開いていると言える。パズルのように親しみやすいノーコード・ローコードは、ビジネスシーンでどのような価値を生み出すのだろうか。実際の活用事例を交えて紹介していく。

広がるノーコード・ローコード開発
企業のDX推進が導入拡大の追い風に

【Market】IDC Japan

プログラミングの知識がなくてもアプリケーションやシステムが作れるノーコード・ローコードプラットフォームに注目が集まっている。その背景には、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み、コロナ禍によって激変する働き方に対応するため、フレキシブルに開発できる環境が求められていることがある。そのノーコード・ローコードの現在の利用状況について、IDC Japanに聞いた。

ドラッグ&ドロップでシステムを作る

IDC Japan
ソフトウェア&セキュリティ
グループマネージャー
入谷光浩 氏

 IDC Japanはノーコード・ローコードプラットフォームの動向について調査し、2021年4月12日に発表している。本調査を担当したIDC Japan ソフトウェア&セキュリティ グループマネージャー 入谷光浩氏は、ノーコード・ローコードプラットフォームの定義について「ドラッグ&ドロップのビジュアルプログラミングで、企業のシステムレベルのものを開発できることを前提としています」と語る。

 ノーコードは完全にコードを記述せずにコーディングできるプラットフォーム、ローコードは画面のカスタマイズができる自由度がある一方で、JavaScriptなどのプログラミング言語によって多少のコーディングが必要になるプラットフォームを指す。しかしIDC Japanでは調査の上でこれらを厳密に定義してはいない。一つの製品をみたときに、ノーコードでの開発もローコードでの開発も、どちらにも対応しているケースが多いからだ。ノーコードとローコードはあくまで開発手法の違いであり、製品ごとの大きな違いではないのだという。

導入理由のトップは“開発スピード”

 ノーコード・ローコードプラットフォームの導入状況について、IDC Japanが2020年8月に実施した調査によるとノーコード・ローコードプラットフォームを導入してアプリケーション開発に使用している企業は8.5%、導入に向けてテスト/検証中の企業は12.4%。その割合を見ると、まだ本格的な普及段階には至っていないことが分かる。一方で、導入の計画/検討をしている企業は23.9%と、今後企業でノーコード・ローコードプラットフォームの導入が加速していく可能性も指摘されている。

 その内、ノーコード・ローコードプラットフォームを導入している企業の45.1%は、導入理由として開発スピードの向上を挙げている。多くの企業がDXを推進している中で、従来以上のスピードでアプリケーションやシステムの開発、変更、拡張が要求されている。開発工程の中でも最も時間のかかるコーディングを減らせるこれらのプラットフォームは、そうした要求に応える有望なソリューションとして期待が高まっているのだ。

「ノーコードやローコードによる開発は、バグが少ないという点もメリットの一つです。今回の調査でも、アプリケーション品質の向上を導入理由として挙げている企業が27.5%います。もともと用意されたコンポーネントを組み合わせてアプリケーションやシステムを開発するため、1からコーディングして作ったシステムよりも、結果として高い品質のシステムができあがるのです。また、コンポーネントを組み合わせたシステムであるため、保守がしやすい点もメリットといえるでしょう」(入谷氏)

SIerに新たなビジネスチャンス

 開発の内製化も導入理由として多く、26.4%の企業が回答している。従来、アプリケーションやシステムを開発する場合はSIerに発注し、一定の期間をかけて一つのアプリケーション、システムを開発していた。しかしこの手法は、ビジネスのスピード感が失われたり、コストがかかったりといったデメリットも生じる。コーディングの知識が必要ないノーコード・ローコードプラットフォームを利用することで、アプリケーションやシステムを社内で内製化することで、迅速な開発とコストダウンを実現できるのだ。例えば、人事担当者が従業員情報を管理するアプリケーションを作ったり、従業員が業務の効率化や自動化のためのアプリケーションを自分で開発したりといったことが可能になる。IDC Japanでは、2024年までに従業員1,000人以上の企業において、従業員の30%がノーコード・ローコードプラットフォームを活用してアプリケーションの開発や業務の自動化を担うようになると予測している。このようなさまざまな職種の従業員によって開発が行えるようになることを、同社では“開発の民主化”と呼んでいる。

 一方で、ノーコード・ローコードプラットフォームが普及することで、システム開発を担っていたSIerのビジネスが縮小していく可能性も指摘されている。入谷氏は「ユーザー企業の代わりにコーディングしているだけ、ビルドしているだけのSIerのビジネスは間違いなく縮小していきます。しかし、今後開発の民主化が進む中で、どういったアプリケーションがビジネスに必要になるのか、必要となるセキュリティ対策は何か、といったユーザー企業の課題に対してともに考え、イノベーションを起こしていくようなコンサルティングの役割は、今後拡大していくでしょう。また、ノーコード・ローコードが普及する中で、開発をするためのデータの取り扱いやプログラミング的な思考能力が求められます。それらの環境作りや教育のサポートといったことも、SIerの新しいビジネスとなっていくでしょう」と指摘した。

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