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異音を可視化して設備故障を未然に防止する日立製作所のIoTソリューション

異音を可視化して設備故障を未然に防止する日立製作所のIoTソリューション

2021年06月29日更新

設備の稼働音を可視化して異常を予測

製造現場では、数多くの製造機器や設備がフル稼働している。万が一、製造機器が故障すれば、製品不良や利益損失につながる恐れもある。そうしたリスクを防ぐため、日立製作所が提供するのが、設備の稼働状況を可視化して製品検査や設備保全を行う「IoTデータモデリングサービス」と「設備点検自動化サービス」だ。IoTデータモデリングサービスと設備点検自動化サービスは製造現場に向けて展開されてきた商材だが、今回新たに設備の「音」による分析機能が強化された。

属人的な業務を削減

 製造現場で欠かせないのが、製造機器や設備の保守作業だ。日々、従業員が設備点検を行い、故障を未然に防いでいる。その設備保全において課題を抱える製造現場も多いという。「設備保全は、目視や聴音といった人の感覚に頼る部分が多い作業です。こうした作業は熟練の技術者が担当しており、業務の属人化が起きています。品質トラブルや故障予兆の判定に必要な熟練者の経験やノウハウを、経験の浅い技術者に対して継承できるかが課題となっています」(日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット IoT・クラウドサービス事業部 データマネジメント本部 主任技師 池永絵里氏)

 無人の変電所といった遠隔地にある設備の点検を行う場合もある。「巡回点検は、技術者が現場に出向いて作業しなくてはなりません。コロナ禍の感染症対策や働き方改革などの観点からテレワークでの業務が推進される中、製造現場におけるDX化が求められています」(日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部 サービス・制御プラットフォームシステム本部 主任技師 山田崇弘氏)

 こうした背景を受け、日立製作所が提供するのが、AIや無線センサーを活用して製造機器の異常を分析する「IoTデータモデリングサービス」と製造機器の稼働状況を遠隔地から可視化する「設備点検自動化サービス」の二つだ。技術者の経験やノウハウを基に行っていたトラブルの判定を、AIや無線センサーによるデータ解析に基づいた定量的な判定で補完できる。技術者ごとのバラつきを減らし、作業工数や品質を一定に保てるようになる。さらに技術者が見逃してしまうような予兆の把握も可能になり、安定した操業環境を提供する。2020年11月からAIを用いた音響データの分析機能を強化し、異常音の検知が可能になった。

わずかな異常音も見逃さない

 IoTデータモデリングサービスは、製造機器や設備の温度、振動、重量などのデータを収集して稼働状況を監視するシステムだ。音による分析を強化したことで、稼働音の異常を検知できるようになる。温度、振動、重量センサーのような製造機器に収音マイクを設置して製造機器や設備の稼働音や加工音、打音などの音データを収集する。収集したデータは日立製作所独自のAI技術によって音源を分離して雑音を除去するとともに、対象となる音の特徴を抽出し、音の異常度を算出・可視化を行う。「製造現場には複数台の機器や設備の稼働音、周囲の環境音といったさまざまな音が発生しています。当社のAI技術はそうした複数の混ざり合う音からノイズを除去して必要な音だけを特定することができます」と池永氏は説明する。

 設備点検自動化サービスは、遠隔地の設備点検を対象に、カメラ機能またはマイク機能を搭載した同社の「レトロフィット無線センサー」を各設備に設置することによって、メーターや異常音の可視化が可能だ。レトロフィット無線センサーは、電池稼働で防水・防塵に対応しているため、電源や通信ケーブルの設置が難しい屋外や高所の現場にも利用できる。

「マイク機能を搭載したレトロフィット無線センサーは、モーターやファン、ポンプなどの稼働音を自動的に測定・収集できます。IoTデータモデリングサービスと同様にAI技術を適用しており、稼働音をマイクで収集して音響データを解析することで、音の異常を数値化します。人が出向くことのできないような遠隔地の点検場所にある設備も、簡単に点検が可能となります。カメラ機能を搭載したレトロフィット無線センサーと併用することで設備点検における自動化の範囲を拡大し、点検業務の負担を低減します」と山田氏は話す。

遠隔監視で業務改善

 IoTデータモデリングサービスと設備点検自動化サービスに対する製造現場からの反響は大きいという。コロナ禍の影響も重なり、遠隔地の設備現場の状況を技術者が出向くことなく、確認できるソリューションの需要は高まる。製造現場におけるテレワークの実現といった業務改善にもつながるだろう。

「現状、製造業をメインに提案しているサービスですが、交通系や公共系のインフラなど今後は他業界にもアプローチしていきたいと考えています。当社のセンサーにこだわることなく、サードパーティー製のセンサーと組み合わせた新たなソリューションを発展させていきたいですね」と池永氏は展望を語った。

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