全ての会議室にWeb会議システム需要
設置しやすいデバイスがクラウド提案を促進する

サプライヤー(販売店)にクラウドサービスの提案方法を紹介してきた本企画も、今回が最終回となる。今回はニューノーマル時代の会議室に求められるクラウド型ビデオ会議サービスについて、ハードウェアとのセット提案メリットをロジクールに聞いた。

Lesson1 会議室も“ニューノーマル”へ

今月の講師
ロジクール法人事業本部 マーケティング部 部長
横山大介 氏

 新型コロナウイルス感染拡大によって、ビジネスシーンは“ニューノーマル”の働き方へと大きく変わった。具体的には、オフィスに出社して働くのではなく、自宅で働く在宅勤務スタイルへシフトしている。コロナ禍が収束した後も、この変化した働き方は以前に戻ることはなく、オフィスと在宅での勤務を組み合わせたハイブリッドな働き方が中心になっていくと予測されている。

 ニューノーマルな働き方では離れた従業員同士、あるいはビジネスパートナー同士をつなぐために、クラウド型のビデオ会議システム(Web会議システム)が多く利用されてきた。Web会議システムを利用することで、感染拡大を防止できることはもちろん、移動時間や交通費などのコスト面も抑制できるメリットが改めて見直されており、このWeb会議ツールの使用も、今後のハイブリッドな働き方には重要になってくる。しかし、そこで課題となるのが会議室におけるWeb会議ツールの利用だ。

 従来の対面が中心の会議スタイルであれば、ビデオ会議システムは一部の会議室だけで利用できればよかった。また在宅勤務が中心となった働き方では、個々人のノートPCにインストールされているWeb会議ツールと内蔵のカメラによって、同一の環境でWeb会議が実現できた。しかし、今後のハイブリッドな働き方では、オフィスのどの会議室に行っても同じ環境でWeb会議に参加できるコラボレーションツールの整備が必要になってくるのだ。

Lesson2 全ての会議室で同一のビデオ会議環境を

 ロジクールは、そうしたハイブリッドな働き方の会議室に求められる一体型ビデオ会議システムとして、中会議室向けの「Rally Bar」、小会議室向けの「Rally Bar Mini」を発表した。Rally Barは既に発売されており、Rally Bar Miniは2021年春に発売予定だ。

 ロジクールの横山大介氏は、Rallyファミリーのポートフォリオを拡充した理由について「ニューノーマル時代のハイブリッドな働き方を実現するためには、オフィスの全ての会議室にビデオ会議システムを導入する必要があります。しかし、例えば会議室が100部屋ある場合、導入や設定の手間など大きな負担が生じてしまいます。そうした負担を解消するため、Rally Bar、Rally Bar Miniではデバイスのセットアップ、管理、使用を簡素化しています。ハイブリッドな働き方に合わせて急速に進化するオフィス環境への導入に適しています」と語る。

 Rally BarとRally Bar Miniは、会議用のカメラ、スピーカー、マイクが一体になったオールインワンのビデオバーだ。臨場感にあふれる高画質ビデオと高音質を兼ね備えたビデオ会議体験を容易に実現できる。

 この2製品の大きなポイントは内蔵コンピューター(Android)を利用した「アプライアンスモード」、外付けミニPCを利用した「PCモード」、持ち込みPCへのUSB接続で利用する「USBモード」の三つの方法で活用できることだ。

Lesson3 三つのモードで会議を快適に

 アプライアンスモードでは、ZoomやMicrosoft Teams(以下、Teams)など、バンドルされているビデオ会議(Web会議)ソフトウェアをPCと接続することなく利用できる。前述したようにAndroidを内蔵しているため、USBケーブルで会議室のモニターに接続するだけで、ビデオ会議がスムーズにスタートできるのだ。「ZoomやTeamsの認証も獲得しています。Androidベースで動作するため使いやすく、会議室にノートPCを持ち込まなくてもスムーズにビデオ会議がスタートできます」と横山氏。

 PCモードでは、外付けのミニPCとビデオバーを組み合わせ、Windowsベースの環境でバンドルされているZoomやTeamsが利用できる。「お客さまの環境によっては、デバイスポリシー上Windows以外のOSが使用できないケースも少なくありません。そうしたお客さまに対しては、PCモードでの利用が最適でしょう」と横山氏。ミニPCはレノボ・ジャパン、日本HP、インテル、デル・テクノロジーズの端末から選択可能だ。

 USBモードは、ノートPCなどの持ち込みPCとRally Bar、Rally Bar Miniを組み合わせてビデオ会議を行う機能だ。PCモードのようにミニPCを使わなくてもビデオ会議がスタートできるメリットがある。三つのモードはRally Bar、Rally Bar Miniを購入すれば全て使える※ため、普段の会議はアプライアンスモードを利用して、必要なときだけUSBモードでノートPCを利用するという使い分けも可能だ。

※PCモード利用時はミニPCの購入が必要。

Lesson4 デバイスとのセット提案で長期の契約を

 もちろん、会議室への設置や配線の負担も少ない。「今回の製品では、ケーブリングを非常にシンプルに行えるようにしました。また、接続したケーブルは簡単に抜けないよう、しっかりクランプで止まるような設計にしています。ケーブルは下や横だけでなく上に這わせることも可能で、Rally Barの設置位置に応じて多様な配線をシンプルに実現できます」(横山氏)

 導入したデバイスを一元的に管理できる「ロジクールSync」も提供する。ハイブリッドな働き方実現にあたり、全ての会議室に導入したRally BarやRally Bar Miniの稼働状況を管理したり、ファームウェアの状態をチェックしたりできる。ロジクールSync上からファームウェアアップデートを実行することも可能だ。また、Rally Bar、Rally Bar Miniは人数カウント機能が搭載されているため、会議室の利用状況も把握可能なのだ。

 横山氏は販売パートナーに対して「本製品でTeamsを利用するためには、会議デバイスのライセンス『Microsoft Teams Rooms』が必要となり、これらのライセンスとデバイスをセットで提案することで、販売パートナーさまはリセラーライセンスを販売できます。これまで使っていなかった会議室で会議システムが稼働されれば、それだけライセンスの提案が可能になりますし、またデバイスには2年間の保証が付属するため、ライセンスも合わせて使い続けてもらえます。ライセンスの更新がハードウェアにひも付くことで、長期間のライセンス契約を実現できるようになるでしょう」とメッセージを送った。