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四つの柱でパートナープログラムを刷新したシスコシステムズ

四つの柱でパートナープログラムを刷新したシスコシステムズ

2021年05月20日更新

CISCO NEW PARTNER PROGRAM

四つの柱でパートナープログラムを刷新
変化するビジネス環境に適応する戦略とは

シスコシステムズは、2020年12月10日に同社のパートナープログラムを一新することを発表した。今後1年かけて、段階的に新たなパートナープログラムに移行していく。その背景にあるのは、マルチクラウドやクラウドファーストなど、世の中のビジネス環境が大きく変わってきていることがある。ではその新しいパートナープログラムはどのようなものになるのか、シスコシステムズ 専務執行役員 パートナー事業統括 大中裕士氏に話を聞いた。

■新たに三つのカテゴリーを新設

シスコシステムズ
専務執行役員
パートナー事業統括
大中裕士 氏

 シスコシステムズの大中氏は、新たなパートナープログラムについて「四つの柱でパートナープログラムを刷新しました」と語る。その四つの柱とは「INTEGRATOR」「PROVIDER」「DEVELOPER」「ADVISOR」という、新しいパートナープログラムにおけるカテゴリーを指す。

 INTEGRATORは、システムのインテグレーションを行い販売するパートナーだ。適切なソフトウェアおよびソリューションを組み合わせることで、顧客のビジネス課題に対処できるよう支援していく。シスコシステムズの既存の販売パートナーは、2020年12月時点でINTEGRATORに引き継がれている。

 PROVIDERは、シスコシステムズの製品を用いて、マネージドサービスやクラウドサービスを構築・提供するパートナーを指す。例えば同社のクラウド管理型ソリューション「Cisco Meraki」を活用したマネージドサービス提案などを行うパートナーだ。

 シスコシステムズでは、同社が提供しているオンラインミーティングアプリケーション「Cisco Webex」やCisco Merakiを含む、ほぼ全ての製品のAPIを公開している。それを活用し、ビジネスアプリケーションとの連携やシステム管理業務のオートメーション化など、新しい価値を提供するパートナーが、DEVELOPERだ。また、今後デジタル庁の創設などにより、企業のデジタル化がますます加速していくことが予想されている。そうした中で、企業のITアーキテクチャなどをアドバイスするパートナーとして、ADVISORを設定した。

 これらINTEGRATOR、PROVIDER、DEVELOPER、ADVISORはそれぞれ「Select」「Premier」「Gold」といったパートナーレベルが設定されており、定期的な監査によってパートナーレベルの見直しが行われる。


「四つの柱でパートナープログラムを刷新しました」

四つの柱によるシスコシステムズの新たなパートナープログラム。システムのインテグレーションを行い販売する既存パートナー「INTEGRATOR」に加え、マネージドサービスなどを構築・提供する「PROVIDER」、ビジネスアプリケーションとの連携など新しい価値を提供する「DEVELOPER」、企業のITアーキテクチャをアドバイスする「ADVISOR」が新たに設置された。図のように、1社が複数のカテゴリーのパートナー資格を取得する可能性も想定している。

■PerformとTransformで戦略強化

 シスコシステムズでは、これらパートナープログラムの刷新に合わせ、パートナー戦略の見直しも図る。具体的には、「Perform」(事業成長)「Transform」(新たな価値創造)をキーワードに、四つの領域においてパートナーのビジネスを支援していく。

 一つ目は、Performにおける「Technology」だ。幅広いポートフォリオを持つシスコシステムズの製品は、規模を問わずさまざまな企業に導入されている。しかし、企業規模に応じて提案する製品や取るべき戦略は異なってくる。シスコシステムズでは、顧客を「サービスプロバイダー」「大規模」「中小規模」「マネージドサービスプロバイダー」というセグメントに分け、適切な販売スキルや運用スキルを持ったパートナーとともに、顧客へのテクノロジー提案を進めていく。

 二つ目はTransformにおける「New Buying Center」。これは「スポーツ&エンターテインメント」「トラベル」「ツーリズム」「トランスポーテーション」「インダストリー4.0」「デジタルスクール」といった、これまで以上にIT化が進んでいく領域に対するビジネス戦略だ。「例えば、球場を見てみるとデジタルサイネージの導入など、昨今顧客への価値提供という観点から、デジタル化が急速に進んでいます。GIGAスクール構想によって昨年多くの端末が整備された学校現場もその一つで、当社でもこの領域のビジネスを今後さらに強化していく方針であり、パートナーさまとともに提案を進めていきます」と大中氏。

 三つ目の「DevNet」もTransformの領域だ。ここでのDevNetはシスコがエンジニアを支援するコミュニティーやプログラムを含めた一連の活動を指す。もともとアプリケーションなどの開発を行っていた開発者や、従来のパートナーにネットワークの仕組みなどを理解し、シスコシステムズ製品のAPIを活用してもらう。それにより、アプリケーションとネットワークを連携させ、新たな付加価値を生み出すための間口として、プログラミングスキルの学習プログラムなどを提供していく。また、DevNetの技術者を認定するプログラムとして「DevNet 認定プログラム」もスタートしている。この認定プログラムは、今後始まる同社のDEVELOPERパートナーになる上でも必要となる。

パートナー事業戦略は、「Perform」(事業成長)、「Transform」(新たな価値創造)の二つを柱に、「Technology」「New Buying Center」「DevNet」「Customer Success」の四つの領域でビジネスを進めていく。共通するのは、これまでのシスコシステムズのビジネスをさらに拡大させる領域へのビジネス展開であり、それらの商機をパートナーとともにつかんでいく。

■顧客をつなぎ止める仕組み作り

 四つ目は「Customer Success」だ。こちらもTransform領域での取り組みになる。「昨今、このカスタマーサクセスに非常に注力しているのがクラウドサービスベンダーです。クラウドサービスはユーザーが使い続けることで利益をあげるサブスクリプションビジネスですが、継続して使ってもらう工夫をしなければ、別のクラウドサービスに移行されてしまうでしょう。それを防ぐためにクラウドサービスベンダーは、活用の仕方や目的のためにどういった手順を踏めばよいかなどをサポートするカスタマーサクセスに力を入れているのです。当社も同様にカスタマーサクセスが重要であると考えており、クラウド製品のみならずオンプレミス製品も含めたカスタマーサクセスを進めていきます。また、販売パートナーさまとともに協業モデルを構築しており、今後もともにビジネスを拡大していきたいと考えています」と大中氏。

 シスコシステムズでは、販売パートナーの企業内にカスタマーサクセスのチームを作ってもらい、顧客企業への導入フェーズからシステムをどう活用するか、ロードマップをどう作るかといったことを指南してもらう。

 また、そうしたカスタマーサクセスへの取り組みを強化するため、シスコシステムズではネットワークの稼働状況をユーザー側から把握できるダッシュボード「CX Cloud」を提供する。大中氏は「企業内に点在するネットワークシステムは、稼働状況やライセンス、保守サポートの期間などの管理が難しく、インテグレーターはそれらの資産をExcelを使いマニュアルで管理していたケースも少なくありません。そうしたネットワークの管理を統合的に行えるダッシュボードがCX Cloudです。CXはCustomer Experienceを示しており、ユーザー側でネットワークのセキュリティリスクや、対処などの把握が可能になります。また、パートナー向けのPX Cloudも合わせて提供しており、ユーザー、販売パートナー、シスコシステムズがネットワーク稼働状況について同一のソースから情報を知ることができます」(大中氏)


「そうしたネットワークの管理を統合的に行えるダッシュボードがCX Cloudです」

■アフターコロナのオフィスへ価値提案

 PX Cloudは販売パートナーが管理している企業ごとにネットワーク稼働状況などを確認可能だ。この仕組みはインフラマーケットの中では斬新な取り組みであると語る大中氏は「CX Cloud、PX Cloudによって、SIerの価値が大きく変わると考えています」と指摘した。

 既存のネットワークシステムの場合、稼働状況にトラブルがあったり異常が発生していても、ユーザー企業に伝わるまではラグが生じていた。その原因を調べてから報告するプロセスが商習慣としてあったためだ。しかし、CX Cloudによってユーザー企業側もインサイトをプッシュ型で受けられるようになることで、販売パートナー(SIer)とユーザー企業側が同時にトラブルの発生を知ることになる。従来型のサポート体制の見直しや、新たな運用モデルの追求が必要になっていきそうだ。

「昨年はGIGAスクール構想の需要で、特にクラウド管理型ワイヤレス製品であるMerakiをパートナーさまに多く販売していただきました。Merakiのようなシステムとクラウドセキュリティを組み合わせたソリューションは、今後さらに求められるでしょう。背景にはコロナ禍によるハイブリッドワーク環境へのシフトがあります。そうしたハイブリッドワーク環境のインフラをMerakiをきっかけにCisco Designedの『Cisco Umbrella』や『Cisco Duo』などの製品に統合することで、アフターコロナのオフィスへ新たな価値が提案できるようになります。そうした提案をさらに行いやすくするため、また売りやすい仕組みに変えていくために日本に適したパートナープログラムへの変更を1年かけて進めていきます。売りやすい仕組みの中で一緒にビジネスを拡大していきましょう」と大中氏は販売パートナーへメッセージを送った。

 シスコシステムズでは、日本の販売パートナーを対象としたアワード「Japan Partner Award 2021」を実施する予定だ。有効な活動期間は2020年8月から2021年7月末までを予定しており、最も優秀なリセラーパートナーを各地域ごとに選定する「Area Partner of the Year」も実施する。新パートナープログラムスタートに向けて、まずはアワードを獲得することで、パートナープログラムの上位を目指してみてもいいかもしれない。


「日本に適したパートナープログラムへの変更を1年かけて進めていきます」

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