ハイブリッドワークの会議の疎外感を解消
ロジクール
ロジクール Sight
新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したことをきっかけに、オフィスへの回帰が見られるようになり、在宅勤務とオフィス勤務を状況によって使い分けるハイブリッドワークが日本でも定着しようとしている。そうした中で、オンラインとオンサイト(現地)を組み合わせたハイブリッドワークでの会議では、オンラインの参加者が疎外感を抱いてしまう課題が出てきている。原因は、会議室に固定カメラが一つしかないといった、ハードウェアの設置状況のようだ。そんなハイブリッドワークにおける会議の疎外感を解決してくれる補助的なデバイスが、卓上型Webカメラ「ロジクール Sight」だ。
text by 森村恵一
疎外感がWeb会議の新たな課題に
「ロジクール Sight」についてレビューしていく前に、ロジクールが提唱するハイブリッドワークの会議の公平性について、少し考察していこう。
ロジクールが2022年11月に発行したホワイトペーパー「誰も取り残されないより公平な会議を実現する方法」によると、ハイブリッドワークの会議では、会議室にいるオンサイトの会議参加者は、リモートで出席するオンラインの会議参加者に注意を払わない傾向があるという。その結果、オンラインの会議参加者が疎外感を抱きやすくなっているそうだ。例えば、オンサイトの会議参加者が意見を頻繁に交わすようになると、オンラインの会議参加者たちは傍観者になってしまう。なぜなら、会議室は大型スクリーンの付近に1台だけWebカメラを設置しているケースが多く、白熱する議論の様子を中継しているような映像しか映し出せないからだ。
実際に筆者も、この3年間で数多くのオンラインのインタビューを経験してきたが、取材相手が会議室に集まっていると、自分が傍観者になっているような感覚に陥りがちだった。指向性の悪いPCのマイクでは、会議室で誰が話しているのか聞き分けるのも難しく、カメラの性能も低いので相手の表情も読み取れない。その結果、インタビューにはかなり苦労した。
これが一般の会社の会議となれば、オンラインの会議参加者は、疎外感をより強く抱いてしまうだろう。このWeb会議特有の疎外感の解決に向けて、ロジクール Sightが誕生した。
中〜大会議室で活躍
ロジクール Sightは、二つの4Kカメラを搭載し、七つのビームフォーミングマイクによって声の方向から話者を検知する据え置き型のデバイスだ。主となる端末の併用を前提としたデバイスであるコンパニオン機器となっている。そのため、ロジクール SightだけではWeb会議を開催できない。
ロジクール Sightは、あくまでWeb会議を行う際の補佐システムになる。つまりロジクール Sightの導入には、オールインワン型のビデオ会議システム「ロジクール Rally Bar」シリーズの利用が必須となる。
ロジクール Rally Barシリーズは、カメラとスピーカーが一体になったビデオ会議システムだ。外付けのミニPCを利用する「PCモード」、持ち込みのPCにUSBケーブルで本体を接続する「USBモード」、内蔵のAndroidコンピューターを利用する「アプライアンスモード」の3通りの設置方法に対応する。
ロジクール Rally Barシリーズの魅力は、使いやすさと導入しやすい価格設定にある。古くからあるビデオ会議システムは、会議室1部屋当たり数百万円レベルの投資が求められていた。それに対して、ロジクール Rally Barシリーズの価格設定は43万円程度に抑えられている。
ロジクールのビデオ会議システムは、会議室の大きさに合わせて、小〜中会議室向けのプレミア一体型ビデオバー「ロジクール Rally Bar Mini」や、大〜特大会議室向けのモジュール式ビデオ会議システム「ロジクール Rally Plus」などをラインアップしている。ロジクール Sightは、その中でも中〜大会議室向けの一体型ビデオバー「ロジクール Rally Bar」を導入する会議室でその性能を発揮する。
ちなみに、ロジクール Rally Barのカメラも話者を捉える機能を備えており、固定画像で会議室を映すだけではなく、話者を追跡することも可能だ。これによりオンラインの会議参加者も誰が発言しているのかを確認できるが、それでもカメラから離れた席に座る会議参加者の表情を捉えるのは難しい。また、会議参加者の多くは議論する相手を見て話すので、Webカメラで捉えた表情は横顔になりがちだ。その結果、オンラインの会議参加者は疎外感を抱きやすい。その欠点を解消する補助のWebカメラとマイクが、ロジクール Sightになる。
同じ席にいるような眺めを実現
ロジクール Rally Barにロジクール Sightを追加すると、オンラインの会議参加者にオンサイトの会議参加者の姿と声をクリアに届けることが可能だ。ロジクール Sightの二つのカメラの視野角は、ロジクール Rally Barでは映しきれない範囲をカバーする、315度という絶妙なアングルに設定されている。オンサイトの話者の表情をほぼ正面で映し出すため、オンラインでもオンサイトと同じ席に座っているような眺めを実現し、オンラインの会議参加者の疎外感を軽減する。
ロジクール Sightで映す映像は、各自がPCを前にWeb会議を開催していたころのような親近感を与えてくれる。ハイブリッドワークのWeb会議における疎外感を解消し、オンラインでも同じ席にいる感覚になるロジクール Sightの存在は、ロジクール Rally Barシリーズの提案力を増すガジェットと言える。