Disaster Prevention and Crisis Management Solution
多彩なSNS投稿の情報から災害発生を検知しサプライチェーンリスクをいち早く回避する

リアルタイムの災害情報から予測までを可視化してサプライチェーンリスクに備える

“危機”を可視化することをミッションに掲げるSpectee。同社が提供する「Spectee Pro」はこのミッションに基づき、災害情報の「収集」「通知」「分析・予測」を実現するAI防災・危機管理ソリューションだ。画像認識を駆使したSpectee Proの開発背景には、2011年に発生した東日本大震災があった。

AIによる画像認識技術で
SNS投稿から災害情報を収集

「東日本大震災が発生した当時、被災地のボランティア募集の情報や物資が不足しているといった情報が可視化されないという課題を感じていました。そこでこれらの情報を集約して必要な方々に届ける地域コミュニティのようなサービスを開発したのが始まりです。そこから2014年にSNSの情報を自動的に収集して災害発生などを可視化するサービスとして『Spectee』をスタートしました。2020年3月にはこのSpecteeの機能をさらに強化し、気象庁の気象データや全国の道路・河川カメラの情報を集約して通知し、リスクの分析や予測を行えるSpectee Proを正式にリリースしました」と振り返ったのは、Spectee 代表取締役 CEO 村上建治郎氏。

 Spectee Proの最大の特長といえるのが、村上氏が述べたSNS上の情報収集だ。Twitter、Facebook、Instagramなど、世界中のSNS投稿の中から災害時に必要なものを瞬時に収集できる。「SNSには膨大な情報があります。その中から当社のAIがテキスト情報や画像情報から災害情報を抜き出し、どこでどういった災害や事件が発生しているかを判定しています。SNSに投稿されている情報には位置情報が付帯していないことが多いですが、画像に写っている建物などの情報から場所を特定し、地図上にその投稿内容を表示しています」と村上氏。

 もちろん、SNSに投稿されている災害情報の画像は真実ばかりでなく、過去の被災地の画像を現在のものと偽って投稿したり、加工した画像を投稿したりするデマが含まれているケースもあるが「過去の被災地の画像などはデータベースにあるため、マッチングさせて確認しています。加工などもAIが判定可能です。また情報の正確性を担保するための専門の解析チームがおり、実際にその場所で災害や事件が発生しているかをAIと人でダブルチェックすることで、正確性を担保しています」と村上氏。昨今では生成AIによって、容易に洪水など災害による被害の画像を生成できるようになっているが、そうした生成AIを活用した画像も、AIによるフェイク判定が可能だという。

▲危機をリアルタイムに可視化するAI防災・危機管理ソリューション「Spectee Pro」

地図上に気象情報も重ねて
危機情報を一目で収集

Spectee
村上建治郎

 Spectee Proは気象庁やLアラートと連携している。気象データや地震情報、各種警報、注意報などもSpectee Pro上で確認できる。地図上で前述したSNS投稿の情報と気象情報を重ねて表示することも可能だ。全国の道路や河川に設置されたカメラの画像や動画情報も取得しており、一目で災害時に必要な危機情報を収集できるのだ。

 SNS投稿などの情報から、災害や事件などの発生を検知した際は、音声アナウンスやメール、スマホアプリへの通知も行う。“危機”の状況把握を瞬時に行えるのだ。音声アナウンスはSpecteeが提供するAI自動音声システム「AIアナウンサー『荒木ゆい』」がスムーズな音声で通知してくれる。

 村上氏は「SNSの投稿内容をそのまま読み上げると内容の把握が困難であるため、投稿内容から発生した事象をタイトルとして自動生成する当社の特許技術を用い、伝わりやすい音声通知を実現しています。例えば大雨で河川の水位が上がっていることを投稿された内容からは『川が増水』といった事案を端的に示すテキストに、都道府県などの地名を付記するようなタイトルですね。AIアナウンサーによる読み上げも、ユーザー側が聞いていて不快にならないよう自然な音声で再生されるよう調整しています」と語る。このAIアナウンサーによる音声通知の機能は、もともと前身となるSpecteeが報道機関での導入が多かったことが背景にある。最新の情報をいち早くキャッチしたいが、常にSpecteeの画面を開いているわけにはいかないため、事象発生時の音声通知に高い需要があったのだ。

▲SNSの投稿に加えて、気象や交通などの情報を掛け合わせて地図上に表示し、その場所で発生している事象を一目で把握できる。
▲気象データや衛星画像を基に、浸水域や被害状況を予測できるほか、あらかじめ拠点を登録しておくことで、その周辺で起きている事象も一目で分かる。

自動車の通行実績データから
災害時の物流停滞リスクを回避

 収集した情報から“リスク”の分析や予測も行える。最新の気象データや衛星画像と、AIが蓄積している過去のデータを組み合わせて、現在の浸水域や今後の被害範囲を予測することで、今後起こり得るリスクを予測し、被害を最小限にとどめることが可能になる。「トヨタ自動車※の走行速度や位置情報などの通行実績データから、物流・運行ルート上の危機を回避する最適なルート提案も行えます。例えば災害発生時は、土砂崩れや電柱の倒壊によって、通行が困難になる道が出てきます。どこの道が通れてどこが通れないかを通行実績から割り出し、どのルートであれば通行が可能かを提案します」と村上氏。

 Spectee Proは現在、自治体や官公庁などで数多く導入されている。また昨今は、企業での導入も非常に伸びているという。村上氏は「以前は鉄道や電力、通信などといったインフラ系企業さまに多く導入いただいていましたが、最近は製造業の企業さまの導入が増えています。気候変動による災害が多発する昨今は、サプライチェーンのリスク管理が非常に重要になっており、例えば自社は被災しなくても、自社製品を製造する上で必要な部品を製造している企業が被災した場合、生産に遅れが発生してしまいます。最近では経済産業省や経団連もサプライチェーンの強靱化を訴えており、Spectee Proのような製品によって災害に対するリスクを可視化し、速やかに対応することが重要になってきていると言えるでしょう」と導入のメリットを語る。今後は物流業や、チェーン展開をしている小売業などに対しても訴求を強めていく方針だ。

 またサプライチェーンのリスクマネジメントを行う上では、国内だけでなくグローバルのリスクも可視化する必要がある。すでにグローバルの気象情報や各種SNSの情報はSpectee Pro上で閲覧できるようになっているが、一部の国ではTwitterやFacebookといったSNSが使用できないケースもあるため、その国独自のSNSの情報も取得できるよう対応を進めていく方針だ。

※トヨタの純正カーナビゲーションを搭載している車両の情報を取得している。

Disaster Prevention and Crisis Management Solution

SOMPOリスクマネジメントは、SOMPOホールディングスのコア事業の一つである国内損保事業の中で、企業のリスクマネジメントをはじめ、さまざまな経営課題に関するコンサルティングや調査研究セミナーなどのサービスを提供している。そのサービスの中で、防災・減災プラットフォームとして提供されているのが「SORAレジリエンス」だ。

3社連携で可視化する
現在と未来の災害リスク

SOMPOリスクマネジメント
犬飼 篤

「SORAレジリエンス」は、気象に関する豊富なデータや知見を有するウェザーニューズと、損害保険業界でトップレベルのデータや知見を有する損害保険ジャパン、リスク管理に関するノウハウを持つSOMPOリスクマネジメントの3社が連携し、運営しているサービスだ。災害リスク情報とリスク予測を一覧にすることで、災害発生時の迅速な判断をサポートしてくれる。

 SOMPOリスクマネジメント 事業開発 リスクプラットフォームグループリーダーの犬飼 篤氏は「気候変動に関する政府間パネルの報告では、平均気温が1.5度上昇すると極端な大雨の発生確率が1.5倍になることが想定されるなど、自然災害の脅威は年々高まりつつあります。企業にとっても大雨などによる自然災害からの影響は免れないものになりつつあり、『素早く』『簡単に』『適切な』情報を入手し、リスク管理に活用することが、これからますます求められるでしょう。そうしたニーズに応えるため2023年4月から販売をスタートしたのが、SORAレジリエンスです」と語る。

 同社では海外を含むリスク情報をアラートとして配信する「SORA ONE 2.0」を提供してきていたが、特に拠点ごとのリスク管理機能や自然災害情報といったリスク情報を収集・予測するニーズが高く、それらの機能を強化・新搭載した製品としてSORAレジリエンスを開発したのだ。「災害発生時に企業の最前線で対応する総務部門や調達部門は相当な激務です。場合によっては働きすぎて健康を損なうケースもあります。そうした災害発生時の業務負担を軽減できるよう、SORAレジリエンスは三つの特長を有しています」と犬飼氏。

▲リスク一覧画面では、あらかじめ登録してあった拠点情報から、特にリスクの高い拠点を優先的に表示するため、リスク把握に役立つ。

拠点ごとの災害リスクを
一目で把握する分かりやすいUI

 一つ目は、拠点のリスクをリアルタイムに把握できる点だ。SORAレジリエンスには「リスクMAP」機能が搭載されており、ウェザーニューズや気象庁、Lアラートのデータなどから提供される情報を基に、リスクの広がりをマップ上で示し、拠点とリスクの位置関係を把握できる。台風進路や雨雲、積雪、土砂災害危険度などの情報をマップ上で確認できるだけでなく、拠点に迫りつつあるリスクを知らせる「アラートメール」によって、いち早くリスクを感知できる。例えば企業の拠点情報を事前に登録しておけば、避難情報や停電発生情報などをリアルタイムでメール通知してくれるため、リスクが高まっている拠点が把握しやすくなる。

 二つ目に、最大72時間先までの各種災害リスク予測が可能である点だ。拠点情報を登録しておくことで、予測から「いつ」「どの地点」に対応が必要か検討でき、十分な時間をもって減災行動が取れる。拠点リスク一覧の画面では、ウェザーニューズによる現在〜72時間後までの強雨、強風、強雪のリスク予測が確認できるほか、気象庁による警報・注意報・自治体による避難情報も表示される。拠点名をクリックすると、拠点ごとのリスク詳細が確認でき、リスクの現状と、72時間先までの予測を1画面で把握可能だ。

「特にユーザーさまにとって魅力的と言えるのが、拠点管理を行う際のラベルひも付けの機能です。ラベルは地域や業種、業態など、ユーザー側で自由に付けられます。例えば首都圏にある拠点のリスク情報を見たい場合は『首都圏』のラベルをクリックすればその範囲の拠点だけを表示できます。拠点登録は拠点名やID、所在地など必要な情報を記入したCSVファイルをアップロードするだけで完了するため、手間がかかりません。また、住所の情報だけでは正しい拠点情報が登録されないケースもありますが、地図上でピンを動かすだけで位置の修正が行えるため、非常に管理が簡単です」と犬飼氏は語る。

 三つ目に、直感的に操作できるUIを採用している点だ。災害対応を行う機会は決して多くないが、その中でもシステム操作が円滑に行えるよう、マニュアルなしで簡単に操作できるように工夫されている。リスクが高まっている拠点はリスク一覧の画面で機械的にリスト上位に表示されたり、アラートとしてメールが自動送信されたりする点も使いやすさにつながっている。

▲河川水位情報画面は、ライブカメラの映像と、平常時の河川の様子を1画面で見られるUIを採用し、河川の水位状況を見ながらリスクの高い拠点への対処を呼びかけられる。
▲避難情報画面は気象庁が発する避難情報も地図に重ねて表示できる。拠点情報と重ねて確認すれば、どの拠点にどういった避難情報が発令されているか把握可能だ。

国内の災害リスク対策から
海外危機管理までをサポート

「こうしたリスク情報をこれまで企業がどのように把握していたかというと、ニュースで配信された情報を基にExcelやGoogleマップを使い、自分たちの拠点がどうなっているのかを照らし合わせて確認していました。しかしSORAレジリエンスを使えば、リアルタイムのリスク状況が1画面で把握できるため、こうした負担がなくなります。また、マップ上にはライブカメラの情報も表示されており、拠点近くのライブカメラをクリックすれば、河川の情報がどうなっているかといった情報を映像で確認できます。平常時の状況も比較できるよう、画面に表示されるため、土地勘のない拠点の災害リスクも把握しやすいのです」と犬飼氏。

 2023年4月から提供をスタートしたSORAレジリエンスは、6月末までの無料トライアル経て現在本格導入に進んでおり、多店舗展開をしている小売店や、複数の拠点を持つメーカーなどで活用が進んでいる。国内の数千拠点を持つ企業などは、SORAレジリエンスで情報を集約・整理して各拠点の責任者に情報を届けることに活用しているという。台風が近づいたときなどは、その情報をCSVでダウンロードし、社内イントラで公開して周知を図った。実際に営業時間後に降雨が予想されたときには、営業所にある荷物をあらかじめ車に積み、高台に移動するなどして被害を免れた例もあったという。

「ロシアによるウクライナ侵攻以降、海外のリスク情報の需要も大きく増加しています。SORAレジリエンスではオプションとして、当社の海外危機管理専門のコンサルタントが、今備えるべき事象と対策についてをピックアップしてレポートとしてお届けする『Global Intelligence+』も提供しています。次年度はSORA ONE 2.0で提供していた海外のリスク情報の発信やファイルキャビネット機能などをSORAレジリエンスにも実装し、これまで以上に利用していただけるシーンを増やしていきます」と犬飼氏。国内外の拠点リスクを把握できるSORAレジリエンスは、これからのビジネスを力強くサポートしてくれるだろう。

Data Protection Solution

Arcserve Japanでは、バックアップソリューション「Arcserve Unified Data Protection」 (以下、Arcserve UDP)を展開し、簡単で柔軟なバックアップを活用して、物理・仮想などさまざまな環境に適応でき、ストレージやネットワークを有効活用して全体コストを抑えつつ、災害対策を実現する。直近では、7月中旬に「Arcserve UDP 9.1」をリリースし、改善・進化を続けている。それでは、Arcserve UDPの災害対策への有用性を深掘りしていこう。

システム全体からファイル単位まで
簡単&迅速にバックアップ

Arcserve Japan
平野祐司

 日本国内のバックアップソリューションとして30年の実績を持つバックアップソリューション「Arcserve UDP」。Arcserve UDPはイメージバックアップソリューションとして提供しているものの、これは製品単体を指す名称ではない。例えば、従来から提供している別製品のテープに定評があるバックアップソフトウェア「Arcserve Backup」や、容易にシステムやデータの高可用性を確保できるレプリケーション製品「Arcserve Replication and High Availability」などをまとめて利用できるエディションを用意している。

 同シリーズの主な特長を、Arcserve Japan マーケティングディレクターの平野祐司氏はこう語る。「さまざまなエディションを備えるArcserve UDPですが、直近では、Arcserve UDP 9.1がリリースされました。Arcserve UDPは物理・仮想・クラウド、WindowsやLinuxなどの環境に対し、大企業から中堅中小企業まで柔軟なバックアップやリストアに対応します。特長は、豊富な機能と使いやすさを兼ね備えたイメージバックアップソフトウェアである点です。また、長年の実績とさまざまな改良点が反映され進化し続けています。Arcserve UDPでは、1世代目でフルバックを行っておけばそれ以降は増分バックアップによる対応が行え、フルバックアップを取る必要がありません。そのため、例えばシステムのフルバックアップの容量が100GBなら、もちろんシステムにもよりますが、日次であれば増分データはせいぜい1%、1GB程度で済むはずです。同製品の『継続増分バックアップ』も活用すれば、ディスクスペースを有効に活用できます」

バックアップデータを手堅く保障
パートナーからエンドユーザーまでカバー

Arcserve Japan
渡邊結子

 7月14日にリリースされた『Arcserve UDP 9.1』(以下、UDP 9.1)の一番大きな強化ポイントには、バックアップデータをチェックする「アシュアードリカバリー」を標準機能として実装した点がある。「アシュアードリカバリーは、Arcserve UDP 8.XまでPremium Editionの機能でしたが、Arcserve UDP 9.Xから標準機能として搭載しました。フルバックアップと増分バックアップを使って最新の状態のバックアップのチェックができる機能です。今回は一般的に広く利用されている『Advanced Edition』で本機能を標準化しました。お客さまから『フルバックアップと増分バックアップからのリストアが問題なくできるのか不安』という懸念の声を受け、より幅広いユーザーに利用してもらうために展開しました」と、Arcserve Japan チャネルマーケティング チャネルマーケティングマネージャの渡邊結子氏は語る。

 今後の販売戦略や展望について平野氏は「当社はパートナーさまの信頼を高める販売形態を引き続き展開し、災害対策へのサポートを行います。一方でユーザーニーズの把握の観点からエンドユーザーへのアプローチとして直販も行い、多様な観点で事業を展開していきます」と方向性を示した。

▲Arcserve UDPではWindows、Linux、仮想環境、クラウドなどをまとめてバックアップできる。ブラウザーから容易にアクセス可能だ。

Video Call Service

新型コロナウイルスによる感染拡大を防ぐため、ビジネスシーンではZoomやTeamsが、プライベートな連絡ではLINE通話といったビデオ通話の活用が大きく進んだ。しかし、災害が発生した非常時には、現在も電話で市役所などに問い合わせる形が一般的であり、対応を急ぐ際のやりとりには改善の余地がありそうだ。アイ・オー・データ機器の提供するビデオ通話サービス「PlatPhone」は、アイ・オー・データ機器が所有するコールセンターでの経験を基に、電話文化の課題解決を図るべく提供をスタートした。しかし、事業を展開していく中で災害対策にも有用であるのではないかという意見が多く出たという。そんなPlatPhoneについて話を聞いた。

災害発生時の電話問い合わせを
容易なビデオ通話に進化

アイ・オー・データ機器
上野桂輔

 コールセンターの電話文化による課題を解決するため開発されたビデオ通話サービス「PlatPhone」。このPlatPhoneが災害対策にどう生きてくるのか、アイ・オー・データ機器 企画開発部 企画2課 課長代理を務める上野桂輔氏はこう説明する。「昨今地震、台風、水害などが多発する中で、自治体さまからPlatPhoneに興味を持ってもらう機会が増えました。その背景には、災害時に通話だけではコミュニケーションが取りにくいという課題があります。例えば、住民が市役所などに連絡する場合、メインの伝達手段は電話です。しかし、災害による被害を伝える場合、水没や地面割れの程度など、人によって言い方が異なるので、正確な状況把握に時間がかかるでしょう。当社のPlatPhoneは電話をしている状態からビデオ通話に切り替えられます。災害発生時の情報共有には、客観的に正確に状況を把握できるビデオ通話が生きてくると想定しています」

 PlatPhoneには、二つの使用方法がある。一つは電話をしている状態からSMSを送り、SMSにアクセスすることでビデオ通話につなげる方法。もう一つは、スマホのカメラアプリなどでQRコードを読み取ってビデオ通話につなげる方法だ。PlatPhone内にQRコードを生成する機能が搭載されているので、即座にQRコードを活用できる。

▲PlatPhoneでスマホと接続してビデオ通話し、スマホの様子を映しているUI。

防災DXサービスカタログにも登録
QRコード読み取りでビデオ通話へ誘導

 PlatPhoneは、デジタル庁と連携する防災DX官民共創協議会「防災DXサービスカタログ」にも掲載されている。その経緯を、上野氏は「もともと当社では、QRコードを読み取るとラジオのような放送が簡易的に流せるサービス『PlatCast』を提供していました。住民に公開済みの資料などにQRコードを貼付し、住民に読み込んでもらうことで各自治体の最新情報を流せるので、PlatPhoneより以前から、災害対策として自治体さまから関心が高いサービスでした。音声配信サービスのPlatCastと双方向の通話サービスのPlatPhoneは似て非なるサービスですが、両方ともスマホのカメラを活用してQRコードが読み込めるといった利便性が評価され、登録に至っています」と振り返る。

 今後、アイ・オー・データ機器はPlatPhoneをどう波及させていくのか。上野氏は、今後の将来展望をこう語る。「新たなコミュニケーションツールに対してお客さまの抵抗感もあるかもしれません。PlatPhoneは事前の研修不要で使える設計としていますが、使用感は伝わりにくいため、最初は体験版で提供しています。当社は、電話からビデオ通話にスムーズにレベルを上げてもらうため、PlatPhoneによるビデオ通話を訴求していきます」