API連携の仕組み
API(エーピーアイ)は、「Application Programming Interface」の略称で、異なるソフトウェアやサービス同士をつなぐ「窓口」のような仕組みです。APIを利用することで、プログラムをゼロから開発しなくても既存のソフトウェアやサービスが提供している機能を活用できます。これを「API連携」といいます。
APIは「API利用者」のリクエスト(要求)と「API提供者」のレスポンス(応答)によって成り立ちます。API連携のためには、事前にリクエストとレスポンスのルールを設定しなければなりません。API利用者は、定められたルールに従って、使いたい機能や情報をリクエストします。一方のAPI提供者は、受け取ったリクエストを処理してレスポンスを返します。
ECサイトでクレジットカードで買い物をする場合を例に見てみましょう。
1)消費者がクレジットカードの情報を入力すると、決済代行サービスのAPIが、クレジットカード会社のAPIに対してリクエストを送ります。
2)続いて、クレジットカード会社のAPIが情報を確認して、決済できるかどうかのレスポンスを決済代行サービスに返します。
多くのAPIでは、セキュリティ確保のために認証や通信の暗号化 (HTTPS) が導入されているため、ECサイトはカード情報の管理や、複雑な決済システムを構築・運用する必要がありません。
このようにAPIを利用すると、「ログイン情報」「クレジットカードの決済情報」など個人情報に関わる認証処理など、高度で複雑な情報処理を容易に行うことができます。
APIの種類と用途
APIには、「Web API」「ネイティブAPI」「ライブラリAPI」「ランタイムAPI」などがあり、それぞれ目的や用途が異なります。
Web API:
Web上で提供され、ブラウザーで用いられるHTTP/HTTPSプロトコル(通信規則)を用いて情報のやり取りを行う。使用するプログラミング言語の仕様に左右されず汎用性が高い。
ネイティブAPI:
OS上でプログラミングを行うためのもので、WindowsやAndroidのようなOSにあらかじめ組み込まれている。
ライブラリAPI:
プログラミング言語に標準で用意されている関数やクラスのこと。
ランタイムAPI:
プログラミング言語の実行環境が提供するAPIで、言語仕様の一部となっている。
APIは無料の場合もあれば、利用回数に応じて課金される従量課金制の場合もあります。従量課金制では、利用回数が多いと利益を圧迫する可能性が高いので注意が必要です。
また、Web APIはネットワークを経由してサーバーにアクセスするため、アクセスに制限をかけなければサーバーに過度な負担がかかります。短時間での過剰なリクエストを防ぐために、適切に管理する必要があります。
API連携を利用するメリットとデメリット
API連携のメリットとして、システム開発のコスト削減、業務効率化、高いセキュリティレベルの担保などが挙げられます。新しいアプリケーションやシステムを開発する場合、APIの機能を利用することで開発工数を減らし、業務を効率化し、コストを大幅に削減できます。セキュリティレベルの高い外部サービスのAPIを利用すれば、自社で強固なセキュリティを設計する必要がありません。
他社サービスのデータを利用することで、膨大なデータの収集や登録、整理、更新などを行う必要がなく、業務の効率化や情報の信頼性向上が期待できます。
また、ユーザーの利便性も大幅に向上します。例えば、LINEやGoogleなどの既存アカウントを利用して、他のサービスにログインできる「ソーシャルログイン」機能により、新規サービスを利用する際に、面倒なパスワード設定やフォーム入力を省略できます。これにより、登録やログインの手間による離脱防止につながります。
一方で、API連携には仕様変更や提供停止というリスクもあります。サービス内容の仕様が変更された場合、API利用者は変更に応じなければなりません。サービスの提供が停止された場合は、新しいAPIサービスを導入するなどの対策を講じる必要があります。
さらに、自社がAPI経由で送ったデータをAPI提供者がどのように使うかは公開されていない場合があります。APIの内部での処理が開示されていないケースでは、大きなトラブルが発生する恐れもあります。
APIは利用者だけでなく、提供者にも大きなメリットがあります。企業が自社のデータや機能をAPIとして公開することで、オープンイノベーションの促進や既存ビジネスの拡大、サービス開発の効率化といった効果が得られます。自社APIの利用者が増えることによりビジネスチャンスが生まれ、新たな収益源の創出も期待できます。
また、現在、多くの企業で業務の様々なプロセスにAIエージェント(自律型の人工知能)を組み込んでいます。このため、自社のサービスをAIエージェント経由で利用してもらうために、API仕様(スキーマ)をAIが理解しやすい形式で提供することが主流となっています。
API利用時の注意点
APIを利用する際は、提供元のサービス規約を厳守することが求められます。規約には、APIの使用目的や利用制限・禁止事項などが定められています。規約違反があった場合、利用停止や法的措置を取られるリスクがあります。規約を逸脱しないよう注意しましょう。
APIは非常に便利なサービスですが、依存しやすい側面があり、利用には注意が必要です。突然仕様が変わったり、提供が停止したりすれば、自社サービスの存続にも関わります。APIを使うべきかどうか、仕様や設計をどうするかなど、慎重に検討する必要があるでしょう。

