2024年2月にVMwareのライセンス体系が大きく変更されてから、すでに2年以上が経過した。ライセンス改定に伴い他の仮想化基盤に移行する企業や、クラウドへ移行する企業などさまざまな動きがあった一方、「まずは情報収集をして様子を見る」という静観の姿勢を取っていた企業も少なくない。しかし、既存のVMwareライセンスの期限が迫っていることから、この1年でVMware環境を継続して使い続けるか、移行を進めるかを決断する必要があるという。その決断に対して、多彩なソリューションで応えているのがデル・テクノロジーズだ。

VMwareライセンス改定で
迫る「選択の時」

デル・テクノロジーズ
インフラストラクチャー・ソリューションズ営業統括本部 製品本部
Red Hat Alliance Manager
高梨由希乃

 デル・テクノロジーズ クラウドパートナーシップ本部 グローバルアライアンスマネージャー(Microsoft) 野崎絵里佳氏は、VMwareのライセンス体系が見直された後の企業の動向について「VMwareを使い続ける企業ももちろんおりましたが、多くの企業でマイクロソフトの『Hyper-V』やレッドハットの『Red Hat OpenShift』に移行したり、クラウドへ移行したりしています。また中には、いったんVMware環境を継続して利用しつつ、情報収集を行うことで今後もVMwareを使い続けるか、移行するかといった検討を行っている企業もありました」と語る。

 一方で、ライセンス改定から2年ほどがたち、これまで静観の姿勢を見せていた企業にも決断が迫られている。「VMware vSphere 7」は2025年10月にサポートが終了しており、「VMware vSphere 8」も2027年10月にサポート終了が予定されているためだ。ライセンス体系変更によるコスト負担の大きさから、多くの企業が移行を選択するとみられるが、システム特性や運用体制などさまざまな事情から移行が難しいケースも存在する。デル・テクノロジーズではVMware環境を継続して使用することを選択する企業に対しては「Dell Private Cloud」を提案している。同社のアプライアンス型HCIソリューション「VxRail」で提供してきた企業向けに提案するソリューションであり、将来的にVMware以外のハイパーバイザーに変更したい企業にも柔軟に対応できるという。

移行を決断する企業へ
二つの選択肢を提供

 移行を決断する企業に対して、デル・テクノロジーズは大きく二つの選択肢を提供している。

 一つ目は、マイクロソフトが提供する「Azure Local」だ。デル・テクノロジーズはAzure Localアプライアンスとして「AX System for Azure Local」を提供している。Azure LocalはHyper-Vを基盤とし、Storage Spaces Direct(S2D)を組み合わせたシンプルな構成のHCIとして提供しており、中堅中小企業のユーザーの利用に適している。管理はAzureポータルで一元的に行え、デプロイやアップデートといった運用をシンプルにできる。野崎氏は「既存のVMware環境からAzure Localへ移行する場合、『Azure Migrate』というマイグレーションツールが無償で提供されていますので、移行がしやすいのも特長です」と語る。

 二つ目に、レッドハットが提供する「Red Hat OpenShift」(以下、OpenShift)だ。本プラットフォームでは、OpenShift上で仮想マシンをデプロイ、管理、スケーリングできる機能である「Red Hat OpenShift Virtualization」を中核に、仮想化ワークロードに特化したエディション「Red Hat OpenShift Virtualization Engine」(以下、OVE)が提供されている。デル・テクノロジーズでは、「Dell Private Cloud deploying Red Hat OpenShift」といったOpenShiftも対応している統合プラットフォームを提供しており、これらの環境上でOVE/OpenShift Virtualizationを活用することで、「ポストVMware」としてのモダナイゼーション基盤を提案している。

「これらのOpenShiftの環境は、主にエンタープライズ企業で採用いただくケースが多いです。しかし、今後VMware環境を継続して使うサブスクリプション費用と比較すると、OpenShiftを利用する方がコストメリットが高く、中堅企業への導入もおすすめです。実際に提案し、受注に至ったケースも存在します」と語るのは、デル・テクノロジーズ インフラストラクチャー・ソリューションズ営業統括本部 製品本部 Red Hat Alliance Manager 高梨由希乃氏。

 もっとも、OpenShiftはコンテナ技術を用いることから、運用に対する不安を持つユーザーも少なくない。高梨氏は「OpenShiftの提案の際には、『段階的にモダナイズしていきませんか?』というメッセージをお伝えすることが多いです。短期的にはOVEで仮想化基盤を残し、VMwareライセンスから移行することを目的に、中長期的にはコンテナを使っていただくことで、これからのAI時代に適した環境へとモダナイゼーションを実現できます」と語る。

AI時代に求められる
コンテナや水冷技術

デル・テクノロジーズ
クラウドパートナーシップ本部
グローバルアライアンスマネージャー(Microsoft)
野崎絵里佳

 なぜAI時代にコンテナが重要になるのだろうか。高梨氏によると、今後のAIソリューションはコンテナベースで提供されるものが増えていくという。コンテナはAIモデルや実行環境をひとまとまりにして軽量に扱えるため、開発から本番運用までをスムーズに接続できる。その結果、今後のAIアプリケーションやソリューションの多くは、最初からコンテナベースで設計・提供されるようになる。そのため、AI時代へ適応していくためには、コンテナ基盤の導入が今後の企業には求められるのだ。

 こうしたコンテナへの対応は、Azure Localでも可能だ。「Azure Localにはコンテナを動かせる『Azure Kubernetes Service(AKS)』を利用可能です。AKSを活用することで、コンテナ化されたアプリケーションを大規模にデプロイしたり、管理したりできます。またAIの活用という視点ですと、『Azure AI Video Indexer』などのAIサービスが、Azure Localで使えるようになってきています。Video Indexerは複数台のカメラと連携させて、保存されたビデオからAIによって分析情報を抽出できるAIサービスで、小売店で活用される事例も出てきています」と野崎氏は語る。

 こうしたAIに対する需要の高まりは、サーバー市場の動向からも見て取れる。IDC Japanの「国内エンタープライズインフラ市場」調査によると、2024年の同市場をけん引したのは、GPU搭載サーバーの大型案件だった。GPU搭載サーバーの需要が伸びている背景には、データ分析やVDIに加え、AI活用の進展が大きく影響しているとみられる。デル・テクノロジーズはこうしたGPU搭載サーバー需要の高まりに対して「水冷サーバー」の提案を強化している。「当社の水冷案件の引き合い件数は急速に増加しています。サーバーというとどれも同じだと思われがちですが、GPU搭載サーバーの需要が高まっている今、それらを冷やす技術も重要になります。特にデータセンターに水冷システムを実装する場合、システムインテグレーターだけではなく、建設事業者、設備事業者、データセンター事業者など連携した『新しい生態系』が重要になります。こうした新しいエコシステム構築に向けたセミナーイベントも4月23日に実施しており、今後さらに注力していきたい領域です」と野崎氏は展望を語った。