サーバーインフラ市場が大きく揺れる中、既存のVMwareユーザーは継続利用か、将来を見据えた新たな選択肢かという判断を迫られている。販売チャネルの変更や半導体価格の高騰といった外部要因が重なり、特に中堅・中小企業では仮想基盤の見直しが喫緊の課題となっている。こうした課題の解決に向けて、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズは、幅広いハイパーバイザーに対応する「Lenovo ThinkAgile」シリーズを軸に、柔軟な選択肢と運用負荷の軽減を両立する提案を推し進めている。
揺れる仮想基盤市場
柔軟な基盤選びが重要に

Japan ISG CTO
インフラストラクチャー・ソリューションズ・グループ
早川哲郎 氏
「現在、VMwareユーザーの間では、ライセンス体系の変更に伴い二極化が進んでいます。継続利用に向けて構成を見直す企業と、将来を見据えてほかのプラットフォームへの移行を検討する企業に分かれているのが現状です。中堅・中小企業さまにおいては、コスト面などの問題から、決断に苦慮されているケースも見られます」と、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ Japan ISG CTO インフラストラクチャー・ソリューションズ・グループ 早川哲郎氏は説明する。
特にBroadcomによる買収以降、提供SKUの絞り込みや販売チャネルの変更が行われ、ソフトウェアコストの見通しが立てづらくなった。さらに、サーバー向け部材の価格上昇も続いており、ハードウェア調達コストも増加傾向にある。ソフトウェアとハードウェアの両面でコスト圧力が高まっていることが、ユーザーの悩みの一因だ。
こうした将来への投資判断が難しい状況において、自社の進むべき方向に合わせて、最適な基盤を柔軟に選択できるインフラへの要望が高まっている。この期待に応える同社の製品が、ハイパーバイザーとハードウェアを最適化したHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャー)「Lenovo ThinkAgile」シリーズだ。Lenovo ThinkAgileシリーズは、企業のニーズに応じて「ThinkAgile VX」「ThinkAgile MX」「ThinkAgile HX」「ThinkAgile FX」の四つのラインアップを展開している。
運用負荷を軽減しつつ
最適な基盤を選べる環境へ
VMware環境を継続しつつ、パフォーマンスを強化したいユーザーに最適なのが、ThinkAgile VXシリーズだ。VMware環境向けに検証された信頼性の高いセキュアなサーバー上に構築され、仮想化されたコンピューティング機能とストレージ機能を提供する。既存VMwareユーザーがこれまで培ってきた運用スキルや資産をそのまま生かせるため、違和感なく継続利用できる。
Microsoft環境との親和性や、将来のクラウド連携を重視する企業において、有力な選択肢となるのがThinkAgile MXシリーズだ。Windows Server Datacenter(S2Dを利用したHCI構成)または「Azure Local」を搭載し、外部ストレージ不要のHCI構成でオンプレミスの安定性とクラウドの柔軟性を両立する。2ノードからの小規模構成に対応しており、スモールスタートで導入できる点も特長だ。Azureと連携し、Azure Arcによる統合管理も可能だ。
Nutanix環境を構築する企業の選択肢となるのが、ThinkAgile HXシリーズだ。エッジからクラウドまでのワークロードにおいて、高い柔軟性と拡張性を備えたシンプルな運用環境を提供する。「Nutanix Cloud Platform」「Nutanix Enterprise AI」「Nutanix Kubernetes Platform」を組み合わせることで、生成AIワークロードを展開・運用できるようになる。
そして、仮想基盤の将来的な選択肢を広げる製品となるのが2025年12月にリリースしたThinkAgile FXシリーズだ。「インテル Xeon 6プロセッサー」を搭載したサーバーをベースに、優れた信頼性と電力効率を実現している。最大のポイントは、複数のハイパーバイザーに対応することだ。現在は、VMware vSAN(ESXi)とNutanix AOS(AHV)から選択可能だ。
日本企業ではハードウェアのリプレースに合わせてハイパーバイザーを見直すケースが多いが、欧米企業では状況に応じて、都度ハイパーバイザーの見直しや入れ替えが行われる場合が多い。ThinkAgile FXシリーズは、まさにこの後者のような合理的な運用手法を可能にする製品だ。「ThinkAgile FXシリーズの魅力は、導入後もハードウェアを入れ替えることなくハイパーバイザーを変更できる『フューチャープルーフ』な設計にあります。特定のベンダーロックインを回避し、将来の事業戦略や市場動向に合わせて、最適な基盤へと柔軟にシフトできる運用を実現します」と早川氏は強調する。
Lenovo ThinkAgile シリーズは、これら四つのラインアップによって、既存環境の維持から将来的なプラットフォームの転換までを柔軟にカバーし、企業のプラットフォーム選定に関する多角的な悩みを解決する。
HCIと供給力で刷新を加速
止められない現場を守る
Lenovo ThinkAgileシリーズは導入現場においても、さまざまな課題の解決に貢献している。特に顕著なのが、24時間365日の安定稼働が求められる医療機関での事例だ。
ある医療機関では、電子カルテシステムの刷新に合わせて、約700名の職員が利用する部門システムの仮想サーバー環境のリプレースを検討していた。複数のハードウェアで構築された従来の3層構成のシステムでは、ハードウェアのスペック不足に加え、ランサムウェアなどの巧妙化するサイバー攻撃への対策、さらにはバックアップ環境の強化が喫緊の課題となっていた。
そこで同機関は、Microsoft環境との親和性が高く、Azureとのハイブリッド連携が容易なThinkAgile MXシリーズを採用。複雑な構成を排したシンプルなHCIへの移行により、安定性とコスト最適化を同時に実現した。このように、運用負荷を最小限に抑えつつ強固なセキュリティと拡張性を手に入れたことは、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるための揺るぎない土台となっている。
現場のニーズに応える製品のバリエーションだけでなく、不透明な市場環境下で計画通りにインフラを刷新するためには「納期」の確実性も欠かせない。レノボ・エンタープライズ・ソリューションズは導入前の供給面においても、盤石な体制を敷いている。それが「Lenovo Top Choice Express」だ。
Lenovo Top Choice Expressは、市場ニーズの高い売れ筋のサーバーとストレージ製品をあらかじめ厳選し、必要な部材を確保しておくことで、短納期を実現するプログラムである。通常、エンタープライズ製品は受注後にカスタマイズ生産を行うため、納品まで数カ月を要することも珍しくない。しかし、本プログラムでは、発注から10営業日以内での工場出荷を目標としており、従来のリードタイムを大幅に短縮している。「世界的な部材不足の影響が続く中、確実にシステム基盤を整えられる体制があることは当社の強みです。この安定した供給力こそが、製品スペックと同等に、お客さまのプロジェクトを支える大きな安心材料となっています」(早川氏)
2027年1月にはWindows Server 2016のサポート終了(EOS)も控えており、インフラ刷新の波はさらに加速することが予想される。同社ではダイワボウ情報システム(DIS)と連携をさらに深め、共同商材の整備なども進めていく予定だという。「今後も仮想化基盤の刷新における課題を解決するべく、最適なソリューションを提案していきます。併せて、地方を含む広範なお客さまへのサポート体制を強化し、地域経済の活性化にも寄与していく方針です。常に最善の提案を追求し、お客さまのパートナーとして伴走し続けます」と早川氏は展望を語った。


