福岡市民のごみ分別の手間を削減
「AIを活用したごみ分別サービス」

CO2削減などを目的に、プラスチックの分別収集を開始する自治体が増加している。しかし、具体的にどのごみがプラスチックの分別対象になるか迷う人は多いだろう。ごみ区分を検索できるチャットボットを導入する自治体もあるが、区分を確認したい物品の正式名称が分からず、正しい分別を諦めてしまうケースもある。今回は手間のないごみ区分の判別を目指して、LINEヤフーコミュニケーションズと取り組みを実施する福岡県福岡市を取材した。

福岡県福岡市

福岡県の西部に位置する人口167万1,623人(2026年3月1日時点)の都市。別名「舞鶴城」とも呼ばれる国指定の史跡「福岡城跡」、博多の総鎮守として親しまれる「櫛田神社」、学問の神様・菅原道真公を祀る「太宰府天満宮」といった歴史的なスポットのほか、開閉式の屋根を備えた全天候型スタジアム「みずほPayPayドーム福岡」も有名。
写真提供:福岡市

ごみ分別の負担軽減を目指す

 CO2排出量の削減や、さらなるごみ減量を目的に、従来は燃えるごみとして収集していたプラスチックの分別収集を開始する自治体が増えている。福岡県福岡市も、2027年2月1日から分別収集を始める予定だ。現在は焼却処分しているプラスチックを資源として分別し、新たなプラスチック原料へリサイクルすることで、焼却時と比べて約5割のCO2削減効果が見込まれるという。

 この分別収集の開始を踏まえて福岡市は、LINEヤフーコミュニケーションズと協力し、LINEを活用した生成AIによるごみ分別支援サービス「AIごみ分別サービス※」の実証実験を開始した。福岡市 環境局循環型社会推進部 計画課 課長 江野功太郎氏は、実証実験を開始する背景を次のように語る。「2027年2月1日から開始するプラスチックの分別収集は、2000年に瓶とペットボトルの区分を追加して以来、久々のごみ区分の追加です。そのため、市民の皆さまには負担をかけることになるのではないかと思い、どうにか負担を減らせる方法を検討していました。その中でLINEヤフーコミュニケーションズさまから本件の提案があり、負担軽減につながるのであれば実施したいと考え、取り組みを進めることにしました」

※本機能はGeminiのAPIを使用。また生成AIにより出力される結果について、信頼性、正確性、完全性、有効性などは保証していない。

写真でも分別区分を判定

 AIごみ分別サービスの実証実験は、2025年10月25日〜2026年2月28日の期間で実施された。当初はプラスチックのみを判定対象としていたが、2026年2月からは全ごみ区分へ対象を拡大した。

 本サービスは、福岡市のWebページなどに掲載されたQRコードからアクセスできる。まず該当のQRコードを読み取ると、LINEアプリが立ち上がる。そこでサービス利用の同意、カメラへのアクセスの許可、利用規約の同意をすると利用を開始可能だ。分別したい物品を撮影、もしくは品名をテキストで入力すると、該当するごみ区分をAIが判定してくれる。

 例えばケチャップの容器を撮影すると、判定結果には「プラスチック」が表示される。理由の箇所には「プラスチック素材のみで構成されており、50cm未満で、プラスチックとして分類されます」と書かれており、なぜプラスチックの分別区分になるのか、詳細な説明が読めるのだ。分別方法には「中身を使い切って、プラスチックとして出してください」と記載されているため、この方法に沿えば、正しくごみの処理が行える。

 物品の一部にプラスチックが使われている場合も、撮影を行えば正しいごみ区分と処理方法が表示される。例えばティッシュ箱であれば、処理区分は「古紙」と判定された上で、処理方法に「古紙として出してください。ビニール部分は除いてください」と指示が出るのだ。

 ほかにも、モバイルバッテリーを撮影すると「市で収集しないごみ」と判定される。そして分別方法の箇所に、福岡市の使用済み小型電子機器・小型充電式電池に関する回収案内のWebページリンクが表示されるのだ。このようにプラスチック以外で分別や処分方法に迷う物品についても、正しいごみ区分や処理方法を迅速に確認できる。

 判定結果の下には、結果が役に立ったか/役に立たなかったかを評価する欄がある。利用者からのフィードバックを収集することで、さらなる判定精度の向上を目指しているのだ。

 江野氏は本実証実験について「現在、プラスチックの分別収集をプレ実施している地域があります。そうした地域で実際に本サービスを使ってもらい、使用感のアンケートを取りながら、本当に負担軽減につながっているかを確認しています。また、本サービスはAIの判定精度が重要になるため、本実証実験を通して、精度が実用に十分かどうかも確かめています」と補足する。

 続けて江野氏は、AIごみ分別サービスの特長をこう話す。「当市のLINE公式アカウントでも採用していますが、捨てたい物品の名前を入力すると分別区分を教えてくれるチャットボットは、従来も存在していました。しかし本サービスは、物品名のテキスト入力に加え、写真撮影にも対応している点が特長です。名前入力よりも簡単に、そしていつでも気軽に、ごみ分別の判定を実施できます」

AIごみ分別サービスの画面イメージ

分別したいものを撮影するか、テキストで品名を入力すると、AIがどのごみで出せばよいか判定してくれる。判定結果には理由と分別方法も記載されており、結果に納得した上で分別が行える。

判定精度をさらに向上させる

 取材時点(2026年2月)ではまだ実証実験は実施中だが、2025年11月に実施したアンケートでは、約7割の市民が本サービスに満足を示す結果になった。一方で判定精度については、まだ改善の余地があると江野氏は語る。「判定結果については、まだまだ誤りがあるという意見を利用者からいただいています。ごみへの光の当たり具合によって、プラスチックがガラスに見えてしまう場合があるそうです。判定精度は今後も上げていかなければならないと思っています」

 江野氏は最後に、本実証実験を踏まえた福岡市の展望を次のように話した。「現時点(2026年2月)では、市民の皆さまから『ごみ分別の負担が減ってきた』といった声をいただいています。これからも負担軽減につながるように、本格導入に向けた取り組みを続けていきたいです。現在は実証段階ですが、最終的には全ごみ区分まで判定を広げた状態で、実装まで進められればと考えています」