『Intel Connection Japan 2026』レポート
日本オフィス開設50周年の節目に
PCに変革期が再び訪れている
生成AIの急速な普及を背景に、PCは再び大きな転換点を迎えている。
インテルが2026年2月3日に開催した「Intel Connection Japan 2026」は、そうした変化を象徴するイベントとなった。
最新のCore Ultraシリーズ3プロセッサーを搭載したAI PCが実現するAI活用について、業務、教育、クリエイティブ、そして開発における具体像を会場で提示した。
ここではCore Ultraシリーズ3プロセッサーとそれを搭載したAI PCの話題をレポートする。
1億個以上のCore Ultraを出荷
AI PCの普及とAI活用を促進
Intel Connection Japan 2026は、単なる製品発表の場ではない。イベント名にある「Connection」が示す通り、インテル、PCメーカー、ソフトウェアベンダー、SIerが一体となり、AIを社会実装へとつなげるための“接点”を提示する場だ。会場ではAI活用についての講演や展示を通してAI PCを起点にエッジやデータセンターまでの統合的なアーキテクチャーと、国内パートナーによる具体的な活用事例が紹介された。

代表取締役社長
大野 誠氏
インテル 代表取締役社長 大野 誠氏は「インテルは1976年に日本にオフィスを開設し、今年50周年を迎えました。当時のインテル プロセッサーの製造プロセスは10ミクロンで3,500トランジスターでしたが、現在はIntel 18Aへと劇的な微細化を遂げて、トランジスター数は数十億個に達しています」と50年間の進歩を説明した。
その進歩の成果について大野氏は「2023年にCore Ultraプロセッサーを搭載したAI PCが登場し、PCは過去40年間で最大のアーキテクチャー刷新を実現しました。さらにCore Ultraプロセッサー 200Vシリーズによって電力効率を大幅に改善するとともに、Core Ultraプロセッサー HXシリーズおよび同SシリーズによってさまざまなフォームファクターにAI PCを広げました」と説明した。
インテルはCore Ultraプロセッサーをこれまでに世界で1億個以上出荷しており、それを搭載するAI PCは20社以上のPCメーカーから発売されている。そして今年1月6日(日本時間)にCore Ultraプロセッサーの最新製品が発表された。それが「Core Ultraシリーズ3プロセッサー」である。
三つのラインアップで
AI PCのニーズに応える

セールス、マーケティング&コミュニケーション統括本部
アジア太平洋および日本 ゼネラル・マネージャー
ハンス・チュアン氏
Core Ultraシリーズ3プロセッサーの特長と優位性について、インテル コーポレーション セールス、マーケティング&コミュニケーション統括本部 アジア太平洋および日本 ゼネラル・マネージャー ハンス・チュアン氏と、インテル コーポレーション クライアント・コンピューティング事業本部 副社長 兼 クライアント・セグメント担当本部長 デビッド・フェン氏が説明した。
まずCore Ultraシリーズ3プロセッサーの製造プロセスの革新性をアピールした。Core Ultraシリーズ3プロセッサーは同社独自の製造プロセスである「Intel 18A」で量産された最初のプロセッサーとなる。その特長は「RibonFETトランジスター」と「PowerVIAテクノロジー」だ。これら二つのテクノロジーによって従来の製品と比較してワットあたりのパフォーマンスが最大15%向上し、チップ密度が最大30%向上したという。

クライアント・コンピューティング事業本部
副社長 兼 クライアント・セグメント担当本部長
デビッド・フェン氏
またCPUやGPU、プラットフォームコントローラーをタイル状に実装しており、コア数の組み合わせを変えることで用途に応じた製品を柔軟に提供できる。その結果、Core Ultraシリーズ3プロセッサーは三つのラインアップを用意している。
ベーシックな製品には合計8コアのコンピュートタイル、合計12本のPCIeレーンを持つプラットフォームコントローラータイル、そしてXe3アーキテクチャーを採用した4個のXeコアを持つGPUタイルが実装される。
より高い性能を求める用途に向けた製品ではコンピュートタイルが合計16コアに、プラットフォームコントローラータイルのPCIeレーンが合計20本に強化される。さらにグラフィックスを強化した製品ではGPUタイルにおいてXe3アーキテクチャーを採用したXeコアが12個に強化され、合計16コアのコンピュートタイルと合計12本のPCIeレーンを供えるプラットフォームコントローラータイルが組み合わされる。
ローカルAIとクラウドAIの
ハイブリッドAIでAI PCを伸ばす
Core Ultraシリーズ3プロセッサーのパフォーマンスについては、AI処理性能はNPUが50TOPS、GPUが120TOPS、CPUが10TOPSで、合計180TOPSのシステム性能を誇る。従来の製品(Core Ultraプロセッサーおよび同シリーズ2プロセッサー)との比較では、同等の性能を最大40%の省電力で実現するとともに、マルチスレッド性能についてはCore Ultraシリーズ2プロセッサーと比較して同等の電力消費で最大60%のパフォーマンス向上を実現しているという。
電力効率についても大幅に向上しているとアピールする。Core Ultraシリーズ3プロセッサー搭載AI PC(Core Ultra X9プロセッサー 388H)搭載のリファレンスデザイン環境)においてNetflixの映画やドラマをオンラインでストリーミング再生した場合、最大27時間の連続再生がバッテリー駆動で可能だという。フェン氏は「飛行機でサンフランシスコから東京を経て、ロンドンへ行ってもバッテリー駆動で映画やドラマをオンラインで楽しめます」とアピールする。
また分科会のAI PCの講演に登壇したインテル AI技術本部 部長 太田仁彦氏が「世界中で稼働しているインテル製プロセッサーを搭載したAI PCのパフォーマンスを合算すると、データセンター40箇所分のパフォーマンスに相当します」と言うように、AI PCの普及によってAI活用に伴う電力消費の削減効果も期待できそうだ。
ローカルAIのみにフォーカスするのではなく、ローカルAIとクラウドAIを組み合わせたハイブリッドAIのメリットを強調していた点も興味深かった。このハイブリッドAIを実現するのが「AI Super Builder(Intel AI Assistant Builder・開発コード名:Project SuperBuilder)」だ。

AIグループ プロダクト・マネジメント & GTM 副社長
アニル・ナンドゥリ氏
これはインテル製プロセッサーを搭載したAI PC上で、カスタムAIエージェントやアシスタント、チャットボットをローカル環境で簡単に構築・実行できるオープンソースのソフトウェア・フレームワークだ。PCのローカルAIモデルだけではなくクラウドのLLMやソフトウェアとも協調し、ローカルとクラウド間の通信においてデータを保護するなどしてハイブリッドAI環境を実現する。
インテルでは引き続きAI活用の促進に向けてAI PCの普及とソフトウェア開発の支援に取り組むことを国内および自社の事例を交えて説明するとともに、インテル コーポレーション AIグループ プロダクト・マネジメント & GTM 副社長 アニル・ナンドゥリ氏がAIデータセンターのパフォーマンス向上と電力消費削減を両立するテクノロジーおよび製品の開発・提供への取り組みも説明した。




