ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第52回

VAIO Z譲りの立体成型カーボン天板を採用した高品質スタンダード「VAIO Pro PK」


VAIO「VAIO Pro PK」

VAIOには「Z」を冠するフラッグシップモデルが存在します。Zシリーズにはいち早くVAIOの最新技術が投入されますが、実は同社のスタンダードモデルにもそれら最新技術が継承されているんです。今回はZシリーズのエッセンスを高コスパで実装した法人モデル「VAIO Pro PK」のレビューをお届けします。

文/ジャイアン鈴木


「VAIO Pro PK」は「VAIO SX14」の法人向けモデル

「VAIO Pro PK」は14インチのクラムシェル型モバイルノートPC。製品名に数字が入っていないので画面サイズがわかりにくいですが、一般向け「VAIO SX14」の法人向けモデルになります。

OSはWindows 11 Pro/11 Home/10 Pro、CPUは第11世代のCore i7-1165G7/Core i5-1135G7/Core i3-1115G4/Celeron 6305を採用。メモリーは32GB/16GB/8GB、ストレージは第4世代の2TB/1TB/512GB/256GB、第3世代の512GB/256GB/128GBを用意しています。

ディスプレー解像度は3840×2160ドットと1920×1080ドットがラインナップされ、1920×1080ドットのみタッチ対応を選択可能です。

このほかにもWWAN、セキュリティーチップ、指紋認証、顔認証、キーボード、本体カラー、Officeなどをきめ細かくカスタマイズ可能です。

本体サイズは約320.4×222.9×13.3~17.9mm、重量は約1022~1139g。53Whのバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間は約14.5~30.0時間と謳われています。

パッケージには本体以外にACアダプター、クリーニングクロス、説明書類が同梱

本体天面はZシリーズ譲りの立体成型カーボン天板がを採用。軽量化と高剛性を両立しています

本体底面。高剛性を確保するためか、ネジの数は17本と多め

ディスプレー面。ディスプレー上部にはカメラ、人感センサー、マイク、カメラシャッターを配置。マイクには「AIノイズキャンセリング機能」が組み合わされており、環境ノイズを低減してくれます

キーボードは日本語配列(かなあり/バックライトなし)、日本語配列(かなあり/バックライトあり)、日本語配列(かななし/バックライトあり)、英字配列(バックライトあり)の4種類から選べます

本体前面と本体背面。WWAN対応モデルは本体背面にあるスロットにnanoSIMカードを装着します

右側面にはUSB 3.0 Type-A(給電機能付き)×1、Thunderbolt 4(USB 4、USB Power Delivery、DisplayPort 1.4、5Vアシスト充電対応)×2、HDMI×1、有線LAN(1000BASE-T)×1、左側面にはUSB 3.0 Type-A×1、3.5mmコンボジャック×1を装備

ディスプレーの最大展開角度は180度。対面の人と画面を見ながらキーボード、タッチパッド操作が可能です

ACアダプターのコード長は実測180cm

ACアダプターの仕様は、入力100-240V~1.5A、出力5V 3A、9V 3A、15V 3A、20V 3.25A、容量65W

本体の実測重量は1041.5g

ACアダプターの実測重量は164.1g

Core i5-1135G7でもクリエイティブワークに活用できる

今回お借りしたマシンは、Core i5-1135G7/メモリー8GB/ストレージ256GB(PCI Gen3 x4接続)という構成。主要ベンチマークを実施したところ、CPUベンチマーク「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は5632pts、CPU(Single Core)は1345pts、3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC、フルスクリーンモード)のスコアは6872(やや快適)、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は3167.77MB/秒、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は1290.81MB/sとなりました。

VAIO Pro PKにはCore i7-1165G7という上位CPUが用意されていますが、今回のCore i5-1135G7でもクリエイティブワークに活用できるだけのCPU性能を備えています。特筆しておきたいのが3Dグラフィックス性能。前世代のCPUに比べて2倍の性能を実現したと謳われている「Intel Iris Xe Graphics」を搭載しているだけに、軽めの設定であれば3Dゲームをスムーズに動作させることが可能です。もちろんこの内蔵グラフィックスのパフォーマンスは、GPU支援を利用するクリエイティブ系アプリでも効果を発揮します。

ストレージについてはPCI Gen3 x4接続のSSD搭載機として順当な結果。これ以上のパフォーマンスが必要なら、PCI Gen4 x4接続のSSDを選択しましょう。

CPUベンチマーク「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は5632pts、CPU(Single Core)は1345pts

3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC、フルスクリーンモード)のスコアは6872(やや快適)

ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は3167.77MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は1290.81MB/s

今回の貸出機には1920×1080ドット、タッチ非対応ディスプレーが搭載されていましたが、色域を実測したところsRGBカバー率は99.8%、sRGB比は104.1%という値が出ました。モバイルノートPCとしては平均以上の色域を備えています。

実測したsRGBカバー率は99.8%、sRGB比は104.1%

電源オフからロック解除できる指紋認証センサーが便利

さて、VAIO Pro PKの使用感ですが、まず電源オフからロック解除できる指紋認証センサーが便利です。通常の指紋認証センサー一体型電源ボタンの場合、電源オンと指紋認証で2回プッシュする必要がありますが、本製品はワンプッシュでOK。デスクトップ表示までのステップ数が少ないぶん、気軽にシャットダウンできますね。

電源オフ時でもプッシュした際に指紋を読み取るので、Windowsが起動してから再度触れる必要がありません

また人感センサーを利用して、離席時にシステムをロック、着席時にウェイク、在席中にタイマースリープ/タイマーディスプレーオフ/スクリーンセーバーを無効化する機能も快適です。不特定多数の人がいるフリースペースなどで仕事をする場合に、作業の中断、再開をオートで実行してくれます。

人感センサーを利用して、離席時にスリープ、着席時にウェイクする機能を用意。なお、動画再生、スライドショー、プレゼンテーションモード中は、離席時の動作設定は一時的に無効になるのでご注意ください

個人的に非常に気に入っているのが耐指紋、耐防汚加工が施されたキートップ。VAIO Zで開発されたフッ素含有UV硬化塗装がキートップに行われており、摩耗と皮脂油によるテカリを強力に抑えてくれます。皮脂油多めの筆者は、天面、パームレスト、底面も、このフッ素含有UV硬化塗装でフルカバーしてほしいと思ったぐらいです。

どんなにデザインがよくても皮脂油が付着していたら台無し。VAIO Pro PKは筆者がこれまでレビューしたノートPCのなかで、ダントツで皮脂油が目立ちません

ひとつだけ改善してほしい点があります。それはインターフェース。本製品は有線LANなど、比較的インターフェースが充実しているほうですが、SDメモリーカードスロットが前モデルから削られてしまったのは残念です。また、VAIO Zと同様に、充電用の端子(Thunderbolt 4)を左右側面に配置してほしかったですね。

基板設計の難易度が上がると、以前VAIOの開発陣から聞きましたが、充電として利用するUSB Type-C端子が右側面だけなのが残念

Windows 11の新機能を享受できるクラムシェル型モバイルノートPC

今回のVAIO Pro PKは、前述のとおりWindows 11をプリインストール可能で、もちろん「VAIOの設定」から有効化できる機能もすべてWindows 11に対応しています。タッチ対応ディスプレーモデルを選択すれば、タッチ操作に最適化されたWindows 11の新UIも利用可能。Windows 11の新機能を享受できるクラムシェル型モバイルノートPCとして、VAIO Pro PKはもってこいの一台です。

ジャイアン鈴木

筆者プロフィール:ジャイアン鈴木

EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。