戸田覚の週刊「ジバラ」-自分働き方改革のススメ【第28回】
「少人数のプレゼンに最強」タブレットをPCのモニターにする
今回の「自働」(ジバラ)は、モバイルノートにタブレットを接続して外付けディスプレイとして使う方法を紹介する。他の記事でも何度か書いているのだが、これがとにかく便利で生産性向上に大きく役立つ。ところが、実際に自分以外が使っている場面には、これまでに1度しか出会っていない。ぜひ利用していただきたく、そのメリットを中心に説明していこう。
文/戸田 覚
接続はiPadがおすすめ
僕は、iPadに「Duet Display」というアプリをインストールして利用している。パソコン側にもインストールが必要だ。アプリの価格は1200円だが、まったく妥当だと思う。スマホ向けのアプリは無料や安いものが多いが、最近は生産性に寄与するタイトルの価格は高くなり始めている。これはとても妥当で、制作者も利益が上がらなければ良いアプリを作ることができなくなってしまう。我々も良いと思ったアプリには、1,000~2,000円なら喜んで払おうではないか。ちょっとしたランチ1回分の金額だからだ。なお、支払うのはiPad側だけで、パソコンのアプリは無料。
ここではインストールの手順などには触れないが、とても簡単なので戸惑うことはないだろう。僕は何台かのパソコンで利用しているが、相性の問題があるのか、再起動しないとつながらないケースがある。うまくいかなければ、パソコンを再起動してみてほしい。なお、画面は小さくなるが、iPhoneでも利用可能だ。
Android向けのアプリもいくつかあるが、こちらは相性の問題なのか特にお勧めできるものが見当たらない。手元にAndroidタブレットしかない方は、自分の環境に見合うかどうかテストしてみてほしい。なお、Androidの有料アプリはインストール後2時間以内なら返金が可能だ。相性などでつながらなければ返金すればいい。
選択のポイントは必ずケーブル接続タイプを選ぶことだ。ワイヤレス接続だとレスポンスが悪くて気持ちよく使えない。
出先での作業性が向上する
モバイルノートにセカンドモニターを追加すると作業性が大きく向上する。例えば、ブラウザーを見ながら資料を作るようなケースでとても役立つ――と、こんな話をすると「それは無意味だ」とよく言われる。確かに、わざわざセカンドディスプレイにしなくても、iPadでブラウザーを表示すればいい。しかし、セカンドモニターにしておけば、URLやWebページ上の情報などをコピーアンドペーストできる点が便利なのだ。
ファイルのコピーなどの作業でも、画面が2つあれば快適に利用できる。モバイルパソコンのディスプレイは12~14インチ程度なので広いとは言えない。10インチクラスのiPadのモニターが使えるだけで、作業性が大きく向上するのだ。
なお、iPadのセカンドモニターはタッチ操作も可能だ。ファイルの選択やブラウザーのスクロールなどは指で行える。
会社で使うのはもちろん、モバイルノートとiPadを持ち歩いても、軽いモデルなら2キロ以下に収まる。僕は、出張先には必ず持っていくようにしている。
小規模なプレゼンに最適だ
iPadのマルチモニター環境を利用すると、小規模なプレゼンにとても重宝する。相手が1~3名程度ならプロジェクターなど不要。相手側の目の前にiPadを置き、自分はパソコンを操作すればよい。
商談の際はプロジェクターやテレビが使えるかどうか、その場に出向くまでわからない。使える環境を用意して出かけるのが正解だろう。なお、この方式ならパソコン側にUSB-C端子しかなくても、iPadをセカンドモニターに利用できる(相性などはそれぞれ確認してほしい)。
紙のスライドを渡して、相手がどんどんめくってしまうとまったく説明にならない。ところが、この方式を使えば、どんな場面でもプレゼンができる。しかもプロジェクターの表示と違って、お互いが正面を向いて座った状態でプレゼンできるのだから、より緻密な話をしやすいのだ。
僕は、さまざまな提案の際に、必ずiPadとパソコンを持ち出して、プレゼンを行うようにしている。確かに荷物は少し重くなるが、説得力の差を考えたら我慢して持ち運ぶ価値は間違いなくある。
筆者プロフィール:戸田 覚
1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。