池澤あやかの 体験!スマートワークテクノロジー - 第1回
施設・店舗での防犯や入退室管理、マーケティングにも活用できる顔認証システムの世界
NECのアプライアンスサーバ「NeoFace 顔認証システム導入セット」
さまざまな観点で働き方を変革していくソリューションを、タレントでありながらギーク女子の池澤あやかさんに実際体験してレポートしていただく「池澤あやかの 体験!スマートワークテクノロジー」。第1回は、NECが長年培ってきた顔認証技術をご紹介。デスクトップ型のアプライアンスサーバ「NeoFace 顔認証システム導入セット」を使った、さまざまな顔認証機能を体験していただきました!
取材/池澤あやか、文/飯島範久、写真/岡田清孝
タレント/エンジニア
池澤あやか
@ikeay
第6回東宝「シンデレラ」オーディションで審査員特別賞に選ばれ、タレントとして活躍する一方、慶應義塾大学 環境情報学部(SFC)在学中にプログラミングに目覚め、Ruby界では女神と呼ばれるほどに。大学卒業後もプログラミングができるタレントという特技を活かして活動中。現在TOKYO MX「VRフレンズ2」(毎週金曜日20:00~20:30)に出演中。
約30年もの歴史のあるNECの顔認証研究
ビジネスソリューションというと、少し縁遠い存在と思われる池澤あやかさんですが、そこはギーク女子。最近はタレント活動のほか、エンジニアとして活動したりITテクノロジー関連を取材してメディアに寄稿したりしているお方です。今回体験していただいたスマートワークテクノロジーもかなり興味津々で話を聞かれておりました。
1回目となる今回は、最近さまざまなパソコンやスマホにも搭載されるようになった、生体認証のひとつ「顔認証」です。Windows HelloやiPhone XのFace IDなどで話題になっていますが、実は生体認証については40年、顔認証技術については30年近くも研究開発に取り組んでいるのがNECなのです。そこで、現在はビジネスの現場でも活用されている顔認証ソリューションについて、NEC パートナーズプラットフォーム事業部の堀本剛史さんにお話を伺いつつ、実際に顔認証を池澤さんに体験していただきました。
伺ったのは、秋葉原にあるNECの店舗型ショールーム「クラサバ市場」です。こちらの2階に顔認証が体験できるスペースが用意されています。
池澤あやか「今回はよろしくお願いいたします。まず、NECの顔認証について教えていただけますか?」
堀本剛史「NECの生体認証事業は、40年という長い歴史があり、世界約70ヵ国以上700システム以上を導入しています。そのうち、顔認証は30年近く研究開発しております。たとえば指紋システムですと、アメリカのカルフォルニア州の警察では、約1400万人分のデータを扱っていたり、南アフリカ内務省では国民IDシステムで約5000万人分のデータを管理していたりしています」
池澤「扱っている規模に驚かされますね」
堀本「確かにそうですね。顔認証については、ブラジルの主要14空港の税関にシステムを提供していたり、身近なところでは、国内大型テーマパークの年間パス購入者用“顔パス認証”だったり、女性アイドルユニットのコンサートにおけるチケットレス入場などに利用されています」
堀本「顔認証の技術は、2009年からアメリカ政府(米国国立標準技術研究所)主催の顔認証精度評価コンテストに参加しており、精度と認証速度において4連覇を達成しています※。精度はもちろんですが認証速度が速いのがNECの顔認証の特徴です」
池澤「確かに、顔認証を使って認証が遅かったら、入園や入場に時間がかかってしまい利用したくなくなりますよね」
堀本「こうした顔認証のシステムは、従来だと規模が大きく複雑だったのですが、もっと手軽に利用できるよう、顔認証システムをまるごと1つのパッケージにしたのが、『NeoFace 顔認証システム導入セット』です」
池澤「めっちゃ小さいですね!」
ショールームに設置されていた『NeoFace 顔認証システム導入セット』は、机の上に置いておけるデスクトップ型で、監視カメラが設置されタブレットも置かれていました。
堀本「これ1台だけ置いてもらえれば、学校だったら代返(代わりに返事する)防止だとか、入試だと替え玉防止だとか、塾だといまはICカードを入室時にピッとすると、親にメールが飛んで塾に行っていることが分かるんですが、それが嫌でICカードをかざさない生徒がいたりするわけです。そんなとき顔認証なら、入室したとき瞬時にチェックできるので、替え玉はできませんし、カードをかざさなくても親へメールが送られます(既存のメールサーバと連携が必要)」
池澤「えっ、怖! そうなると授業をサボったりすればすぐバレるし、塾をサボって遊びに行くなんて、学生あるあるなので学生にとっては厳しいですね」
堀本「NECはパートナー様とのソリューション創出にも注力しています。たとえば、『勤怠管理ソリューション』というのがあり、入退室や勤怠管理を顔認証で行なえます。監視カメラや電子錠と組み合わせれば、瞬時に判断してゲートを開けるということもできます。また、タブレットを壁に設置して利用できるので、いつ誰がどのくらい働いたのかを自動で記録してくれます」
池澤「朝帰りするような働き方でも大丈夫なんですか?」
堀本「勤務時間を設定して朝入室したら出勤、夜最後に退出したら退社という感じで登録されます。日をまたぐような場合は、勤怠システム側で調整することで、正確に把握し活用することが可能です」
池澤「顔パスになるから、タイムカード方式よりは従業員も楽だと思います」
堀本「もうひとつ、『顔認証×インカム連携ソリューション』は、顔認証の結果を、店舗内のどこにいても認識できるようにしたいという需要に応えたソリューションです。たとえば、高級店舗ならVIPのお客さまが来店されたら、担当営業にインカムで通知できます。これにより担当営業がバックヤードにいる場合も迅速な接客が可能です」
池澤「それは、小売店舗や施設での安全対策にも使えそうですね。特定人物が来店したら通知するとか」
堀本「さすがよくご存知で。小売店舗のセキュリティ向上や福祉・介護施設の見守り用途など、顔認証ソリューションが活用できるシーンは、多岐に渡ると実感しています」
池澤「なるほど。そういった用途にぜひ広まってほしいですね」
瞬時に判断されるスピードにビックリ
さっそく、池澤さんにNeoFace 顔認証システム導入セットを体験していただきました。監視カメラを利用することを想定したもので、カメラの映像がリアルタイムに画面に表示され、顔と認識されると赤や緑色の枠で囲まれて、情報が表示されます。池澤さんの顔も映った瞬間に認識され「未登録者」と表示されました。これは、一致率を点数づけしていて、70点以上なら本人でしょうということで赤色が点灯。ちょっとうつむいていたりして顔がよく見えないと、それ以下となり緑色で表現されます。サーバの横にある表示灯とも連動でき、ウォッチリスト(事前に準備した登録者)に載った人たちを認識したら赤色が点灯して、店内の従業員に知らせるということも可能です。
池澤「映った瞬間、すぐ“顔”と認識されるんですね。私も登録できますか?」
堀本さんに登録作業をしていただいた池澤さん。登録した瞬間「未登録者」扱いだった池澤さんも「池澤さん」と表示されるように。登録はカメラに向かって撮影し、各種情報を登録するだけ。
池澤「たとえば初めて来店された方は、このように写真を撮れないですよね。どうやって登録するんですか?」
堀本「いい質問ですね。店舗に設置された監視カメラに映って顔と判断した記録は、ログとして保存されています。その中からできるだけ正面を向き、目を開いている画像を選択して登録する事ができます。ただ基本的には、個人情報保護やプライバシー保護のため、利用目的などご説明し、ご本人の了解の上登録し運用するよう指導しております」
池澤「ログが残っているんですね。何件ぐらい残せるんですか?」
堀本「最大で約50万件になります」
堀本「このサーバ1台で、タブレットなら8台、カメラなら6台まで接続可能です。認証できるサイズは、写った映像上で目と目の間が最低40ピクセルあれば大丈夫です。たとえば望遠レンズを利用して撮影すれば、離れた所にカメラを設置しても顔認証ができます」
つまり、このシステムは、特殊なカメラを必要とせず、基本的にはいまある監視カメラをそのまま利用できる(ネットワークカメラで一部機種は使用できない場合がある)ので、わざわざ新しくカメラを購入する必要がありません。そうなるととても導入しやすいのですが、誤認しないのか気になります。
池澤「たとえば写真をカメラにかざしてしまえば認証されちゃうのではないでしょうか?」
とおもむろに、自分のスマホを取り出して自分の顔を表示させ、カメラに向けてみるという行動に出ました。
池澤「あっ、なかなか認識しないですね。画面が小さいからかな?」
堀本「先ほどご説明した、目と目の間の距離が足りないと、本人と認識されません。また、監視カメラだと、上の方に設置されているケースがほとんどなので、スマホを天井に設置されたカメラに向けて近づけていると非常に違和感ありますよね。警備員がいたり、常時監視している人がいたりすれば、それで防げます。あと、タブレットなどでは顔を動かしてもらい本人(生体)確認を取ることができるので、精度を高められるようになっています」
池澤「確かに、顔写真を掲げた人がうろついていたら怪しいですよね。あとどの程度表情が映ったら認識されるんでしょう?」
と、池澤さんは変顔をしたり、顔を隠したりしてどの程度顔が見えれば、本人だと認識されるのかいろいろ試してみた。
池澤「手でメガネをするとダメだけど、メガネだと大丈夫ですね。マスクは目しか見えないからさすがに厳しいみたいです」
堀本「NECの顔認証は特徴点と呼ぶポイントがあり、それらをチェックすることで精度を高く保っています。メガネならそれらの特徴点があまり隠れないので同一人物と認識できますが、マスクだと特徴点の半分は見えなくなってしまうため認識するのは難しくなります。ただ、このシステムは顔らしさという基準を持っておりこれをチューニングすることも可能です。その結果、マスクをしていても顔として判断し顔認証を活用することも可能です。ただし、マスクを付けて目だけ似せている人でも認識される可能性が出てきます。そういったリスクをお客様にてご承知いただければ利用も可能です」
池澤「マスクした人をキチンと顔としては認識しているので、気になる行動をする特定人物にも対策ができそうですね」
とにかく、いろいろな表情を試された池澤さん。よほど顔を隠した状態にしていないと、ずく本人と認識されてしまうので、ちょっとでも気を許したすきに、すぐ本人とバレてしまいます。
池澤「それにしても、認証するまでの時間が一瞬で、カメラに顔が映った瞬間に誰なのか判断されるのはビックリです。複数の人がいてもちゃんと認識されますし」
堀本「この反応速度は、顔認証を知っている人ならびっくりされるレベルです。1秒間に4枚写真を撮っていて、その中の1枚でも認証されていると赤くなります。1つのカメラで最大5人まで同時に認証できます」
年齢や性別などを推定できる仕組みでJK判定!?
続いて、同じシステムを使って、おもてなしや防犯、VIPをターゲットにした機能ではなく、マーケティングとして活用できる「FieldAnalystオプション」という機能を見せてもらいました。よくIT関連の展示会へ行くと、顔認証で年齢などが表示されるデモをやっていますが、同様のことができるシステムです。池澤さんがカメラの前に立ってみたところ……、
池澤「あ、19歳! 顔を動かしているとちょっとずつ年齢が下がってますね」
と、変顔をしながら続けていると、17歳まで落ちていきました。実年齢より若く判断されたことで喜ぶ池澤さんに、
堀本「実は、池澤さんの年齢が高く表示されたらどうしようという思いのあまり、ちょっと-7歳補正していたんです」
池澤「えぇっ、なんだぁ。ぬか喜びじゃないですか(笑)」
最初に19歳と判断していたということは、実際には実年齢をズバリ言い当てられていたということになり、池澤さんは年相応と推定されていたことになります。
池澤「展示会のデモで『あ、若く見られている』と喜んでいる場合は、結構補正が入っている可能性があるんですね」
堀本「年齢だけでなく、性別や笑顔度、サングラス、メガネ、マスクの装着なども判定してくれます。こうした機能は、たとえば最近街でよく見かけるデジタルサイネージと組み合わせて利用すると、40代でメガネを掛けた男性にあっているオススメ商品を表示するといったことができます。また、先ほどの顔認証と違うのは、ログとして残るのは判別した年齢や性別、装着物などのテキスト情報だけで、写真は残りません。このため個人を特定するような情報は、サーバに残らず個人情報に触れないよう配慮しています」
パソコンのログイン管理も顔認証で対応可能に
最後に、パソコンと組み合わせたシステムも見せてもらいました。顔が登録されている人がパソコンの前に立つと、やはり一瞬でログインできてしまいます。
池澤「やはり、認証速度がめっちゃ速いですね」
堀本「これまでの顔認証速度と同様、ほぼ一瞬で認証されます。現在では、生体検知機能も搭載されており、先ほどもあった写真データでのなりすまし対策も可能で、セキュリティをアップできます。この顔認証は、単なるログインだけでなく、後ろに人が立ったときに画面ロックを掛けたり、席を外したらすぐにロックをかけたりするということもできます」
こうして一通り顔認証を体験していただいた池澤さん、今回体験してみた感想は?
池澤「とにかく認証がめっちゃ速かったのがすごく印象的でした。結構、画像を検索するのって時間がかかるものじゃないですか。それなのに一瞬で結果が出てくるのは、正直驚きました。いつも私は、顔認証を試す機会があると、いかに顔認証をくぐり抜けるか試してしまうのですが、今回しっかり対策もとられていることがわかり、さすが30年近く研究開発しているだけあって、スキを見せないなと思いました。ぜひさまざまなシーンで世の中のために役立ててほしいですね」
今回のシステムは、たとえばコンビニの入口にカメラを1台設置して利用するには、約67万円で購入できます。業界・活用シーンによっては、僅かな投資で大きな効果を獲得できる可能性があり、コストパフォーマンスは優れていると思います。導入する際のソリューションは、いろいろなパターンがあるので、利用したい環境に合わせてシステムの相談をしてみるといいのではないでしょうか。