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雨量や風向きなど八つの気象要素を観測する「ソラテナ」

雨量や風向きなど八つの気象要素を観測する「ソラテナ」

2021年08月27日更新

気象情報をリアルタイムに可視化

IoTに関する事例や最新のセンシング技術などを紹介してきた本連載も、今月号で最終回を迎える。今回は、ウェザーニューズが開発した気象IoTセンサー「ソラテナ」を取り上げる。気象データの切り口から企業のビジネス発展に貢献するIoTデバイスだ。

DXで気象データの需要高まる

ソラテナをドローンの運航に活用した事例。現地の風向・風速データをリアルタイムに観測し、ドローンの安全運航を支援している。

 昨今、台風の大型化、季節外れの大雪、大雨や猛暑といった気候変動による気象の極端化が目立つようになった。影響を受けた地域は広範囲に及び、気候変動は年々激しさを増している。そうした気候変動による気象災害から人々を守るため、1986年の創業から気象と向き合い続け、気象に関する予測や分析技術を培ってきたのがウェザーニューズだ。そんな同社が開発したのが、気象IoTセンサーのソラテナである。

「企業のDX化が進み、気象データに対する需要が高まっています。工事現場や工場などの作業現場における安全対策として気象観測データを活用したり、気象データをマーケティング分析に生かしたりとさまざまな用途で役立てられます。近頃は、気象の予測だけではなく、当該地の気象情報をリアルタイムに知りたいといった企業独自のニーズも増加しており、設置した場所の気象を観測できるソラテナの開発に至りました」とウェザーニューズ モバイル・インターネット事業部 マーケティング チームリーダーの上山亮佑氏は開発背景を語る。

 気象観測のために必要となる要素は、気温、湿度、雨量、風速、風向などさまざまだ。企業が気象データを得るためにそれぞれの観測機器を導入するとなると、コストや機器の管理など負担は大きいだろう。ソラテナを設置することで、そうした負担をかけることなく、簡単に気象データの活用を実現できる。

「例えば、雨がいつ、どこで、どのくらい降るのかといったことが把握できる雨雲レーダーのようなサービスもありますが、雨雲が発生していても地上では降水現象が観測されないケースもあります。観測地の実際の状況を取得するソラテナの観測データは、非常に有益な情報となるでしょう」(上山氏)

八つの要素を1台で観測

 ソラテナの特長は、気温、湿度、気圧、雨量、風速、風向、照度、紫外線の八つの要素を観測できることだ。観測データは1分ごとに自動的に取得が行われ、クラウドに保存されていく。データの通信にはIoT向けのSIMが用いられており、安定した通信環境で利用可能だ。観測データはWebブラウザーから、気温や湿度などの個々の詳細な数値やグラフデータが確認できる。

 また、ソラテナの観測データはAPIで提供しており、企業独自のシステムにデータを組み込むといった活用にも対応している。APIは利用シーンに応じて、下記の3種類を用意する。

・ 最新データのみを取得するAPI
・ 過去の1時間のデータを時系列で取得するAPI
・ 過去に観測された任意期間のデータを取得するAPI

「最新の観測データをトリガーとした強風アラートや熱中症アラートを自社システムに連携させるといった活用、天気と連動した広告やクーポン配布といったマーケティング施策など企業のニーズに合わせて自由に活用できます」(上山氏)

 ソラテナは、直径約14×高さ約20cmの小型設計で、持ち運びしやすく、設置したい場所に置くだけという導入のしやすさも魅力だ。利用時には、ACアダプターを活用した電源供給が必要となるが、太陽光パネルとの連結もさせられるため、コンセントが近くにないような環境下であっても導入できる。「観測機器の多くは、サイズが大きく設置する際は大掛かりとなります。その点、ソラテナは設置する場所やスペースに悩むことなく導入できます。複雑な設定も不要で、電源を入れるだけで観測が始められるという簡単な仕組みです」と上山氏はアピールする。

業種を問わず利用できる

 ソラテナは、2018年から実証実験を経て、2020年9月に製品提供を開始した。実証実験では、ドローンの運航事業やスマート農業、高速道路のメンテナンス事業まで、さまざまな業種や分野で検証が行われた。「台風や豪雨、大雪といった過酷な環境下でソラテナが稼働するのかなど、試行錯誤を重ねながら試験を行いました。現地の風向や風速データをリアルタイムに観測してドローンの運航を支援したり、周囲への農薬の飛散を避けるために風速を計測して農薬散布のタイミングを調整したりするなど、業種や分野を問わず利用できるソラテナの活用範囲の広さを実感しています」(上山氏)

 続けて今後について「ソラテナが観測したデータを解析し、新たなコンテンツやサービスに生かしていきたいと考えています。ソラテナを含め、当社が提供している気象データサービス『WxTechサービス』が企業のDX化に貢献できるようサービスの充実を図っていきます」と上山氏は展望を語った。

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