KDDIとKDDIスマートドローン、エリクソン・ジャパンの3社は、2026年3月7〜8日の2日間、「遠隔ドローンプログラミング教室」を開催した。本イベントは金沢大学の子供向けアントレプレナーシップ教育イベント「SOZOWフェス Kanazawa 2026 Spring with 金沢大学」が開催された金沢大学未来知実証センターと、KDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校がある板橋ドローンフィールドの2拠点で実施され、それぞれの空間をKDDIが提供する「空間自在ワークプレイスサービス」でつなげた。遠隔地をテクノロジーでつなぎSTEAMの学びを行う、次世代のリモート学習の在り方を見ていこう。

(右)プログラミングしたドローンが正しく飛行するか、駆け寄って安全な場所から確かめる子供たちの姿も見られた。実際にプログラミング通りに飛行すると、子供たちからは歓声が上がった。

教育機会の地域格差解消を目指す
大手通信事業者で知られるKDDIと、その通信事業者に対して各種通信機器の販売や設定、保守などを行っているエリクソン・ジャパンは、以前から地域や学校の枠を超えたSTEAM教育を提供する「エリクソン×KDDI 遠隔STEAM教室」を実施してきた。これはエリクソン・ジャパンが実施しているロボット教育プログラム「Connect to Learn:デジタルラボ・プログラム」活動と、KDDIの「空間自在ワークプレイスサービス」を組み合わせ、東京とそのほかの地域をつなげることで、新しい教育体験を提供するものだ。その中でもドローンを活用した遠隔ドローンプログラミング教室は初めての開催となる。
空間自在ワークプレイスサービスは4K相当の大画面映像と高音質のステレオ音響によって、臨場感のある遠隔コミュニケーションを実現できる。汎用的なWeb会議ツールと比較して通信のラグが少ないため、ワンテンポ遅れて音声や映像が届くようなことがなく、二つの拠点でリアルタイムなコミュニケーションが取りやすい。
今回のプロジェクトリーダーを担ったKDDI パーソナル事業本部 DXデザイン本部 デザインセンター 李 鍾潤氏は「都市部と比較して、地方ではプログラミングを教えられる先生が限られており、地域による教育の格差が生じています。そういった教育課題の解消に、この空間自在ワークプレイスサービスは有効です」と語る。これまでもエリクソン×KDDI 遠隔STEAM教室において、東京都港区の高輪にあるKDDI本社と宮城県仙台市のエリクソン・ジャパンの仙台オフィスをつなぎ、ロボットプログラミング教室や遠隔ゲームクリエイター教室を行った事例がある。
今回の遠隔ドローンプログラミング教室(以下、ドローン教室)を実施するきっかけになったのは、金沢大学とのつながりがある。KDDIスマートドローンは2024年の能登半島地震を契機に、石川県にドローンポートを設置し、被災状況の確認などを行えるようにしたり、配送用ドローンを活用した緊急物資配送の訓練などを行ったりしている。こうした接点から、今回金沢大学のイベント内でドローン教室を実施し、金沢大学と板橋ドローンフィールドをつないだ学びを実施することとなった。
試行錯誤しながらドローンを飛ばす
ドローン教室は3月7日、8日の午前・午後に分け、合計4回開催された。小学校1年生から中学校3年生までの児童生徒が対象だ。取材した回では東京から13名、金沢から9名の子供たちが参加した。
ドローン教室ではまず空間自在ワークプレイスサービスで東京会場と金沢会場をつなぎ、双方の会場のコミュニケーションが行われた。その後、ドローンについての説明が講師からなされた。説明ではKDDIが石川県で実施しているドローンポートの整備と、そのドローンポートにあるドローンを高輪のKDDIオフィスから遠隔操作することで、遠隔地にいても災害の被害状況を確認できることなどが紹介された。
今回のドローン教室の講師を務めたのはKDDI スマートドローンの社員だ。エリクソン・ジャパンとKDDIの社員はインストラクターとして、子供たちのドローンプログラミングのサポートを行った。ドローンはfollowが提供する学習用コーディングドローンを教材として活用している。
それぞれのグループに分かれて離着陸や前進・後退といった動作をドローンにプログラミングして動かすに当たり、講師側からプログラミングのコツや速度規定の決まり事なども共有された。実際にプログラミングしたドローンが意図した通りに飛行すると、子供たちからは歓声が上がった。
ドローン教室の後半では、ドローンレースが開催された。レースといっても単純に速度を競うものではなく、東京と金沢で同じグループに分けられた子供たちがそれぞれ協力して、ゴールまでの到着速度を競う。スタートからゴールまでの間には、コンビニのイラストを設置し「コンビニでドローンに食べ物を積み込んで、目的地に輸送する」という、実際にドローンが活用されているシーンをイメージさせることで、より社会課題を身近に感じられるようなコースが設定された。子供たちは狙ったタイミングでドローンが着陸しなかったり、到着ポイントがずれてしまったりするという悔しさを感じながらも、何度もプログラミングを修正することで目的のルートを飛行させることに成功していた。
エリクソン・ジャパン マーケティング&コミュニケーション本部 マーケティング統括本部長 相田 桂氏は「当社ではもともとConnect to Learn:デジタルラボ・プログラムというロボット教育プログラムを対面形式で実施していましたが、KDDIさまと連携することで空間自在ワークプレイスサービスを活用し、同時に2カ所をつなげた学びが実現できるようになったことで、より広い地域の方々に参加いただけるようになりました。今後は3カ所を同時につなげるなど、規模を拡大することも検討しています」と語った。

