【特集】「Work IQ」で進化するCopilot
世の中にChatGPTが現れ、生成AIが注目を集めたころ、世界中で次々と新しい生成AIサービスがリリースされた。
またChatGPTも自身の頭脳となるLLM(大規模言語モデル)のGPTを進化させ、バージョンアップが発表されるごとに注目を集めてきた。
ではビジネスで日常的に使っているMicrosoft 365 Copilotはどうか。
もちろん絶え間ない進化を続けていることは言うまでもないが、今回はMicrosoft 365 Copilotの進化の現在地を確認する。
映像・音声の生成や
複雑なタスクの自動化も

日本マイクロソフト
クラウド&AIソリューション事業本部
AIビジネスソリューション統括本部
公共ソリューション本部
コラボレーション ソリューション スペシャリスト
郡司掛 怜美 氏
MOEKO●みなさん、こんにちは。日々の仕事や日常生活でMicrosoft 365 Copilot(以下、Copilot)と会話する時間が増え続けているMOEKOです。何かしようと思ったら、まずCopilotに相談する癖が身に付いてます。おかげで今までなんとなく無計画に物事に取り組んでいたのが、今では行動する前に目的や目標を達成するのに必要なことを把握して、計画的に効率良く取り組みを進めるようになっています。
Copilotを活用するようになって私自身が進歩したような気がしているのですが、Copilotの方はどうなんですかね。先生に教えてもらうことにしましょう。先生よろしくお願いします。
郡司掛さん●こんにちは、よろしくお願いします。私は日本マイクロソフトで国内の公共機関のお客さまに向けてCopilotの活用を提案しています。Copilotの隅々まで自分で使って実践していますので、Copilotの進化を実感しています。
MOEKO●生成AIが市場に出始めた頃は、LLMの種類やバージョンが注目されましたが、Copilotも進化を続けているのですか。
郡司掛さん●もちろんです。CopilotはしばらくOpenAIのGPT-3やGPT-4を中心としていましたが、昨年8月からGPT-5が使えるようになり、昨年12月にはGPT-5.2がCopilot ChatおよびCopilot Studio内から利用可能になっています。
さらに今後はOpenAIの映像・音声生成モデルの最新版である「Sora 2」がCopilotから利用できるようになります。
MOEKO●Copilotから高度な動画や音声も生成できるようになるんですね、すごい。
郡司掛さん●今回発表した新機能の一部はFrontierプログラムによって提供が開始されています。FrontierというのはMicrosoft 365の最新AI機能(特にCopilot関連)の早期アクセス(プレビュー)を提供するプログラムのことです。
Frontierプログラムでは、すでにAnthropicの「Claude Opus 4.1」がリサーチツールの中で利用できるようになっています。つまりCopilotであればOpenAI 1社だけではなく、各アプリケーションやエージェントの用途に合わせて配置された最適なAIモデルを適材適所で利用できるようになります。

「Work IQ」を実装して
“パートナーAI”に進化
MOEKO●LLMの進化以外にCopilotはどのように進化しているのですか。
郡司掛さん●昨年11月18日から21日にかけて米国サンフランシスコで開催されたマイクロソフトの年次イベント「Ignite 2025」で、Copilotに関する発表がたくさんありました。それらには共通するコンセプトがあります。それが「Work IQ」です。Work IQとはCopilotやAIエージェントが“あなたの仕事を深く理解し、文脈に即した支援を行う”インテリジェンス・レイヤーです。
CopilotやAIエージェントがファイルやメール、会議などの企業や個人の情報(Data)からユーザー個人の仕事の流れや習慣、他者との関係性などを把握し(Memory)、これらから得た文脈に基づいて次に必要な行動を予測する(Inference)という3層を通じて「仕事のために設計されたAI」を実現します。
従来のCopilotがキーワード(プロンプト)に対する回答が中心だったのに対し、Work IQを搭載したCopilotでは日ごろユーザーが行っている業務の文脈を踏まえて回答できるようになります。
MOEKO●今のCopilotでも十分頼りになるのに、もっと私に寄り添ったサポートをしてくれるのですね。Work IQを搭載したCopilotではどんなことができるようになるんですか。
郡司掛さん●例えばMOEKOさんがお客さまからメールでPCを受注したとしましょう。そのメールの内容や発注書が添付されていればその内容を、そして関連するメールやTeamsでのやりとりも含めてCopilotが文脈を読み取ります。そこから請求書の作成が必要だと推論し、MOEKOさんに提案してくれたり、社内のお作法や専門用語のようなものがあれば、それも踏まえて教えてくれたりしてくれるようになります。新入社員の方や新しい仕事を始める方には心強いアシスタントではないでしょうか。
プロンプト入力が不要で
先読みして仕事をこなす

MOEKOさん
ダイワボウ情報システム(DIS)に勤める入社2年目の営業職。顧客の課題に親身になって向き合う姿勢が評価されている伸び盛りの若手社員。次々と出てくる新しいテクノロジーの理解に苦戦している。
郡司掛さん●このようにMOEKOさんがCopilotにいちいちプロンプトで背景の説明や指示をしなくても、MOEKOさんの仕事の状況や日ごろの仕事のやり方を踏まえて、最適化された提案や情報提供を行ってくれます。AIとこの機能をうまく合わせて使っていけば、AIがMOEKOさんの代わりにさまざまな業務を自動化して行うことも可能になります。
業務の自動化という切り口ではAIエージェントを構築しなくても、WordやExcel、PowerPointに搭載される「エージェントモード」という新機能にも期待してください。OfficeアプリとCopilotがリアルタイムに連携してユーザーと一緒に共同作業をしてくれるようになります。
これまでもWordやExcel、PowerPointとCopilotが連携して、さまざまな文書や表やグラフ、プレゼンの資料などを白紙から新規作成やドラフトの作成できました。これらの新しいコンテンツの作成についても、インフォグラフィックなど含めた、さらに高度なデザインを含むコンテンツを生成できるようになると発表がありました。
それに加えて、エージェントモードを使えば今後は企業で使っている既存の帳票類、例えばWordの請求書フォーマットへのデータ入力や修正、PowerPointで「ここだけ少しCopilotにデザインを修正してほしい」といった指示も可能になります。
生成AIのデモでは、ゼロからカッコいい資料が作れるといったシナリオが多いですが、日常業務で頻繁に行われている作業の大半は指定のフォーマットへの入力や既存の資料の加筆・修正・使い回しです。これらの作業もCopilotがユーザーのアシスタントとして自律的かつ自動的に細かい作業を一緒にやってくれるようになります。大企業から中小企業まで、今までの業務のやり方を踏襲しながら効率を上げていく、より現実的な生成AIの活用例が増えてくるでしょう。
MOEKO●しばらくしたらCopilotにお願いしなくても、Copilotが気付いてくれて仕事をしておいてくれるようになりますね。そうなったら生産性が飛躍的に高まりますね。今からわくわくします。ありがとうございました。


