万能生成AIに進化した最高のAIツール
ChatGPTが大幅に進化しました。画像生成から画像分析、最新ニュースの検索からカスタマイズ版まで、今考えられる生成AIの活用法をすべて盛り込んだような大進化です。今までの「テキストで回答してくれるAI」というイメージを打ち破って、革命とも言える本当の生成AIの実力を見せてくれます。
この「All Tools」は2023年11月にWeb版のリニューアルで誰でも使えるようになりました。ただし無料版ではなく、月額20ドルの有料版「ChatGPT Plus」での提供となっています。
今まで無料版しか使っていなかった人、また最初は有料版に入っていたが解約した人向けに、今回の「All Tools」の機能を紹介しつつ、ビジネスでの活用法を紹介します。
画像生成・分析・最新情報など1つの画面で
All Toolsの主な機能をまとめたのが下の表です。
ChatGPT本来のテキスト生成・対話型AIに加えて以下のようなサービス・機能が入りました。
- 画像分析機能
- 画像生成(DALL-E統合)
- 最新情報の回答(ブラウザプラグイン統合)
- Pythonツールの強化・データ分析(PDF等ファイル読み込み)
- カスタマイズ版 GPTs(GPT Builder)
今まで別のサービス、もしくはChatGPTのプラグインとして提供されていた機能が一体化し、同じプロンプト(入力欄)で利用できるようになったのがAll Toolsの最大の特徴です。
たとえばChatGPTのプロンプトに「東京タワーとクリスマスの画像を作ってください」と入れれば、下のような美しい画像をChatGPT内のDALL-E(OpenAI社の画像生成AI)が作ってくれます。
もう一枚の画像は「阪神が優勝したときの道頓堀の様子を画像にしてください」と入力したもの。DALL-Eの画像生成はかなり精度が高い上に、このようなイラストタッチの画像生成を得意としています。今までのChatGPTでも、DALL-Eは利用できましたが別画面でした。同じ画面内でDALL-Eを使えるだけでも、All Tools(有料のChatGPT Plus)に入る価値があります。
ついに画像分析が日本でもスタート
そして予告されていた画像分析機能・GPT-4V(GPT-4 Vision)も10月から導入されています。たとえば韓国料理の画像を読み込ませて「この料理はなんですか?」と聞いたのが下の例です。
一発で「韓国料理のサムギョプサルと思われる」と正解を出してくれました。サムギョプサルの説明を入れた上で、「他にもキムチや豆もやし、タレに着けられた玉ねぎなどの小鉢が見える」と的確な画像分析をしています。
この画像分析はかなり精度が高く、風景や花も答えてくれます。
公園に咲いている花を広いサイズで撮影した画像ですが、きちんと「彼岸花」だと答えを出しました。花のアップではなく、広い画角でもきちんと正解を出すのは有能だと言えるでしょう。「英語でスパイダーツリーと呼ばれており日本でお彼岸の時期に咲くために彼岸花と言われている」といった解説を加えてくれることも優秀です。
この画像分析・GPT-4Vが10月にスタートしたときは、プロンプト内にある画像アイコンから読み込ませていました。しかしAll-Toolsでは画像アイコンではなく、クリップのファイルアイコンに変わっています。画像だけではなく、他のファイルを読み込めるようになったという意味です。
PDFファイルを読み込んで分析も
プロンプト左側にあるファイルアイコンでPDFファイルを読み込んだのが下の画像です。
これは政府のAI戦略会議が2023年春に出した「AIに関する暫定的な論点整理」というPDFファイルです。17ページに渡るテキストのみの文書でしたが、ChatGPTでは1分ほどで読み込んだ上で、すぐに概要をまとめてくれました。
単に概要をまとめるだけでなく、たとえば「AIの問題点をまとめろ」と指示すれば、このPDFファイル内で指摘されているAIの問題点を表示してくれます。
そしてChatGPTの強みは分析もできることです。文書からグラフを作ったり、売上データから四半期ごとの集計・分析を作ることも可能です。中身は人間の精査が必要ですが、それでも叩き台としての分析を出してくれるため、作業を大幅にスピードアップできます。
ちなみにこの機能は以前のChatGPTでもプラグインで対応できました。しかしAll ToolsではChatGPTのデフォルトの画面でそのまま利用できるようになっています。
最新情報もChatGPT内で回答可能に
従来のChatGPTでは現在の情報、たとえば天気予報やニュースは対応していませんでした。元となっている大規模言語モデルGPT-4が、2021年9月までのデータしか学習していないためで、現在の状況を聞くと「すみません2021年9月までのデータしかないため回答できません」と答えていました。
しかしAll Toolsからは最新の情報にも対応しています。たとえば「今晩の天気予報を教えてください」と聞くと、下のように最新の天気予報を表示してくれます。
これは従来のブラウザプラグインを、ChatGPTに統合した機能です。ブラウザプラグインはマイクロソフトBingのAI機能と同じもので、Webサイトを読み込んでその内容を答えるものでした。ただし今まではプラグインを有効にして別画面で使う必要があったのです。
しかしAll Toolsでは、プロンプトの内容をChatGPTが自動的に判断し、最新情報を要求するものだとわかるとWebサイトの情報を取りに行って回答してくれます。All Toolsでは現在の進行状況を表示しており、「天気予報検索」→「tenki.jpを読み込み」というステップで動いていることがわかります。
それだけではありません。これを画像生成を組み合わせて使うことができるのです。
上の画像は「明日の天気予報で気温と降水確率を読み込み、東京の風景画像に合成してください」というプロンプトの結果です。
最新の天気予報を元に、このようなグラフィックを一発で作ってくれるのです。複数の機能をまとめたAll Toolsの強みと言っていいでしょう。
複合技によってさらにクリエイティブに
これらの機能組み合わせによって、ChatGPT All Toolsは誰でもクリエイティブなツールとして活用できるようになりました。たとえば単純に「日本のスマホ普及率をグラフにしてください」と入力すれば、下のような結果を返してくれます。
Web検索で日本のスマホ普及率を検索した上で、それをグラフ画像にして返してくれます。テキストの回答が英語になってしまっている点、グラフの左右が反転しているなどまだ荒削りな部分はあります。しかしプロンプトを重ねることで、もっとスマートな出力を出せるようになるでしょう。プロンプトの指示がうまいかどうか、つまり私たち人間が上手に使えるかどうかが要求されているとも言えます。
今回の全面アップデートによってクリエイティブな面も進化しました。下の画像は小説と挿絵を書かせた例です。
最初に「AIと人間の小説を500文字以内で書いてください」という指示を出しましたが、あまりピンと来ないものだったので、主人公の主観で書き直させた上で、変化球として「沈丁花」「新しいスニーカー」という関係のないキーワードを入れてみました。出来上がった小説の挿絵もChatGPTに書かせています。
その結果、何も指示していないのに沈丁花の香りをテーマにした小説になった上に、挿絵は指示のない夜の情景にしています。クリエイティブな能力の高さに驚くばかりです。人間が思いつかないこともChatGPTが生み出してくれています。
仕事のスピードアップと企画アイデアに活用
ここまで見てきたように、ChatGPTは革命的とも言えるアップデート「All Tools」によって大きく生まれ変わりました。これで私たちの仕事も大きく変わります。
仕事のための資料作りは、データ分析・グラフ作成も含めてChatGPTに指示することができます。元となるPDFファイル、画像などを読み込ませ、かつWebサイトのデータも含めて多角的な資料を作ることができるでしょう。最初の出力は荒削りなものでしょうが叩き台としては十分なので、私たちの作業時間が大幅に短縮できます。
企業がもっとも活用できるのはGPTs、GPTビルダーでしょう。これはオリジナルのGPTを作成できるもので、いわばカスタマイズ版と呼べるものです。具体的な例を挙げると、PDFファイルを読み込んで、FAQのチャットボットを作成することができます。
たとえば社内マニュアルを読み込ませれば、業務に関する社員向けのサポートチャットボットができるのです。顧客向けのサポートチャットボットも作成できます。セッティングが必要ですが慣れればそれほど難しいものではないでしょう。
ChatGPTが登場してまだ1年ですが、ここまで進化するとは予想していませんでした。1年前のインパクトは「すごい!こんなことができる!」という驚きでしたが、1年で進化して登場したAll Toolsは「仕事に直接使える!」という実用性の高さが特徴です。
これらの機能は月額20ドルのChatGPT Plusによるものです。ぜひ一度だけ試しのつもりでChatGPT Plusに加入して使ってみてください。触ってみると「この業務に使えそう」「この仕事はChatGPTにまかせて楽ができそう」と色々なアイデアが生まれるはずです。1ヶ月で解約してもキャンセル等の手数料はかかりませんから、チャレンジすることをお勧めします。