戸田覚の週刊「ジバラ」-自分働き方改革のススメ【第30回】
スライドショーを記録して渡す(2)
自分の効率をアップするための働き方改革は、自分で行うしかない。これを「自働」(ジバラ)と命名している。今回は、プレゼンをスライドショーに記録して渡す方法の2回目。途中から読まれている方は、ぜひ前回から読んでいただきたい。
文/戸田 覚
センスの良い動画を作る
前回は、PowerPointでスライドショーを作成してみたが、完成したスライドを見て「なんとなくパッとしないなあ」と感じる方も少なくないだろう。そんな時におすすめなのが、アドビの「Spark Video」の利用だ。このアプリは、iOSで使える。できれば、iPadで作業したいところだが、持っていなければ、iPhoneでも利用できる。とりあえずiPhoneで試してみて、仕事に使えると感じたら、iPadを購入してもいいだろう。
Spark Videoの特徴は、センスの良いスライド動画が簡単に作れることだ。ただし、PowerPointのスライドをそのまま流用することはできないので、いちから作る必要がある。とはいえ、このアプリを使っていると、スライドにはあまり要素がいらない――ということがしみじみとわかるようになる。いちから作っても、さほど時間はかからないはずだ。また、JPEG型式の画像を貼り付ける機能はあるので、必要ならPowerPointのスライドや図をJPEG型式で保存して用意すれば利用可能だ。
Spark Videoを利用するにはアドビのアカウントがあると便利なので、自分の使い方に応じて作成して欲しい。
Spark Videoを使用すれば、下のようなスライドショーを簡単に作成し共有することが可能だ。
※ブラウザーで再生可能
https://spark.adobe.com/video/uVJSs90riIg5W
具体的な作成手順を紹介していこう。
アプリを起動したら、まずはテンプレートを選ぶ。アプリは残念ながら英語版だが、そう難しくはないので、戸惑わずに使えるはずだ。
なお、テンプレートはあとで変更することも可能。また、選んだテンプレートはデザインというより、それぞれのスライドで何を伝えるべきかのアドバイスが表示されるのが主目的のようだ。こちらは英語で面倒なので無視しても問題ない。つまり、テンプレートは適当に選んでいいというわけだ。
シンプルに図と写真を入れる
基本的には、用意されているicon(アイコン)という名前のピクトグラムと写真、テキストを入れてスライドを作成する。動画があるならビデオを貼り付けてもいい。
どちらにしろ、長文を入れるアプリではないのでシンプルに作成していこう。アイコンはキーワードを入力して検索するのだが、ここで日本語が使えないのがちょっと不便だ。
アイコンを貼り付けてサイズが気に入らなかったら、大きさの調整をする……というのがPowerPointなどでの作法だが、Spark Videoはそんなことはしない。サイズ調整はできないので、必要ならテンプレートを変更するのだ。また、スライドの色も選択できる。とにかく手間をかけずに作るのがコンセプトのアプリなのだ。
JPEG化したPowerPointの図も貼り付けられるので、積極的に利用していこう。GoogleDriveなどのクラウドストレージに置いておけば簡単に流用できる。
また、「Music」でセンスの良いBGMを加えられるので、こちらもぜひ使いたい。音声を吹き込んだ際も、間が持つようになる。
ファイルをリンクで渡せる
スライドが完成したら、いよいよ録音だ。記録機能の使い方が理にかなっていて、録音ボタンを押している間だけ記録される仕組みだ。こちらもスライドごとに録音するので、失敗したスライドは何度でも吹き込み直せばいい。
完成したら、共有メニューからスライドを渡す。ここで素晴らしいのが、自動的にリンクを作成してくれることだ。メールなどでシェアする際には、指定のリンクをクリックするだけで、ブラウザー上でスライドが再生できるようになる。
これなら、大きな動画ファイルを渡す必要もないし、スライドが流出する危険性も少ないだろう。仕事にはとても使いやすいのだ。
また、製品紹介などのちょっとしたスライドを作成して、会社のメンバーで使い回してもいいし、Webページに貼り付けておくこともできる。スマホでも負担なくスライドが見られる環境が用意できるのだから、仕事の情報を渡す方法としてはベストだと断言できる。
この方法を使えば、あなたが目の前で説明しているのと近い説得力が発揮できる。ぜひ使いこなして、メールによる商談などに役立ててほしい。
筆者プロフィール:戸田 覚
1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。