今月のテーマは……
クラウドサービスについておさらい

初めまして。グーグル・クラウド・ジャパンの庄司と申します。今号から同僚のKikiと共に、Googleのチームコラボレーションサービスとして提供している「Google Workspace」について、毎月寄稿します。皆さん、日々の営業活動の中で、チームコラボレーションサービスと言えば、Microsoft 365と比較される機会は多いのではないでしょうか? 私もKikiも、前職では、社内システムの一つとして、Microsoft 365を長年使ってきました。従いまして、このコーナーでは、Microsoft 365ユーザーの​​目線から感じたGoogle Workspaceの特長、機能などについて紹介します。記念すべき第1回は、Google Workspaceの説明をする前にクラウドサービスについて、おさらいをしたいと思います。次号以降からは、個々のサービスや便利な機能について、取り上げていきます。

庄司大助(Dandy) 氏
所属:グーグル・クラウド・ジャパン
パートナーエンジニアリング本部
役職:パートナーエンジニア
経歴:大学卒業後、日系の中堅企業のIT部門でITインフラ担当者として、入社後、自動車系IT企業にて、ネットワークエンジニアを経験。その後、マイクロソフトにて、10年以上にわたり、オンプレミスからクラウドまで幅広くプリセールス活動に従事。現職に至る。
宮崎悦子(Kiki) 氏
所属:グーグル・クラウド・ジャパン
パートナーエンジニアリング本部
役職:パートナーエンジニア
経歴:外資系IT企業でオンプレミス・クラウド製品に関するカスタマーサポートに従事した後、プリセールス活動に従事。得意分野はSaaS、コミュニケーションコラボレーション製品。使っていてワクワクするサービスが好き。

1.SaaSの優位性

 Google Workspaceは、SaaS型のクラウドサービスです。ハードウェアの購入、ソフトウェアのインストール、更新プログラムの適用、冗長化構成など、お客さまの手を煩わせることなく、Googleが請け負います。極端に言うと、お客さまは利用料金を払う限り、サービスの機能を使うことだけに集中していただけます。

 市場にクラウドサービスの認知が上がってきているのは、私だけでなく、皆さまも感じていらっしゃるかと思いますが、ほぼ全ての企業で実際に導入されているか? というと、まだまだそこまでではありません。

 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が公表した「企業IT動向調査報告書2022」の売上高別のクラウド活用状況によりますと、企業の売上高が1兆円以上の大企業では、SaaSの導入率は8割になりますが、企業の規模が小さくなるにつれて、SaaSの採用率は低下しています。また、経済産業省が公表した「2021年版中小企業白書」のITベンダーに対して求める能力によりますと、ITベンダーへの期待第1位は、保守・運用能力です。これは、多くのお客さまが既存のシステムの運用・保守に時間やリソースを取られ、困っているということを表しています。

 SaaSは、多くのお客さまが負担に感じているシステムの運用・保守といったところをクラウド事業者にお任せすることで、クラウドサービスを利用することに集中でき、新しい価値創造のために考える時間を捻出してくれます。

2.クラウドのメリット

クラウドには、ファストフードのように、「安い」「早い」「うまい」というメリットがあります。
 従来からあるオンプレミス(社内設置)型のシステム導入では、ハードウェアの購入から必要となるため、大きな初期投資が必要となります。しかし、クラウドですと、月額利用料だけで済むので、特に経済的に大きな投資ができない企業にはうってつけです。

 前述に関連しますが、ハードウェアの購入の際には、システムのサイジングも必要です。システム構成が決まり、ようやくハードウェアの手配、OSから各種ソフトウェアのインストールが始まります。ここまで来るのにどれだけの時間がかかるでしょうか? Google Workspaceは、利用人数が分かり、契約をすれば、数分でシステムを利用可能になります。また、オンプレミスのシステムの場合、意外と落とし穴になるのが、サーバー側ではなく、クライアント側です。多くのシステムでは、サーバーに接続するために、システム要件を設けています。Windows OS、Microsoft Office、その他アドオンのインストール要件などです。このため、クライアント側のPCがスペック不足だから、とか、ソフトウェアのインストール予算を取っていなかったから、来年度予算取りをしてから……と、導入に遅れが生じるケースが少なくありません。実際、こういったケースは、私が前職時代によく遭遇していました。Google Workspaceは、Webブラウザーだけで利用するシステムなので、クライアント側に多くのシステム要件を求めません。所定のWebブラウザーがあればOKです。

 最後に、「うまい」の部分です。一言では言い表しにくいのですが、最新の機能、セキュリティ防御をどんどんバージョンアップしてくれるところにあります。特にセキュリティは、攻撃者の攻撃手法がどんどん巧妙化しており、一つの企業が独自に、世の中の攻撃のトレンドを調べ、それに対する対処を図るというのは、現実的ではありません。Google Workspaceの利用者は、我々Googleと同じよろいで、業務システムを武装、保護することができます。Googleは、世界的にも1日に多くの攻撃を受ける組織の一つですが、創業以来、安定的に業務を継続できています。この実績に基づいた保護機能をぜひ、ご活用いただきたいです。

3.Google Workspaceとは

 次号に向けて、Google Workspaceについて少し触れておきます。Google Workspaceは、SaaS型のクラウドサービスであることは、お伝えしました。では、何ができるか? 何をするものなのか? をとても平たく言うと、グループウェアと一般的には表現されます。業種、企業規模、職種に問わず、みんなが利用するであろうメール、チャット、会議、予定表、設備予約といったコミュニケーションにまつわるもの、文書作成、ファイル共有、社内ポータルといったコラボレーション(協働作業)、そして、組織が必要とするセキュリティ、コンプライアンス機能などがセットになったものです。皆さまも、Gmail、Googleドライブといった名前は、お聞きになったり、すでにお使いいただいたりするのではないでしょうか? これらのサービスを専用アプリのインストール不要で、Webブラウザーのみで利用できます。もちろん、スマートフォンからも利用可能です。

 次号以降からはGoogle Workspace の個々のサービスや機能などについて、一つずつフォーカスしてご紹介していきます。