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共通の運用と一元管理、ハイブリッドマルチクラウド

共通の運用と一元管理、ハイブリッドマルチクラウド

2021年10月08日更新

オンプレもクラウドも自在に選べ
共通の運用と一元管理を提供する

Any Cloud

企業が必要とするICT環境は用途や目的、要件に応じてさまざまだ。そのため一択で環境を統一することは非現実的である。しかし個別最適でそれぞれ異なる環境を選ぶと管理運用することが困難になり、結果としてどちらかを犠牲にするかという妥協の中での選択となってしまう。そこでヴイエムウェアは個別最適と全体最適を両立し、真のマルチクラウドを実現するソリューションを提供している。

レガシーアプリも依然重要
インフラに求められる多様性

ヴイエムウェア
クラウドサービス事業部
事業部長
神田靖史 氏

 市場調査の結果も示している通り国内クラウド市場は成長を続けている。特にAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure(Azure)、Google Cloud Platform(GCP)といったハイパースケーラーと呼ばれる事業者のパブリッククラウドの利用が増加しているようだ。

 こうした動向についてヴイエムウェア クラウドサービス事業部 事業部長 神田靖史氏はIT人材不足の深刻化や、DXへの取り組みが遅れている現状を打破すべく政府が企業の経営幹部に取り組みを推進するよう呼びかけたりするなどの背景があることを指摘する。

 さらに「これまでクラウドはすぐに使えて、いつでもやめられるというメリットが強調されてきましたが、コロナ禍に直面した昨今、リモートアクセスやSaaSの利用が急拡大し、ICTの需要増に対して即応するにはクラウドしか手段がないことが改めて認識されました。これはエンドユーザーだけではなく、クラウド事業者自身も同様でしょう」(神田氏)

 ICTが事業そのもの、業務そのものである現在、企業を取り巻く環境の変化に応じてICTも即座に対応させる必要があり、その俊敏性と柔軟性を獲得するためにクラウドの利用が増加しているのだ。ただし神田氏はこうも指摘する。

「オンプレミスからIaaSやPaaSへの移行は進んでいますが、依然として多くのレガシーなアプリケーションがオンプレミスで稼働しています。中には20~30年前のアプリケーションが引き続き基幹業務システムとして運用されている場合もあり、これらの刷新が急務だと認識されています。このような状況の中で市場投入期間の短縮化や環境の変化への対応の柔軟性に向けて、コンテナ技術などを採用したクラウドネイティブなアプリケーションへのモダナイゼーションという動きが加速しています。しかし一方で、引き続き多くの企業では既存のレガシーアプリケーションの信頼性や堅牢性、性能の改善も同じように重視されています」

“Multiple Clouds”から
真の”Multi-Cloud”へ

 神田氏の説明の通り、企業のICT環境は構成要素のそれぞれの用途や目的、事情などにより要求が異なり、共通の最適解を導き出すのは現実的ではない。神田氏は「例えば全てのICTをクラウドへ移行して、しかも一つの事業者に統合するという『一択』だと何かを妥協しなければならなくなるでしょう。しかしハイブリッドクラウド、マルチクラウドならば利用しているインフラやアプリケーションごとに個別最適で選択でき、それぞれ最大の価値が得られます」と説明する。

 ヴイエムウェアでは「Any Cloud」をスローガンに掲げ、オンプレかクラウドかという「or」の選択ではなく「and」で利活用できる世界を提供する。そして単に複数を意味する「Multiple Clouds」から、エンドユーザーの求める真の「Multi-Cloud」を実現するソリューションを提供している。

 具体的には2018年より国内でも提供を開始した「VMware Cloud on AWS」がある。これはAWSが用意するベアメタル上にVMware vSphereやVMware vSAN、VMware NSXで構成されるVMware Software-Defined Data Center(SDDC)環境を提供し、VMware vCenterからオンプレミス環境と合わせて一元管理できる仕組みだ。コンテナと仮想マシンに対応し、ヴイエムウェアが販売・運用・サポートを提供する。

 こういった環境は、現在ではマイクロソフトの「Azure VMware Solution」やグーグルの「Google Cloud VMware Engine」、オラクルの「Oracle Cloud VMware Solution」へと拡大されている。

 またグローバルで約4,500社、国内約160社に及ぶヴイエムウェアのクラウドプロバイダーパートナーが、全世界で1万カ所以上のデータセンターから提供しているVMware仮想環境をベースとしたクラウドサービスの中から、同様のVMware Cloud Servicesも選択して利用できる。ユーザーはvSphereに実装可能なワークロードであれば用途や目的、要件に応じて最適なクラウドサービスを選択し、まさに「and」で組み合わせて利用できるのだ。

中堅中小企業のクラウド移行を
IaaS「DX仮想クラウド基盤」で促進

 このようにクラウドをまたいでインフラやアプリケーションごとに個別最適で自在にICTを構成することができるわけだが、これだけではまだ”Multiple Clouds”であり、真の”Multi-Cloud”ではないと神田氏は指摘する。

 神田氏は「いろいろなクラウドを組み合わせて使うだけでは、数や種類が増えることで結果としてクラウドのサイロ化を加速させてしまいます」と話す。

 そこでヴイエムウェアはCloud Managementと呼ぶソリューション群を提供している。

 ヴイエムウェアのCloud ManagementであるVMware vRealize製品ファミリーを利用することで、オンプレミスとクラウドにまたがって分散するvSphereに実装されたワークロードを一つの管理コンソールから集中制御できるようになる。

 例えば各環境から発信されるログを収集して解析し、何か問題が見つかると即座に対応できる仕組みや、各サイトの利用状況を監視してキャパシティの不足や過剰を可視化し、新たなアプリケーションの実装先を判断する仕組みなどがある。さらにパブリッククラウド上のVMware以外のサービスも含めて利用状況やコストを監視、管理できるCloudHealth by VMwareも提供している。

 神田氏は中堅中小企業に対するハイブリッドクラウド活用についても言及する。具体的には数台の物理サーバーおよび数十台の仮想マシンといった規模のオンプレミス環境向けに今年9月より提供が開始されたIaaS「DX仮想クラウド基盤」が有効であると強調する。

 DX仮想クラウド基盤は既出のVMware Cloud on AWSと、ヴイエムウェアが提供するクラウド統合管理プラットフォームであるVMware Cloud DirectorのSaaS版であるVMware Cloud Director serviceを組み合わせ、マネージドサービスとして提供される。

 神田氏は「さまざまな経営課題に直面する企業にとって、これまでと同様にオンプレミスの物理サーバー上でvSphere環境の仮想マシンを維持し続けるのは容易ではありません。またパブリッククラウドを活用しようとしても、これまでとは異なる技術や運用に対応することも大きな負担を強いられることになります。そこで利用する規模や単位に柔軟に対応できるDX仮想クラウド基盤を活用することで、中堅中小企業もオンプレミス環境のワークロードを容易にクラウドに移行できます」とアピールする。

HCIで統合しながら段階的に進める
ハイブリッドマルチクラウドへの旅路

HCI

HCIソリューションを提供するニュータニックスでは企業のICTの最適解はハイブリッドクラウドだという。ただし企業のICTの実情を鑑みると、ハイブリッドクラウドを実現するには段階的な取り組みが欠かせない。まずはいまだ数多く運用され、サイロ化しているオンプレミスのインフラを統合すること、そしてマルチクラウドがサイロ化しないよう、統合を意識しながら取り組みを進めていくことだ。

3Tier型の仮想化環境が多数稼働
オンプレの課題解決から着手

ニュータニックス・ジャパン
ソリューションエンジニアリング事業本部
パートナーSE本部
シニアソリューションエンジニア
野儀路子 氏

 ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの議論をする前に日本では3Tier型の仮想化環境が多く残っており、その課題の解決から着手すべきだと指摘するのはニュータニックス・ジャパンのソリューションエンジニアリング事業本部 パートナーSE本部でシニアソリューションエンジニアを務める野儀路子氏だ。野儀氏は「クラウドの普及で先行する米国ではマルチクラウド環境を利用する企業が多く、その結果、クラウド環境のサイロ化が課題になっています。数年後には日本でも同様の課題が顕著化すると見られますが、現状はオンプレミスのサイロ化を解決することを優先すべきです」とアドバイスする。

 前述の通り国内の企業ではサーバー、SAN、共有ストレージで構成される3Tier型の仮想化環境が多数稼働しているという。この構成では仮想サーバーのデータを物理サーバーのローカルストレージに保存せず、共有ストレージに保存することで物理サーバーに障害が発生してもシステムの稼働とデータを守ることができる利点がある。

 一方でサーバー、SAN、共有ストレージを別々のシステムで管理する必要があるほか、拡張する際には個別に設定変更しなければならないなど構成も運用管理も複雑で、仮想化環境が異なる場合は個別に運用管理しなければならないなど数多くの課題がある。特に利用頻度の変化による拡張の繰り返しによって構成がより複雑化し、システムの追加によって仮想化環境がサイロ化しているのが現状の実態であろう。こうした状況下でクラウドシフトを唱えても現実的ではない。

 野儀氏は「全てのオンプレミスのシステムがパブリッククラウドに移行するわけでもありませんし、状況によってはオンプレミスとクラウドを行き来したり、クラウド間を行き来したりすることも考えられます」と説明した上で「ハイブリッドクラウド、マルチクラウドが全ての企業が目指すICTの姿でしょう。しかし3Tier型の仮想化環境をパブリッククラウドに移植するのは現実的ではありません」と強調する。

 そこでニュータニックスではハイブリッドクラウドを目指しつつ、サイロ化した3Tier型の仮想化環境を統合するなど段階的に取り組みを進めるべきだとしている。

クラウド移行の第一歩は
サイロ化したオンプレの統合

 ニュータニックスでは運用中の3Tier型の仮想化環境をHCI化することでインフラを統合し、サイロ化を解決することがクラウド移行への最初のステップだとアドバイスする。改めてHCIを説明すると、HCIではサーバー仮想化に必要なサーバー、SAN、共有ストレージが1台の物理サーバーに含まれている。物理サーバーのローカルストレージに仮想マシンのデータを保存するためSANや外部の共有ストレージは必要なく、しかも物理サーバー間でストレージを共有できる。

 こうした仕組みにより構成が非常にシンプルになり、増設や拡張も容易で管理ツールも統合できるなど数多くの利点がある。HCIを導入することでサイロ化した3Tier型の仮想化環境をシンプル化し、統合できるというわけだ。

 野儀氏は「ニュータニックスのHCIソリューションは仮想化環境をソフトウェアで制御するためハードウェアの種類やシステムの世代や構成が異なっても統合して運用管理できます。またシステムやデータを分散配置して耐障害性を高めることも容易です。障害発生時は分散配置されたデータを利用してシステムやデータを自動修復できるほか、障害の特定や稼働状況を分析して障害やリソースの不足を予測するなど、運用管理の負担を大幅に軽減してくれます」と説明する。

パブリッククラウド上に
ニュータニックスHCIを構築

 ニュータニックスのHCIソリューションはオンプレミスで運用されている3Tier型の仮想化環境を統合するだけではなく、プライベートクラウドや自社データセンターなどのリモートサイトで運用されているHCIも統合することができる。これが2番目のステップとなる。サイロ化したオンプレミスを統合するとともに、リモートサイトのサイロ化も防ぐことができる。

 ニュータニックスではHCIの進展について現在の「Hyper-Converged Infrastructure」だけではなく、「Hybrid Cloud Infrastructure」にも拡大していくというビジョンを示している。Hybrid Cloud Infrastructureでは3Tier型の仮想化環境を現在のHCIで統合し、次にHCI化されたインフラが運用されるオンプレミスとプライベートクラウドの複数のサイトをPrismというGUIで統合管理する。さらにパブリッククラウドで運用するHCI環境も統合する三つのステップでHybrid Cloud Infrastructureを実現するという。

 このHybrid Cloud Infrastructureを実現するソリューションが「Nutanix Clusters on AWS」と「Nutanix Clusters on Azure」(開発中)だ。なおNutanix Clusters on AWS/Azureは単体の製品ではなく、ニュータニックスのHCIユーザーがAWSやAzureでも同様の環境を構築でき、管理も統合できるサービスだ。その結果、パブリッククラウドのサイロ化の対策も行える。

 このようにニュータニックスのHCIソリューションはオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドを問わず同一の環境を構築でき運用管理を統合できるほか、ワークロードを容易に行き来させられる無償ツール「Move」も提供している。

 さらにオンプレミスとパブリッククラウドの統合環境を生かすために、レッドハットなどのパートナーと連携してクラウドネイティブなソリューションも提供する。例えばニュータニックスのプラットフォーム上でRed Hat OpenShiftおよびRed Hat Enterprise Linuxを導入、利用でき、モダンアプリケーションが開発できる。

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