2022年1月に改正された帳簿書類のデータ保存を可能とする法律「電子帳簿保存法」(以下、改正電子帳簿保存法)や、2023年10月に開始する複数税率に対応する消費税の仕入税額控除の方式「適格請求書等保存方式」(以下、インボイス制度)の対応に合わせ、経理での業務システムの導入が進んでいる。改正電子帳簿保存法やインボイス制度の対応と経理DXを両立させる方法を解説している書籍を読み、経理DXに役立つシステムを提案する知識を付けよう。

クラウド会計を活用した電子帳簿保存法対応の実務

戸村涼子 著
2,200円(税込)/日本法令

Electronic
 本書では、改正電子帳簿保存法の対応に当たって、クラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド」をはじめとしたインターネット上で動く会計システムを活用するコツを解説している。著者は、改正電子帳簿保存法は、クラウド会計ソフトの使用を想定した内容になっていると指摘。第2章の第1節では、クラウド会計ソフトを使う際の注意点を説明する。クラウド会計ソフトは、経費精算などを行ったデータを半自動的に仕訳へ反映可能だ。そのため、取引が発生したらすぐに仕訳として処理を済ませることが望ましい。即座に仕訳の処理を行うには、例えば経費精算であれば、領収書をクラウド会計ソフトにアップロードする期日を決めると良い。期日までにアップロードの対応を従業員に要請することで、スムーズに仕訳の処理が行える。クラウド会計ソフトを活用するために、経理担当が取ると良い行動が参照できる。

経理DXのトリセツ

児玉尚彦上野一也 著
1,870円(税込)
日本能率協会マネジメントセンター

Accounting
 経理のDXに役立つシステムを解説している一冊。経理のDXを進めるには、まず、経理書類の保管と情報の活用を分離することが望ましい。第4章では、業務システムを用いたDXの推進方法を紹介。経理のDXを推進する上で導入すると良いのは、申請→承認→決済の流れをネットワークで処理する「経費精算システム」だ。経費精算システムの導入で、経費の承認を得たデータを仕訳データとして会計システムにインポートできる。これにより、経費精算書を見ながら仕訳入力をする必要がなくなる上、先にデータで処理を行い、後でまとめて証憑書類のチェックと経理書類の保管を行えるのだ。情報として利用するのは会計システムに保存されるデータ、事後チェックや保管のために必要なのは経理書類という位置付けが明確になり、経理書類の保管と情報の活用の分離が実現する。経理DXを推進する際に必要なシステムの活用法が学べる。

会話でスッキリ 電帳法とインボイス制度のきほん

小島孝子 著
マネーフォワード 編集協力
1,760円(税込)/税務研究会

Invoice
 本書では、インボイス制度の対応と経理のDXを両立させる方法について解説している。著者は、インボイス制度を契機に、社会全体をデジタル化する取り組みが多くの民間企業で立ち上がったと指摘する。第3章では、経理のDXに向けて進んでいる取り組みを紹介。インボイス制度への対応と併せてデジタル化を推進するために、請求書を統一仕様のデータで簡単に送受信できる仕組み「デジタルインボイス」の標準仕様の策定がデジタル庁の主導で進められている。デジタルインボイスを導入すると、企業のバックオフィスシステムを通じてインボイスデータを送受信できるので、請求書の発行や請求データの入力、紙で受け取った請求書の電子化やタイムスタンプの付与といった多くの事務作業をなくせるのだ。経理の業務を効率化でき、ペーパーレス化やDXにも貢献する。経理のDXに向けた最新の取り組みを知るのに有効な一冊だ。