登録人数無制限で定額制で利用できる
勤怠管理システムをAWSでSaaS提供
オフィスに関するあらゆる困りごとを解決するビジネスで成長を続けている庚伸は、「ヒト・モノ・情報」の三つの柱で事業を展開している。ソリューションを提供する情報事業においては従来、基幹業務システムの開発、業務パッケージソフトの提供でビジネスを伸ばしてきた。今後はハイブリッドワーク環境への対応を足掛かりに、AWSを利用したSaaSビジネスにも注力し、さらなる成長と、新たなビジネスの創出を目指していく。
顧客の要望への対応から
ユニークな製品が生まれる
庚伸が提供する「ヒト・モノ・情報」の三つの領域のサービスとは、具体的には次の通りだ。まずヒトについては「コウシンスタッフ」のサービスブランドで人材の紹介および派遣、採用支援などをサービス提供している。またモノに関しては「コウシンサービス」のサービスブランドでOA機器や通信機器の販売、保守、オフィスサプライの販売などのソリューションを提供している。
情報については「コウシンディーディー」のサービスブランドで基幹業務システムの開発や業務パッケージソフトの販売などのソリューションを提供している。
また顧客の要望に応える形でさまざまなユニークな製品も生まれている。例えば「Dr.オフィスInspector」が挙げられる。これは消防設備点検報告書作成・管理システムで、消防設備の保守点検管理ソフト、工事施工管理ソフト、防災現場管理モバイルの総称となる。
Dr.オフィスInspectorは消防用設備等の点検の際に法令で定められている点検票の記入および保管の業務をシステム化し、業務負担を軽減するソリューションだ。当初はPCのみで利用するオンプレのシステムだったが、後にWeb化され、スマートフォンからも利用できるようになり、現在ではクラウドでSaaS提供もしている。
モバイル対応を目的に
既存サービスをSaaS化
Dr.オフィスInspectorそのものも顧客の要望から生まれた製品だが、SaaS提供も顧客の要望に応えた結果だ。同社の社長室で室長を務める宮澤慧丈氏は「以前は現場で点検票に記入して、オフィスに戻ってPCでDr.オフィスInspectorに入力する仕組みでした。お客さまから点検業務の現場でDr.オフィスInspectorに入力できるようにしてほしいというご要望をいただき、SaaS提供を始めました」と説明する。
Dr.オフィスInspectorをSaaS提供する際にサービスプラットフォームとして導入したのがAWSサービスだ。AWSサービスを選択した理由について同社のITコンサルティンググループでゼネラルマネージャーを務める竹川 淳氏は「国内外で政府機関や自治体、金融機関などでの導入実績が豊富にあり、セキュリティが高く評価されていること、当社にとってクラウドでサービスを開発、提供するのが初めての経験だったため、サービスメニューが豊富で必要な仕組みや機能がワンストップで完結できるプラットフォームであることが導入の決め手となりました」と説明する。
Dr.オフィスInspectorのSaaS提供でAWSサービスの信頼性の高さや使い勝手の良さ、セキュリティの高さなどを評価した庚伸は、Dr.オフィスシリーズの勤怠管理システムである「Dr.オフィスLookJOB2」のSaaS提供にもAWSを採用した。
ハイブリッドワーク対応に向けて
勤怠管理システムをSaaS提供
コロナ禍によってリモートワーク、ハイブリッドワークが企業に広く定着しており、勤怠管理にもオフィス以外の場所で利用できるSaaS提供が求められている。Dr.オフィスLookJOB2の特長について同社のシステム開発本部でシステム・エンジニアを務める植松勇紀氏は次の3点を挙げる。
1点目は登録人数無制限で定額制で利用できることだ。月額1万780円で社員数を無制限で登録でき、データも無制限で保持できるため、雇用人数が短期間に増えてもコスト負担なく対応できる。また退社した人員のデータや古いデータの整理も不要で利用し続けられる。なお1,000人を超えるとシステム追加利用料として追加料金(2万円)が発生するが、以降は追加料金は不要だ。
2点目はサポート体制だ。Dr.オフィスLookJOB2に限らずDr.オフィスシリーズでは、サポート窓口にダイレクトに電話がつながる。ほかのサポート体制では最初にWebサイトのオンラインヘルプ、次にメール、それから電話で、電話をする際はWebサイトであらかじめ予約をするといった手順を踏むケースが見られる。
またDr.オフィスシリーズでは原則として一人の担当者が同じ顧客をサポートする体制を整えており、再度電話をしても経緯を説明することなく円滑に話が進められる。さらに顧客の同意を得て画面共有しながらのリモートでのサポートにも対応する。
3点目の特長はSaaSでありながらユーザーの要望に応じてカスタマイズが可能であること。植松氏は「AWS上でデータベースをお客さまごとに構築するためカスタマイズにも対応でき、データのセキュリティに対する安心感もより高くなっています」とアピールする。
AWSを利用した今後の展開について宮澤氏は「Dr.オフィスシリーズには13種類のサービスがラインアップしており、今後もお客さまの困りごと、ご要望に応じてサービスを拡充していく計画です。SaaS提供によって全国のお客さまに提供しやすくなり、Dr.オフィスLookJOB2は全国のさまざまな地域や規模のお客さまにご利用いただいてビジネスを伸ばしています。今後もDr.オフィスシリーズのSaaS提供を広げることで、ビジネスを伸ばせると期待しています」と展望を語った。
Company Profile
コウシングループ
庚伸
https://www.koushin.co.jp/
本社:東京都中央区八丁堀2-26-9 グランデビルディング3F
設立:1990年10月
社員数:105名 ※2022年7月末時点