WordやExcel、PowerPoint、PDFといったドキュメントに加え、音声や動画などの非構造化データは、企業内に存在する情報の約90%を占めるとされる。AI活用の鍵を握るのは、こうした非構造化データだ。しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)やクラウドシフトの進展に伴い、ファイルは複数のシステムやファイルサーバーに分散して保存されるようになった。必要なデータを横断的に活用しにくくなり、AI活用の障壁となっている。こうした課題の解決を支援するのが、Box Japanが提供するインテリジェントコンテンツ管理プラットフォーム「Box」だ。

散在するファイルを集約し
安全な一元管理を実現

 Boxの特長として、散在するデータを適切に一元管理できる点が挙げられる。その理由について、Box Japan 専務執行役員 パートナー事業担当 兼 マーケティング担当 安達徹也氏は次のように説明する。「Boxはストレージ容量が無制限です。格納するべきデータが増加しても追加コストを気にすることなく、社内のあらゆるファイルを1カ所に集約できます。さらに、Microsoft 365やGoogle Workspaceをはじめとする1,500種類以上のアプリケーションとシームレスに連携可能です。コミュニケーションはTeamsやSlackで行いながら、ファイルは全てBoxに保存・一元管理することで、情報のサイロ化を防げるのです。また、自動バージョン管理機能によって、同じファイルを複数人でやりとりする際に発生しがちな『どれが最新版か分からない』という問題も解消します。ファイルを上書き保存するだけでバージョン履歴が自動的に蓄積され、常に最新版を維持できます。加えて、『編集者』『プレビューアー』『アップローダー』など7段階のきめ細かなアクセス権限を、フォルダー単位で設定可能です。社内外の多くのメンバーが利用する環境でも、セキュリティポリシーを統一しながら安全にファイルを管理できます。さらに、Box上の全ての操作ログを取得可能なため、内部不正対策や監査対応にも役立ちます」

 ランサムウェア対策もBoxの強みだ。Box内のファイルは全て暗号化されているほか、従来型のOSとは異なるアーキテクチャを採用しているため、Box上でランサムウェアが実行されることはない。さらに、ファイルのアップロード時にはリアルタイムスキャンを実施し、マルウェアと判定されたファイルには自動的にアクセス制限やダウンロード禁止などの制御を適用することも可能だ。万が一、感染したファイルが同期された場合でも、Box内には過去のバージョンのファイルが保存されており、感染前の状態へ容易に復元できる。

AIエージェントの活用には
三つのSを備えた基盤が必要

専務執行役員
パートナー事業担当
兼マーケティング担当
安達徹也 氏

 企業のAI活用はPoCの段階を越え、本格的な実装フェーズに入りつつある。一方で、AIエージェントが組織内のコンテンツへ適切にアクセスし、その価値を十分に引き出せている企業はまだ多くない。背景には、セキュリティやコンプライアンスへの懸念に加え、分断されたデータや不十分な権限管理、古いコンテンツの存在といった課題がある。問題はセキュリティだけではなく、その基盤となるコンテンツインフラにあるのだ。

 では、AIで活用できるコンテンツインフラには何が求められるのだろうか。非構造化データをAIエージェントで活用するためには、「三つのS」が重要であると安達氏は語る。「一つ目が『Security』です。AIエージェントが必要な情報に適切にアクセスできるよう、アクセス権限を管理しなければなりません。権限が適切に制御されていないと、例えば他人の給与情報にAIがアクセスし、それを回答してしまうといった情報漏えいにつながる恐れがあります。二つ目が『Status』です。参照するドキュメントが正式版なのか、それとも草案なのかといったステータスを厳密に管理することが重要です。AIが草案を基に回答を生成してしまえば、誤った回答が提示される可能性があります。三つ目が『Sendo(鮮度)』です。情報が常に最新版に保たれているかという観点です。どれほど形式が整っていても、それが10年前の古い規約では業務には活用できません。これら三つのSが確保されて初めて、実務で利用可能な回答精度を実現可能です。こうした三つのSを備えたコンテキストを整備できるのがBoxです」

 それでは、Boxは具体的にどのような機能によってそれを実現しているのだろうか。例えば「Box Extract」は、非構造化データから必要な情報を抽出し、メタデータ化する機能だ。「Box Shield」は、ファイルに「極秘」「社外秘」「個人情報」などの分類ラベルを付与することで、そのラベルに設定されている「外部共有禁止」「ダウンロードと印刷の制限」といったポリシーが強制的に適用されるため、個人情報や機密性の高い情報の情報漏えいリスクの低減につながる。さらに、「Box Shield Pro」は、AIがファイルの内容を理解して適切な分類ラベルを自動的に付与してくれる機能だ。「これまでのBoxは単なるクラウドストレージとして認識されていました。しかし、現在のBoxは『インテリジェントコンテンツ管理プラットフォーム』へと進化しています。AIエージェントで企業データを安全かつ効果的に活用するための『AI-Readyなコンテンツ管理基盤』なのです」(安達氏)

中堅・中小企業でも導入しやすい
追加投資を抑えたAI機能

 Boxはそのほかにも多彩なAI機能を備えている。「Box AI for Documents」はファイルの要約や分析、翻訳を行う機能で、「Box AI for Notes」は、文書作成ツール「Box Notes」上の情報を基に文章作成や要約を行える。さらに、「Box AI for Hubs」によって簡易的なRAG環境を構築できるほか、「Box AI Studio」では業務特化型AIエージェントをノーコードで設計可能だ。「Box Automate」を活用すれば、AIエージェントを組み込んだ業務プロセスの自動化も実現する。「Box AI for DocumentsとBox AI for Notesは追加ライセンス不要で、全ての法人向けプランに標準搭載されています。中堅・中小企業さまにとって、AI導入の大きな障壁の一つである高額な追加費用をかけることなく、AI環境を利用し始められます。中堅・中小企業さまの限られたIT人材をファイルサーバーの運用管理から解放し、AIやAIエージェントの活用といった、より付加価値の高い業務に注力できるようになるのです」(安達氏)

 続けて安達氏は、今後の展望について次のように語る。「AIエージェントが業務に組み込まれるようになった現在、人間であれば通常は行わないような想定外の行動を取るリスクにも目を向ける必要があります。さらに今後は、Boxの環境内にさまざまな外部AIエージェントが接続されるようになるでしょう。そのため、全てのAIエージェントが信頼できるとは限らないという前提でガバナンスやセキュリティを考えなければなりません。例えば、悪意のある指示が巧妙に埋め込まれたプロンプトを検知・遮断する仕組みや、AIエージェントを監査・追跡する機能を、今後強化していく予定です」

 最後にダイワボウ情報システム(DIS)への期待について、安達氏は次のように語った。「DISさまとのパートナーシップには非常に大きな手応えと価値を感じています。全国を網羅するネットワークを持つDISさまと連携することで、これまで十分にアプローチできなかった地方の中堅・中小企業さまにも、Boxの価値が届き始めていると実感しています。当社がDISさまに期待しているのは、お客さまに最も近い存在である全国の販売店さまとの架け橋になっていただくことです。各地域の販売店さまとの強固な信頼関係を築いているDISさまだからこそ、地域ごとのニーズに寄り添った提案活動の展開が可能になると考えています。さらに、当社のメンバー自らが全国各地のお客さまを訪問するなど、販売店さまと一体となった伴走支援を行っていきます。DISさまや販売店の皆さまと共に、地方企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)をさらに推進していきたいですね」