日本のインフラは高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速な老朽化が懸念されている。2025年1月28日に発生した埼玉県八潮市の水道管破損・道路陥没事故をはじめ、同年6月28日に起きた神奈川県鎌倉市でのボルト腐食に伴う水道管継手の離脱による大規模断水など、インフラ老朽化に起因する事故が多発している。こうした背景を踏まえ、インフラの老朽化をテーマとした書籍を取り上げる。
日本のインフラ危機

1,056円(税込)
講談社
本書は日本のインフラがどのような歴史をたどり、現在どのような状況にあり、なぜ問題に直面しているのか、そしてどのようにすれば長持ちさせられるのかを分かりやすく解説した一冊だ。本書の主題の一つは「インフラを長持ちさせる」ことであり、新たに整備するインフラと既存のインフラの双方における長寿命化の取り組みを体系的に示している。第3章では新設インフラを長持ちさせるための工夫を、実際の現場で採用された事例を交えながら紹介する。また、第4章では既存インフラを長寿命化する方法として、アセットマネジメントの重要性を具体例と共に提示している。専門家だけでなく一般の読者にも理解しやすいように専門用語は可能な限り抑えつつ、医療などの身近なアナロジーを積極的に盛り込んでいる点が特長だ。インフラを長寿命化させるには、劣化という「病気」や「けが」の原因と程度を把握する診断と、適切な処置を施す治療が不可欠であり、そのための「インフラの医療」を担う技術者の育成が重要だと著者は述べる。コンクリート構造物の性能という視点から、日本のインフラ危機とこれを食い止める処方箋について分かりやすく解説している。
インフラ崩壊

1,210円(税込)
日経BP/日本経済新聞出版
本書はインフラ老朽化問題の発生理由や現状の課題、今後の見通しなどを、予備知識のない読者にも分かりやすいよう解説している。著者はインフラ老朽化に対し「省インフラ」という解決策を提示している。省インフラとは、インフラの負担を最大限に削減しつつ、インフラが提供する公共サービスを持続させるための方法・技術・サービスを総称する造語だ。第3章では省インフラの理念に従って作られたインフラ老朽化問題を解決するための「標準メニュー」を紹介し、第4章ではこれらの解決方法をどのように実行するのかを論じている。日本だけでなく、地球全体が省インフラという価値観へ転換していくことが、これからの社会に不可欠であると著者は力強く訴えている。
改訂版 老朽化対策の決定版 構造物耐久性調査読本

1,870円(税込)
幻冬舎
老朽化した構造物への対処として、かつては建て替えが一般的な解決策であった。しかし今日では、資源保護や環境問題などを背景に、老朽化した既存構造物を改修し、長く使い続けられることが求められている。とはいえ、建て替えるべきか改修すべきかの判断は容易ではない。そこで、現地調査や設計図書から必要なデータを取得し、構造物の耐久性上の寿命を推定・評価するための「構造物耐久性調査」が行われる。本書は、構造物の検査・調査・診断を行うジャストの豊富な事例を基に、構造物耐久性調査の基礎知識と具体的な検査方法を分かりやすく解説している。さらに、高所作業や狭小空間での点検を効率化するロボット調査など、今後の実用化が期待される先進的な調査技術も紹介した一冊だ。

