Nutanix「Nutanix Cloud Platform」

2025年4月16日、NutanixはCEO来日に伴い、国内およびグローバルのビジネス状況に関する記者説明会を開催した。説明会では、Nutanixのパートナー企業である富士通とのAIに関する新たな協業展開についても紹介された。

2025年4月16日、NutanixはCEO来日に伴う記者説明会を開催した。説明会では、国内における最新の活動状況およびグローバルでの戦略やビジョンが発表された。また、Nutanixのパートナー企業である富士通との生成AIに関する新たな協業展開や、顧客企業であるTISによる統合プラットフォーム「Nutanix Cloud Platform」の導入事例などが紹介された。

　現在、Nutanixでは、インフラを最新のハイブリッド・マルチクラウドへモダナイズする「インフラ・モダナイゼーション」、モダンアプリを一度構築すればどこでも実行できる「アプリケーション・モダナイゼーション」、ビジネスの課題解決や業務改善のためにAI技術を戦略的に活用する「エンタープライズAI」の三つの柱に注力している。それぞれの分野における国内ビジネスの状況について、ニュータニックス・ジャパン コーポレートバイスプレジデント 兼 代表執行役員社長 金古 毅氏が説明を行った。

　インフラ・モダナイゼーションの領域では、倉敷中央病院、STNet、東海理化をはじめ、業界を問わず多くの企業で、Nutanix環境への移行が進んでいることが紹介された。今後も国内での実績を着実に増やしていくという。また、新たな導入事例先として、TISの金融業界向けのクレジットカード基幹システムに統合プラットフォーム「Nutanix Cloud Platform」が採用されたことを発表した。「Nutanix環境への移行によって、維持・運用費の大幅な削減と最大4倍のアプリケーション性能向上を実現しました」（TIS デジタルイノベーション事業本部 サービスプラットフォーム事業部 副事業部長 兼 サービスプラットフォーム事業推進室長 兼 サービスプラットフォーム第1部長 関 雄太氏）

　アプリケーション・モダナイゼーションの領域では、新たな取り組みとして「Nutanix Kubernetes Platform コンサルティングサービス」の提供を開始することを発表した。「Kubernetes」を使用したコンテナベースのモダンアプリケーションの管理を簡素化する「Nutanix Kubernetes Platform」の導入を支援するものだ。「このサービスは、クラウドネイティブのモダンアプリケーション開発およびライフサイクル管理を目指すお客さまの技術支援をします。要件定義や設計から構築までお客さまの要望に応えていく日本独自に展開するサービスです」（金古氏）

　エンタープライズAIについては、今後AIの活用に注力していくことや富士通の大規模言語モデル（LLM）をソリューションに展開することなどを紹介した。

　続いて、グローバルにおけるビジネス状況やNutanixのソリューション戦略について、Nutanix プレジデント 兼 CEOのラジブ・ラマスワミ氏が説明を行った。グローバルにおいても、米国を中心にハイブリッド・マルチクラウド環境を実現するため、Nutanix Cloud Platform」をはじめとするNutanix環境への移行が加速しているという。

　ソリューション戦略については、KubernetesやAIへの対応を強化していく。ラマスワミ氏は「ビジネス変革を加速するためには、アプリケーションのモダナイゼーションが不可欠です。その中心にはKubernetesとコンテナ技術があります。当社では、Nutanix Kubernetes Platformを提供しており、お客さまのビジネス変革をサポートします。また、AIへの対応にも力を入れ、Kubernetes上で稼働するフルエージェント型モデルのAIプラットフォーム『Nutanix Enterprise AI』もラインアップしています。Nutanix Enterprise AIは不正検出や文書検索、コード＆コンテンツ生成、カスタマーサポートなど、幅広いユースケースで展開されています」とアピールした。

　日本における今後のAI対応について、ニュータニックス・ジャパン 執行役員Field CTO 兼 システムエンジニア統括本部長 荒木裕介氏は「これまでのエンタープライズAIは、パブリックデータをベースに、生産性の向上を目的に使われていました。しかし、これからはAIエージェントを活用した『業務連携型AI』に進化していくとみています。Nutanixでは、『Nutanix Unified Storage』などのセキュアかつ高性能なデータ基盤に、Nutanix Kubernetes PlatformやNutanix Enterprise AIなどを組み合わせることで、AIプラットフォームの構築を支援していきます」と説明した。

　生成AIに関して、Nutanixのパートナー企業である富士通との取り組みも紹介された。富士通では、企業向け日本語強化型大規模言語モデル（LLM）の「Takane」を開発している。今回、新たな取り組みとして、TakaneをNutanix Enterprise AIのLLMに認定し、提供を始めることが決まった（2025年7月〜予定）。富士通 執行役員専務 古賀一司氏は「日本語に特化したLLMがNutanix Enterprise AIに対応するのはこれが初の試みです。Takaneは日本の商習慣に最適化されており、高度な生成AI活用を支援します」と話す。

　富士通 グローバルソリューションビジネスグループ クロスインダストリーソリューション事業本部 Digital Shifts事業部 DTXグループ グループ長 髙林陽介氏は「Takaneの強みは、汎用型にはないカスタマイズ性です。汎用型と比べ、中規模のモデルサイズであるため、企業・組織固有のデータでフルカスタマイズができます。また、セキュアなプライベート環境にも対応しているため、データ漏えいの懸念からLLMの導入が難しい業務でも安心して活用できます」とアピールした。