シャドーAI

シャドーAI(Shadow AI)は、企業や組織が承認していない社外のAIツールを、従業員が業務で使用することを指す。企業が把握していないIT機器やソフトウェアを業務に利用する「シャドーIT」のAI版と言える。いずれも従業員に悪意はなく、利用上のリスクを認識できていない場合が多い。

シャドーAIによる最も深刻なリスクは、機密情報や個人情報の漏洩である。従業員が生成AIに社内の重要な情報を入力した場合、AIの学習データとして利用され、外部に漏洩する可能性がある。企業の管理部門が把握していないAIツールは、トラブル発生時の対応が遅れる場合があり、企業の信用失墜につながる恐れもある。

また、生成AIが出力する情報は、必ずしも正確とは言い切れない。事実でない情報を真実であるかのように生成する、ハルシネーションを引き起こすこともあり得る。最近はAIを悪用したサイバー攻撃も増加している。

生成AIツールは急速に普及し、非常に多種のツールを誰でも簡単に利用できるようになった。文書作成、翻訳、データ分析など、業務を効率化できるメリットもあり、企業の生産性向上に大きく貢献する可能性もある。しかし、多くの企業ではAIガバナンス体制の整備が追いついていない。AI導入を検討中の企業も多いが、待ちきれない従業員が隠れて利用するケースも増えている。今後は、セキュリティが確保された法人向け生成AIツールを導入するなど、安心して利用できる体制作りが急務だろう。
(青木逸美)

ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン
  • Find us on
  • X(Twitter)
  • iDATEN(韋駄天)
  • iKAZUCHI(雷)
  • 教育ICT総合サイト