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個人用途だけでなく産業用途にも活用可能なARスマートグラス「BT-40S」

個人用途だけでなく産業用途にも活用可能なARスマートグラス「BT-40S」

2021年06月25日更新

映画字幕や産業にAR活用

スマートグラス 「BT-40S」

スマートグラス「MOVERIO」の新製品は、眼鏡のようにかけると目の前に60~120インチの大画面が表示される。VRゴーグルとは異なり、画像や映像を見ながら周囲の様子も確認できるので、鑑賞だけではなく産業用途や体験型コンテンツにも活用可能だ。エプソン販売は、スマートグラスに関して長い開発実績を積み、MOVERIOの開発を行ってきた。今回は、その最新モデルとなる「BT-40S」をレビューしてみた。
text by 森村恵一

両眼シースルー&ハンズフリー

 MOVERIOは、エプソン販売が従来のプロジェクター製品などで培ったマイクロディスプレイ技術と光学プロジェクション技術を応用して2011年から製品化され、品質改良が進められてきた。開発コンセプトは、「いつでも、どこでも、好きな姿勢、大画面を楽しむ」というもの。スマートグラスといえば、グーグルの「Google Glass」を思い出す人も多いかもしれないが、話題だけが先行して一般消費者向けの製品として着地しなかったGoogleに対して、デバイスメーカーであるエプソン販売は、着実に商品化を継続してきた。

 BTシリーズは、ディスプレイの解像度とカメラの有無などによって、2系統4モデルに分かれている。仮想画面サイズが120インチに相当する「BT-40」「BT-40S」は解像度がフルHDのモデルだ。コントローラーを付属するSモデルとコントローラーを付属せず、PCで利用するスマートグラスをラインアップしている。2018年に発売した「BT-30E」と「BT-35E」は、解像度が1,280×720で、仮想画面サイズは80インチに相当する。全てのモデルに共通した特長は、高画質かつ両眼シースルー設計で、ハンズフリーで使用できる点だ。そのため、MOVERIOは屋外作業の支援やコミュニケーションツールとしても利用できる。コントローラーにはAndroid OSを搭載しているので、汎用性も高い。

仮想画面はコントラストが高く、文字や図のみの表示も可能。
BT-40Sはアーム部分に広い面で本体を支えるテンプル構造を採用しており、下を向いてもずれにくい。また板バネ式構造によって小顔でも安定して装着できる。

スマホ同様の操作性で使いやすい

 今回レビューしたモデルは、専用コントローラーが付属しているBT-40Sだ。コントローラーは約3インチのタッチパネルを装備し、動作環境にAndroid OSを搭載している。アプリケーションはGoogle Playからダウンロードでき、YouTubeなども大画面で鑑賞可能だ。使い勝手はAndroid 搭載スマホと同様なので、多くの人はすぐに操作に慣れるだろう。また、スマートグラスの利用に配慮して、充電用とヘッドセット接続用に二つのUSB Type-C端子を装備している。Bluetooth 5.0に対応し、キーボードやイヤホン、スピーカー、マウスなども接続可能だ。

 コントローラーのタッチパネル部分をトラックパッドとして使えるのも便利だ。トラックパッドモードにすると、コントローラーの画面は点灯しなくなる。例えば、スマートグラスをコントローラーに接続して操作する際、ついついスマホの感覚で画面を見てしまうが、トラックパッドモードに切り替えると、BT-40Sの仮想画面に集中して操作できる。このあたりの配慮が、長年の開発経験の積み重ねがなせる技だろう。聴覚障害者が字幕表示メガネとして使う場合に液晶画面を点灯させたくない場合や、周囲からコントローラーの画面を見られたくない場合などに便利だ。

コントローラーは、スマートフォンのように直感的に操作可能だ。
外光の透過を抑える「シェード」を重ねてかけることで、日よけしながら鮮明に仮想画面を閲覧できる。

アプリ連携で産業用途にも

 大画面を体感できるスマートグラスは、どちらかといえばコンテンツ鑑賞などコンシューマー向けの用途を考えがちだが、MOVERIOにはビジネスの事例も多い。

 過去のモデルから長い歴史を積み重ねてきたMOVERIOは、パートナー企業が提供する産業用途向けアプリケーションとの連携も充実しているのだ。例えば、NECの現場作業支援向けARアプリケーション「ARmKeypad」との連携に対応している。これにより、ARを用いた仮想キーボードをスマートグラス上に表示し、製造、物流、医療など現場作業のハンズフリー化を支援する。実際に、旧モデルの「BT-300」を導入したNECフィールディングの事例では、リアルタイムでの映像確認により、エンジニアが未経験の装置を保守する際も、バーチャル上の遠隔サポートにより一人での現場対応が可能になったという。

 スマートグラスのようなウェアラブル端末は、まだまだ多くのビジネスチャンスがある。スマートフォンやタブレットを閲覧しながら保守や点検などの作業を行う場合は手がふさがり不自由だが、BT-40Sはクリップを付属しており両手を自由にできるので、リモートコントローラーをポケットに入れておけば、活躍の場も広がる。すでに開発された各社のアプリやソリューションを組み合わせた商材も考えられるが、Android OSの汎用性を生かして、オリジナルのアプリを開発し、遠隔での利点を生かしたビジネスを提案するのもいいだろう。

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