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サーバー市場編:2020年通年のサーバー市場はマイナス成長だが需要増に手応え

サーバー市場編:2020年通年のサーバー市場はマイナス成長だが需要増に手応え

2021年06月09日更新

2020年通年のサーバー市場はマイナス成長だが需要に手応え

Server

 IDC Japanが3月30日に発表した2020年通年の国内サーバー市場動向によると、2020年の国内サーバー市場全体の売上額は前年比4.1%減の4,943億円で、出荷台数は前年比13.5%減の44万6,000台だった。x86サーバーとメインフレームがともに前年比2桁のマイナス成長となったが、ARMサーバーやRISCサーバー、IA64サーバー、ビジネスサーバーを含む「その他のサーバー」が3桁のプラス成長となり、国内サーバー市場全体のマイナス成長を抑えた。ちなみにその他のサーバーの成長要因はスーパーコンピューター「富岳」の出荷などが挙げられるという。

 細かく見ていくとx86サーバーは売上額が前年比11.4%減の3,712億円で4年ぶりのマイナス成長だった。出荷台数は前年比15.4%減の43万3,300台で2年連続のマイナス成長となった。x86サーバーのうちStandard Server(カタログモデル)は売上額が前年比13.3%減の3,119億円、出荷台数が同19.0%減の35万2,800台だった。Custom Server(特定顧客・用途向け)は売上額が前年比0.1%減の593億円、出荷台数が同4.9%増の8万500台だった。

 各サーバーメーカーの話では「データセンターに集約される傾向があったが5Gによってエッジコンピューティングの需要が生まれる」「AIやエッジコンピューティング市場が立ち上がりオンプレミスの需要が戻る」「IoTやエッジコンピューティングを用いた製造業のDXが盛り上がりそう」「ファイルサーバーの需要が安定しており、クラウドストレージと連携させるニーズもある」などの声が聞かれたほか、台数は減少傾向だが売上額は維持、微増、微減と今後のビジネスに手応えを感じている様子だった。

デル・テクノロジーズ

GPU搭載製品やAMD搭載製品の需要が増加している

 データーセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括 パートナーセールスエンジニアリング本部 本部長 馬場健太郎氏は「同市場で売れている製品の6~7割が2ソケットのラックモデルで、GPU搭載製品やAMD CPU搭載製品がここ数年大きく伸びている」と説明する。

 また「大企業ではクラウドとオンプレミスのハイブリッドでコストを最適化することに興味が高まっている。また5Gによってエッジコンピューティングへの需要が生まれており、オンプレミスのニーズも高まると見ている」と指摘する。

 またITの活用領域が拡大する中でサーバーの用途も多様化しており「AIが用途ならばGPUを搭載する製品が適している。またシミュレーション系ならたくさんのCPUが分散処理できる環境が必要となるほか、VDIではI/Oが速い製品が必要となるなど、お客さまの用途に適した製品を選ぶとともに、管理者が現地に赴けない現状を踏まえて管理・運用を自動化およびリモート対応できるサービスも含めて提案してほしい」と話す。

日本ヒューレット・パッカード

製造業のDXやIoTに向けたエッジサーバーの需要に期待

 昨年度は保守サービスや中小企業向けのエントリークラスの製品に注力して落ち込みを補った。公共向けでは研究機関でAIが実践フェーズに移り、GPUを搭載したAI基盤向けのサーバーの販売が好調だった。今後は企業でもニーズが増えると見ている。また学校内のサーバーの見直し需要が伸びた。

 ビジネスの傾向についてコアプラットフォーム事業統括 コアサーバー製品本部 本部長 木村 剛氏は「コストパフォーマンスに優れるAMD製CPUを搭載した製品が、主に製造業やインターネットサービス基盤向けのハイパフォーマンス需要で売れている」と説明する。また「今後数年かけて製造業のDXやIoTに向けたエッジサーバーの需要が盛り上がる」と見ている。

 今後はクラウドからオンプレミスのサーバーの稼働をAIを用いて常時監視・分析する「HPE InfoSight」や、ダイワボウ情報システムの在庫情報とひも付けできるBTOサーバーオンライン構成ツール「iQuote DI」などによりパートナーのビジネスを支援してサーバーの販売を拡大していくという。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ

構成をモデル化して分かりやすくスピーディーに提案

 VDIと相性がよいHCI製品の需要が拡大しており、「ThinkAgile HXシリーズ」の販売が好調で、引き続き引き合いが増えているという。チャネルビジネス統括本部 統括本部長 高橋寿和氏は「業種や規模を問わずお客さまはコロナ禍による大きな変化に直面しており、こうした変化にITインフラをどう対応させるべきなのかという相談が増えている」と説明する。その最たる例がテレワークへの対応ということで、HCIによるVDIの導入、運用の需要拡大につながっているわけだ。

 今後の見通しについて高橋氏はデータ分析やAIの活用に向けて高性能・低レイテンシーのオールNVMeストレージを低コストで実現する「ThinkSystem DM5100F」や、設置場所が限られるなどの条件下でもシステムを安定稼働させられ、大量のデータを高速処理できるエッジサーバー「ThinkSystem SE350」の引き合いが伸びていると指摘する。そして「今後は実績をもとに構成をモデル化して導入、運用等のコストも含めて松竹梅で分かりやすく提案することが求められる」とアドバイスする。

NEC

ICT機器可視化ツールによるマネージドサービスで売上拡大

 同社のPCサーバーには「ICT機器可視化基盤」がバンドルされており、他社製も含めてWindowsが動作するサーバーやPC、ネットワーク機器をクラウドで統合的にリモート管理できる。パートナーソリューション事業部 第二営業グループ マネージャー 大野聖真氏は「例えばエンドユーザーにマネージドサービスを提供できるほか、顧客の利用実態を把握することで提案のヒントが得られる」と説明する。

 プラットフォームソリューション事業部 デジタルマーケティンググループ マネージャー 浦田章一氏は「長年にわたって提供しているファイルサーバーは今も売り上げが増加している。IoTなど工場のスマート化に向けたFTサーバーへのニーズも手堅い。カメラとPCサーバー、顔認証ソフトを組み合わせたアプライアンス製品も、セキュリティだけではなく顧客サービス向上を目的に引き合いが増えている」という。パートナーソリューション事業部 ストック営業グループ マネージャー 下井秀之氏は「PCサーバーの販売台数は減っているが、売り上げは変わっていない」と続ける。

富士通

中小企業の小規模向け製品はコロナ低迷の反動に期待

 インフラストラクチャシステム事業本部 データセンタ事業部 商品企画部 部長 館野 巌氏は「公共分野は予算執行によって比較的堅調に推移した。民需は中小企業が非常に厳しい状況だったが、昨夏あたりに回復基調に転換した」という。

 コロナ禍以前は仮想化によるサーバーの集約の需要が活発だったが、現在はニューノーマル下でのワークスタイルやビジネスモデルへの対応が急務となっている。館野氏は「テレワークの拡大によってVDIのニーズが高まり、それと相性が良いHCI製品の需要が増えている」と指摘する。VDIに限らず今後も業種を問わず幅広くHCI製品が売れると見ている。

 今後の見通しについて館野氏は「中小企業や店舗など小規模向けの1WAYサーバーおよびタワー型などの製品は、コロナ禍の影響の反動で回復していくだろう。病院でのファイルサーバーの需要増加や既存サーバーのリプレースの回復基調への転換も見込めそうだ。AIやエッジコンピューティングの需要が立ち上がりオンプレミスの要望が増えそうだ」と期待する。

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