Web会議や音楽をアップグレードする
オーディオアクセサリー

日本マイクロソフト
Microsoft Audio Dock

日常を取り戻しつつある現在にあって、以前のようにテレワークに没頭する日々は過去のものに感じられている。それでも、コロナ禍で体験した柔軟な働き方は、これからも広く普及していく。そうなると、オフィスと自宅という二つの働く拠点を効果的に活用するガジェットが求められてくる。そんなニーズに応える1台が、「Microsoft Audio Dock」だ。ドッキングステーションと高音質スピーカー&マイクをセットにしたオールインワンのスピーカーフォンは、自宅のデスク周りをスッキリさせて、ヘッドセットが不要な高音質なWeb会議や音楽鑑賞を提供する。
text by 森村恵一

Type-C USBケーブル1本でマルチに接続

 Microsoft Audio Dockは、USB Type-C×2、Type-A×1、HDMI×1を備えたスピーカーフォンだ。サイズは、幅167.6×奥行き80.2×高さ81mmとコンパクト。最大60WのUSB PD充電に対応しているため、本体から伸びる1mのUSB Type-CをPCに接続すれば、充電しながらスピーカーやマイクを利用できる。OSは、Windows 11 Home/Pro、Windows 10に加え、macOSにも対応している。

 ただし、Microsoft Audio Dockの性能をフルに引き出したいのであれば、Windows 10または11のPCが最適となる。なぜなら、Microsoft Audio Dockは、Windows対応の専用アプリと「Microsoft Teams」に最適化された機能を備えているからだ。その特長を示すのが、本体の上部にある「Microsoft Teamsボタン」だ。このボタンを使うと、Microsoft Teamsの「手を挙げる」機能を素早く実行できる。Web会議に積極的に参加したい人にとって、とても便利なボタンだ。

 また、ミュートボタンにはオン/オフを確認できるステータスライトが用意されているので、話そうとしたらミュートのままだった、というミスを防げる。ちなみに、本体の上部には、音量を上げ下げするボタンと再生/一時停止ボタンが並んでいる。

 Microsoft Audio DockのUSB Type-Cは、二つともUSB3.1 Gen 2で、電力供給最大7.5Wに対応する。そして、モニターのアイコンが描かれている方のType-Cはモニター接続が可能な「Display Port Alternate mode」に対応しており、HDMIと組み合わせて使えばデュアルモニター環境も構築できる。

スピーカー不要でクリアな音質を

 Microsoft Audio Dockは、コーデックとしてRockchipの「RK2108」を搭載している。RK2108は、2CHのオーディオアナログデジタルコンバータ(ADC)で、サンプルレートは192kHzまで対応する。デジタル音源で再生可能な周波数の上限は、サンプルレートの半分なので192kHzということは、ハイレゾ音源の96kHzまで対応できる。また、アンプには「TAS5805」が搭載されている。TAS5805も、最大サンプルレートは96kHzでステレオスピーカーに対応している。

 Microsoft Audio Dockのスピーカーは、外径25.9×高さ11.6mmのツイーターと、長さ54×幅48.8×高さ41.5mmのウーファーで構成されている。再生できる周波数帯は、音楽再生時が70〜20kHz、Web会議機能使用時では200Hz〜8kHzとなる。安価なUSBスピーカーだと、再生音域が100Hz〜20kHzという製品もある。そうした安価な仕様と比較すると、70Hzに対応しているので、低音もしっかりと響く設計になっている。

 音質としては、コンパクトな本体ながらオーディオメーカーの小型スピーカーに匹敵するレベルで、心地よい音楽鑑賞が可能だ。また、Web会議では声が聞きやすい音域に調整されている。Windowsからは、音声出力の設定で「エコーキャンセルスピーカーフォン(Microsoft Audio Dock)」を選択すると、Microsoft Audio Dockのコーデックとアンプを使った音が楽しめる。Web会議の声はクリアに聞こえて、二つの無指向性マイクは、こちらの音声もしっかり拾ってくれる。ちなみに、対応する会議ソフトは、Microsoft Teams、Zoom、Google Meetになる。ただし、スピーカーのパフォーマンス設定やカスタマイズ、マイクの調整などができる専用アプリ「Microsoft Accessory Center」はWindowsのみの対応となる。

対応機器が新たなビジネスチャンスに

 Microsoft Audio Dockの実機をレビューするに当たり、手元にあるPCで接続を試みたが、一つだけ課題があった。それは、古いPCでは利用できないという対応機器の幅だ。具体的には、USB Type-Cによる充電機能を備えたPCが手元になければ、Microsoft Audio Dockの便利さを引き出せない。例えば、日本マイクロソフトのノートPC「Surface Laptop」では、3以降のモデルか2in1PC「Surface Go」シリーズが対応機器となる。そのほかのWindows PCでも、USB Type-Cが装備されていない機種でMicrosoft Audio Dockの便利さを最大限に引き出すのは難しい。年代的には、2018年以降のモデルであれば、ほぼ活用できると考えられる。

 こうした対応機器の幅は、裏を返せばWindows PCのリプレース促進につながるだろう。自宅でもオフィスでも、手元にあれば便利で快適なWeb会議を体験できるMicrosoft Audio Dockは、これからの働き方にマッチした魅力的なガジェットだ。