IT Business Trend 2023
サーバー・ネットワーク・セキュリティ編

Windows Server 2012/2012 R2のサポート終了の商機は

Windows Server 2012/2012 R2の延長サポートが、2023年10月に終了する。まだまだ移行が進まない企業も少なくない中で、サーバーベンダー各社はHCIを活用した移行など、さまざまな製品提案とサポート拡充を進めている。またネットワーク・セキュリティを見ると、ハイブリッドクラウドが普及する中で、従来型のファイアウォールを基本とした境界型防御が破綻し、新たなセキュリティ製品が求められていることが見えてきた。今回は各ベンダーの視点から、サーバー、ネットワーク、セキュリティで今年特にお薦めな製品を紹介してもらった。

Chapter.1
サーバーベンダー

NEC

SERVER

Windowsとの親和性を持つ
拡張性や運用性に優れた仮想化基盤

 2023年10月にWindows Server 2012/2012 R2が延長サポート終了を迎える。これを機に自社で運用しているシステム全体の見直しを図る企業は少なくないだろう。昨今では、多様化する働き方に対応するべく、システムのクラウド化が進みつつあるものの、セキュリティや運用面で課題が発生し、オンプレミス環境に戻す「オンプレ回帰」という言葉をよく耳にするようになった。

「DXを推進する上で、クラウドの活用は必須となっていますが、多くの企業の場合、クラウドとオンプレミスの両方を導入しているケースがほとんどです。クラウドとオンプレミスのそれぞれでシステムを運用する必要があるため、管理などが煩雑になりがちです。そこで、クラウドとオンプレミスを統合して運用できる『ハイブリッドクラウド』が、企業の業務改善における選択肢の一つとなっています」とNEC プラットフォーム販売部門 諏訪凪沙氏は話す。

 そうしたニーズにマッチする製品として、NECが提供しているのが、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)の「NEC Hyper Converged System」である。その中でもWindowsとの高い親和性を持つのが、ホストOSに「Windows Server 2022」を採用した「NEC Hyper Converged System for Microsoft S2D」(以下、NEC HCS for Microsoft S2D)だ。

 NEC HCS for Microsoft S2Dは、同社のPCサーバー「Express5800シリーズ」に、マイクロソフトが提供するサーバーのローカルディスク領域を使用してクラスター共有ボリューム(CSV)や、スケールアウトファイルサーバー(SOFS)を構成する「Storage Spaces Direct」(S2D)機能を搭載し、コンピューティングとストレージの機能を統合した製品だ。サーバーのみで実現するシンプルな構成の仮想化基盤で、拡張性や運用性に優れている。インフラ全体の統合的な管理を実現する。

HCIの導入を一貫してサポート

 HCIの導入に当たって、自社に最適な構成をどう決めればいいのか、構築はどのようにすればいいのか、不安になる部分も多い。「当社では、HCIの検討から構築、移行、運用管理、データ保護、保守まで一貫したメニューを用意しています。例えば、お客さまに合ったHCIの構成を提案する『仮想化アセスメントサービス』、電源投入後からすぐに仮想マシンの作成を開始できる仮想化基盤を提供する『構築サービス』、オンプレミス環境およびAzureやAzure Backup Server環境で必要な作業を一括で構築する『クラウドバックアップ構築サービス』など、お客さまのHCIの導入に向けて、十分なサポート体制を整えています」とNEC プラットフォーム販売部門 浦田章一氏は説明する。

 NECでは「安心と先進のシステムで、お客さまのビジネスを加速します」というコンセプトの基、HCI製品を提供している。「ただ製品を提供するのではなく、お客さまの課題感を捉えながら、時代の流れに即したNECならではの先進的なシステムの提案を行っていきます」(諏訪氏)

NEC HCS for Microsoft S2D
1Uサイズのコンパクトなベースタイプとストレージ容量を重視した大容量タイプを用意。
(左)NEC プラットフォーム販売部門
サーバ・エッジ販売推進統括部 サーバプロダクトマーケティンググループ
ディレクター 浦田章一
(右)NEC プラットフォーム販売部門
サーバ・エッジ販売推進統括部 サーバプロダクトマーケティンググループ
担当 諏訪凪沙

DELL TECHNOLOGIES

SERVER

オンプレミスからHCIまで包括的に保護
ハイブリッドなインフラ刷新&セキュリティ戦略

 古いWindows Serverを使用している顧客は大企業よりも中堅中小企業が多く、企業内に専任のIT管理者不足の一人情シス体制で、その負担が大きいために古いサーバーを放置せざるを得なくなっている——そう企業の現況を見据えるのは、デル・テクノロジーズ データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部でシニアプロダクトマネージャーを務める岡野家和氏だ。

 同社では、遠隔監視やライフサイクル管理を可能とする管理プロセッサー「iDRAC」を搭載したサーバーシリーズ「PowerEdge」を提供している。岡野氏は、PowerEdgeシリーズの強みをこう話す。「当社のPowerEdgeシリーズの強みであるiDRACは、導入準備、ファームウェアアップデート、システム監視とアラート、迅速なメンテナンスなどを自動化し、管理性を向上します。PowerEdgeは全て最新のWindows Server 2022をプリインストールした形で納品できます」

▲OMIMSWACは、クラウドからのシンプルな管理にこだわったクラスター・ライフサイクル管理機能を有している。
(左)PowerEdgeシリーズ 一番多く採用されているという2ソケットのラック型サーバー上位モデルである「PowerEdge R650」と同シリーズの「PowerEdge R640」。
(右)高い静音性でオフィス設置に最適なタワー型サーバー「PowerEdge T550」の同シリーズ「PowerEdge T350」もお薦めだという。

BIOS攻撃にもハードウェアレベルで保護

デル・テクノロジーズ
データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャー
岡野家和

 Windows Server 2012/2012 R2を使用し続けるリスクとしては、サーバーの老朽化、ランサムウェア攻撃などが挙げられるが、BIOSなどの内部侵害にまで及ぶと最悪業務が停止する事態に陥りかねない。こうしたBIOS攻撃に対応する推奨ツールを、同社 データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 マイクロソフトソリューション部 津村賢哉氏はこう紹介する。「昨今悪質化するBIOS攻撃に対して、ハードウェアレベルで自動的に保護する機能『Dell OpenManage Integration with Microsoft Windows Admin Center』(OMIMSWAC)を提供しています。OMIMSWACでは、セキュリティモジュール『TPM』とOSが連携し、改ざんから保護します。

 Azure Stack HCIと連携し、監視から実行まで担うPowerEdgeは、ユーザー企業側で長期的に有効な投資となるだろう。

 最後に、岡野氏と津村氏はデル・テクノロジーズのサーバー戦略をこうアピールする。「Windows Server 2012/2012 R2 EOSが迫る中、業界全体のサプライの不安はいまだありますが、Windowsサーバーシェアが増加しており、当社は他社メーカーよりも納期のリードタイムは早いと自負しています。また、セキュリティも自信を持って訴求しています」(岡野氏)

デル・テクノロジーズ
データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 マイクロソフトソリューション部
津村賢哉

「当社は、クラウドサービスのセキュリティに対する俊敏性を最大限、かつ、効率よく活用できるようにAzureのセキュリティサービス『Azure Policy』や『Microsoft Defender』などとの併用を前提にしたハードウェアのセキュリティ機能をOMIMSWACに実装しています。さらに無償の拡張セキュリティ更新プログラム『Azure Benefit』を活用すれば、延命(保守サポート終了対応コスト最適化)とオンプレミスのモダナイズの両立を実現するでしょう」(津村氏)

HEWLETT PACKARD ENTERPRISE

SERVER

直感的なクラウド型の運用管理と
ハードウェアレベルの強固なセキュリティを実現

日本ヒューレット・パッカード
プリセールスエンジニアリング統括本部
エンタープライズ技術本部 パートナー技術部
江澤竜起

 日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)が、“一歩先ゆくサーバー”をキーワードに提案するのが「HPE ProLiantサーバー」だ。「ProLiantサーバーは、1993年に提供を開始してから、今年で30周年を迎えます。x86サーバー市場をけん引する製品として、進化を続けてきました。そして、2022年11月25日に最新モデルとして登場したのが『HPE ProLiant Gen11』です」と話すのは、HPE プリセールスエンジニアリング統括本部 江澤竜起氏だ。

日本ヒューレット・パッカード
デジタルセールス・サーバー事業統括本部
サーバー製品本部 ビジネス開発部
深澤忠寿

 HPE ProLiant Gen11の特長の一つとして、セキュリティの強化が挙げられる。「近年、ファームウェアを狙ったサイバー攻撃が増えています。ファームウェアはPC起動時の、OSが起動する前に実行されるハードウェアに依存したプログラム群で、OS上で動く一般的なセキュリティ対策ソフトウェアでは、OS起動前の攻撃を防ぐことはできません。そのためハードウェアベンダーは、ファームウェアを標的とする攻撃への対策が必須となってきています。そうした流れを受け、HPEでは、前モデルの『HPE ProLiant Gen10』からファームウェアなどのレイヤーに対するセキュリティ対策として、改ざん検知や修復などの機能を新たに搭載しました。そして、最新モデルであるHPE ProLiant Gen11では、ファームウェアの改ざん検知の範囲を拡大し、RAIDコントローラーやネットワークコントローラーなどへの対応も行いました。強固なセキュリティ対策機能で、お客さまのデータやシステムを守ります」とHPE デジタルセールス・サーバー事業統括本部 深澤忠寿氏はアピールする。

▲さまざまな環境に設置されたサーバーをクラウドで一元管理できる。

サーバー管理を楽にする

 サーバーを導入するに当たり、企業の課題となるのが、サーバー管理の負担である。サーバーを常に最新の状態に保つためにアップデートを行ったり、万が一のトラブル発生時には原因の特定や復旧の対応をしたりと、システム管理者が対応するべき作業は多い。

 そうした管理における問題を一掃するのが、サーバーの導入・運用・監視・管理までのライフサイクルを一貫してクラウド上で行えるサービス「HPE GreenLake for Compute Ops Management」(以下、COM)だ。HPEのハイブリッドクラウドプラットフォームである「HPE GreenLake Edge-to-Cloudプラットフォーム」を通じて提供する。「あらゆる場所に置かれたサーバーをCOMで一元管理できます。ファームウェアのアップデートやサーバーの稼働状況の確認などは全てクラウドから行えるため、設置したサーバーの管理に必要とされていた『管理サーバー』は不要です。システム管理者の負担や工数を減らし、効率的な運用を実現できます」(江澤氏)

 Windows Server 2012/2012 R2のサポート終了が迫る中で、HPE ProLiant Gen11とCOMの組み合わせは、魅力的な提案商材となるだろう。深澤氏は「当社では、販売パートナーさまに向けたセミナーやイベントなどの支援を積極的に実施しています。ProLiantサーバーの性能や良さを知っていただき、2023年もパートナーさまとの協業によって、ビジネスを加速させていきます」と意気込みを語った。

HPE ProLiant Gen11サーバー
AI、分析、クラウドネイティブアプリケーション、機械学習、仮想デスクトップ、仮想化などさまざま用途に対応する高いパフォーマンス性能を実現している。

FUJITSU

SERVER

EOSを契機とした三つの移行選択肢で
ユーザー企業の多彩な需要に応える

FUJITSU Server PRIMERGY RX2540 M5
優れた性能と拡張性、業務を止めない冗長機能が充実した2Uラックマウント2WAYサーバー。小規模データベースや仮想化、クラウドシステムなどさまざまなビジネス用途に適している。

 Windows Server 2012/2012 R2の延長サポート終了が迫っているが、これらのサーバーを現在も使い続けている企業は決して少なくない。富士通はオンプレミス、クラウドのさまざまなEOS対策パターンから、これからWindows Server 2012/2012 R2の移行を進めていくユーザー企業に最適なソリューションを提供している。

 一つ目の提案が、オンプレミスへの移行だ。最新のWindows Server 2022搭載サーバーへのリプレースや、複数システムをまとめて運用・管理する仮想化などの提案を行っている。富士通はユーザー企業のIT環境を支える堅牢性の高いPCサーバー「PRIMERGY」シリーズを提供しており、ユーザー企業から多様なニーズに応えるラインアップをそろえている。

 二つ目の提案が、クラウド移行だ。EOSを機にサーバー環境をクラウドに移行したいユーザーに対して、同社のクラウドサービス「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud」やAmazon Web ServicesのAWSやマイクロソフトのAzureに富士通の運用サポートを組み合わせた「FUJITSU Hybrid IT Service for AWS」「FUJITSU Hybrid IT Service for Microsoft Azure」などの環境を提案している。

 三つ目の提案が、これまでのWindows Server 2012/2012 R2を継続利用しつつ、新しい環境に移行する準備を進めるものだ。具体的には前述したFUJITSU Hybrid IT Service for Microsoft Azureや、富士通のHCI製品「FUJITSU Server PRIMERGY Validated Node for Azure Stack HCI」を活用することで、Windows Serverの拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)や仮想セキュリティパッチでセキュリティリスク面をサポートしながら延命し、OSの更新やアプリケーション改修を行いながら新たな環境への移行準備を整えられる。

ハード・ソフトを一括サポート

富士通
インフラ&ソリューションセールス本部
プリセールス第二統括部
シニアディレクター
中嶋一雄

 特に同社がお薦めするのが、FUJITSU Server PRIMERGY Validated Node for Azure Stack HCIを活用したハイブリッドクラウド環境への移行だ。前述した既存サーバーの延命を行うことはもちろん、オンプレミスとクラウドを同一アーキテクチャで運用できる。環境の全体設計や移行の負荷を低減できるだけでなく、クラウドに保存できない重要度の高いデータなどはオンプレミスに保存する、といった使い分けが容易に行える。

 富士通 インフラ&ソリューションセールス本部 プリセールス第二統括部 シニアディレクターの中嶋一雄氏は「当社とマイクロソフトは30年にわたるアライアンスがあり、全国の富士通グループに設計・構築技術に長けたマイクロソフト認定技術者が2,000名以上在籍しています。OSソースコードレベルの解析スペシャリストも100名以上在籍しており、ハードウェア・ソフトウェアのサポートを当社が一括して提供できます。また小規模オンプレミスのリプレースには、VMwareベースの仮想化基盤として当社のHCI製品『FUJITSU Server PRIMERGY with VMware vSAN ReadyNode』を提案しており、最小2ノードから最大64ノードまでの環境を利用可能です。コストや規模感からHCIの導入を見送っていたユーザー企業さまにお薦めです」と語る。

 富士通はユーザー企業の目的に合わせた多彩な選択肢によって、企業のインフラ基盤の運用をサポートしていく。

LENOVO

SERVER

今年はタワー型のファイルサーバーに商機到来
独自の液冷技術でエネルギーコスト上昇に対応

ThinkSystem ST50 V2
Windows Server 2012/R2のサポート終了に伴うタワー型ファイルサーバーのリプレース提案に適したエントリーモデル。

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズが国内サーバー市場で存在感を強めている。その要因について同社の早川哲郎氏はクラウドサービスプロバイダー(CSP)の需要がけん引していると説明する。さらにエンタープライズ市場にも訴求していく。早川氏は「大手企業ではDXの進展に伴いAIの活用などシステムが高度化しており、サーバーに高いパフォーマンスを求めるお客さまが増えています。特に製造業ではこの傾向が強く、当社の強みの一つであるHPC製品やGPUを搭載した製品などで差別化を図ってビジネスを伸ばしていきます」と話す。

 また同社製品の優位性について「SDGsやESGの観点からサーバーには処理性能と省電力を両立する製品が求められており、当社は「Lenovo Neptune Direct Water-Coolingテクノロジー」(Neptune液冷技術)でその要求に応えています。第5世代のNeptuneは第4世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサーのほか、第4世代AMD EPYCプロセッサーやNVIDIAとインテルのGPUも新たにサポートしています。エネルギーコストが上昇を続けており、グリーンITへの要求だけではなくエネルギーコスト削減に対してもNeptuneの優位性はますます高くなります」と強調する。

大きな成長が見込めるエッジ製品にも注力

第5世代の「Lenovo Neptune Direct Water-Coolingテクノロジー」(Neptune液冷技術)を搭載したサーバー製品。Neptune液冷技術は筐体内に液体を循環させてシステムを冷却し、性能を落とさず電力消費を最大40%削減する。

 間もなくサポート終了を迎えるWindows Server 2012/2012 R2の商機について同社の三原麻理氏は「Windows Server 2012/2012 R2のサポート終了が迫っていますが、国内ではまだ多くの同OS搭載サーバーが稼働しています。それらの多くが中小企業や大企業の小規模拠点で稼働するタワー型のファイルサーバーだという調査結果があり、そのリプレースも大きなビジネスチャンスです」と指摘する。

 このビジネスチャンスの獲得に向けてレノボ・ジャパンの廣川直哉氏は「エントリーモデルのThinkSystem ST50を中心に、Windows Server 2022のバンドルも含めて提案していきます。またサポート終了直前に駆け込みでリプレースするお客さまも多いとみており、ディストリビューターさまの在庫モデルを活用して短納期で提供する体制も整えています」とアピールする。

 レノボグループではPCとサーバーのそれぞれの営業組織を統合して「One Lenovo」で顧客にソリューションを提案・提供しているほか、パートナープログラムも「Lenovo 360」に統合してOne Lenovoのビジネス体制を整えている。その効果について早川氏は「PCとサーバーをワンストップで提供できるレノボグループの総合力を発揮できるほか、今後はエッジ製品が大きく成長するとみており、PCとサーバーを統合することでエッジ製品の営業活動も展開しやすくなります。さらにパートナーさまのビジネスを効率化、省力化、自動化するさまざまなツールを提供しており、パートナーさまと共にビジネスのボリュームを上げていきたいと考えています」と話す。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ
ソリューション推進本部
本部長
早川哲郎
レノボ・ジャパン
パートナー事業本部 ソリューション開発
部長
廣川直哉
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ
ソリューション推進本部
ビジネス開発マネージャー
三原麻理