AI
暗黙知を活用可能な資産にするAIプラットフォーム
リコーは2025年12月8日、AI事業に関する記者説明会を実施した。本説明会では企業向けAIプラットフォーム「H.D.E.E.N」(仮称)を発表した。
H.D.E.E.NはマルチAIエージェント構造を採用している。ユーザーが質問を行うと、まず「司令塔AIエージェント」が意図を正確に把握し、配下の専門領域に特化した「専門家AIエージェント」に最適なタスクを指示する。専門家AIエージェントは、テキストの意味的近接性に基づいて情報を検索する「ナイーブRAG」、図表やグラフなど異なる形式の情報を統合する「マルチモーダルRAG」、さらにナレッジグラフを活用して関係情報を横断的に探索する「グラフRAG」や推論機能を用いて、専門的な回答を生成する。生成された結果は司令塔AIエージェントによって検証され、最適化された回答としてユーザーに提示される。企業ごとに最適化されたプライベート大規模言語モデル(LLM)を基盤に採用することで、企業や業界固有の知識、専門用語を正確に解釈した回答を生成できるのだ。
リコー リコーデジタルサービスビジネスユニット AIサービス事業本部 本部長 梅津良昭氏は、H.D.E.E.Nの展望を次のように話す。「非構造化データやベテランの暗黙知を、活用可能な資産にしていきます。この資産は、バーチャルヒューマンを活用したコミュニケーション空間での知識共有や、現場で働くロボットに知能を搭載する『フィジカルAI』へつなげます」
オンプレの導入に最適なLLM
本記者説明会では、Googleが提供するオープンモデル「Gemma 3 27B」をベースにしたLLM「RICOH LLM(27B)」を開発したことも発表された。
本モデルの特長は二つある。一つ目は高い処理性能だ。リコー独自のモデルマージ技術を活用することで、ベースモデルから大幅な性能向上を実現している。
二つ目は高い可搬性だ。「NVIDIA L4」などメモリ容量が少なく、入手性の高いGPUで稼働するよう設計されており、オンプレミス環境やPCサーバーでの低コストな導入に適している。
同社はこうした特長を持つRICOH LLM(27B)を、エフサステクノロジーズが提供するオンプレミス環境向けの対話型生成AI基盤「Private AI Platform on PRIMERGY(Very Smallモデル)」に搭載し、2025年12月下旬より提供を開始している。梅津氏は「クラウドではなく自社のオンプレミスサーバーでAI活用を行いたいお客さまのニーズに応えていきます」と意気込みを語った。


