東芝、画像異常検知AIを新たに開発
画像異常検知AI
東芝は9月12日、インフラ設備やプラント設備の点検業務に活用可能な画像異常検知AIの開発を発表した。本技術では、画像を用いた検知手法と言語を用いた検知手法の二つを、画像と言語を組み合わせたAIモデル「Vision︲Language Model」(VLM)上で融合させることで、過検知の抑制を実現している。
画像による検知は、東芝が2022年5月に発表した、数枚の正常画像と点検画像の比較で変状箇所を特定する画像検知手法「差分検知型画像異変検知技術」がベースとなっている。この技術は、点検画像の撮影位置や角度が正常画像とずれていても高精度に変状箇所を検知でき、過検知の抑制が可能であった。しかし、背景や周囲の構造物が複雑な画像では、過検知の抑制に限界があった。
そこで東芝は、画像検知に言語指示を組み合わせることで、さらなる精度向上を図った。だが、利用者の言語指示の仕方によって検知精度が変化する課題が浮上した。これに対し、AIがユーザーの言語指示に対して類似表現を自動生成し、それらを検知候補としてVLMにインプットする仕組みを導入したのだ。例えば道路上の「障害物」を検知対象とする場合、ユーザーが「障害物は検知対象」と入力するだけで、AIが「障壁物」「妨げ物」などの類似表現を自動生成する。そして障害物を検知対象として扱えるようにすることで、最適な検知対象領域を選定していく。この仕組みにより、さらなる過検知の抑制を実現しているのだ。
東芝 総合研究所 AIデジタルR&Dセンター アナリティクスAI研究部 エキスパート 瀧本崇博氏は「今後は鉄道や道路、工場、電力、プラントなど、さまざまな設備保全への活用を目指し、実用化に向けて研究開発を加速させていきます」と意気込みを語った。


