今号のAzureから始めるAIとクラウドの未来では、2025年7月から新年度である「FY26」を迎えた当社の新たな市場戦略を紹介します。昨年度のFY25では、六つのカスタマーソリューションエリアを軸とし、AIを中心に市場に大きなインパクトを残せました。今年度はその六つのカスタマーソリューションエリアを三つに定義し、ビジネスを推進していきます。


日本マイクロソフト
パートナー事業本部
コーポレートソリューション統括本部
パートナーソリューション本部
パートナーソリューションマネージャー
大北崇人 氏

AI活用を促進するクラウド＆AI戦略

　始めに、FY26の三大テーマといえる「ソリューションエリア」について説明します。それは「Microsoft Copilot」（以下、Copilot）、Modern Work、マイクロソフトのビジネスアプリケーションを中心とした「AI Business Solutions」、「Microsoft Azure」（以下、Azure）を中心とした「Cloud＆AI Platforms」、どの領域においても必要となる「Security」です。AI Business Solutionsは、あらゆる役割の人、あらゆるデバイスにCopilotを提供するという内容です。また、「Microsoft 365」や「Dynamics 365」も販売を推進します。Cloud＆AI Platformsでは、全てのマイクロソフトのお客さまに対し、他社製品より優位性のあるAIデザインソリューションを提供します。

　Azureへの移行とモダナイゼーションも進めていきます。Securityでは、全てのお客さまに強固なセキュリティ基盤を提供します。この中から今回は、Frontier AI solutionsとMigration and modernizationをAzureで実現するCloud＆AI Platformsの内容を見ていきましょう。

四つの戦略とAzure製品から提案

　Cloud＆AI Platformsの概要は、大きく四つの戦略を設けています。本戦略は、マイクロソフトが対象セグメントとして定義する中堅中小企業のお客さまを中心とした内容となっています。戦略の一つ目は「データ＆AI基盤の獲得」です。本戦略を実現するために、データ分析プラットフォームの「Microsoft Fabric」によってデータ活用のあらゆる工程を一つの統合プラットフォームで完結できるデータソリューションの提供に注力します。Microsoft Fabricはビジネスユーザーさまにもエンジニアさまにも優しい設計となっていて、企業のDX推進やAI活用を加速させる基盤として活用できます。

　二つ目の戦略は「AI Ready Infra」です。お客さまの環境で利用しているさまざまなデータと共に、AIを活用するために必要な基盤のインフラとして、お客さまやパートナーさまが安心安全に活用でき、コスト最適化を実現するインフラストラクチャとして、引き続きAzureへの移行を提案、促進していきます。

　三つ目の戦略は「With Security」です。セキュリティ対策はお客さまの情報資産やシステムを外部・内部の脅威から守り、安心安全な業務を円滑に実現するために必要です。パートナーさま、お客さま、さらには個人でも、デジタル環境を安全に保つために不可欠です。

　それらの課題を解決するために、「Microsoft Defender for Cloud」を軸によりセキュリティを強固にするマイクロソフトのセキュリティソリューションの提供を実現します。Microsoft Defender for Cloudの強みは、クラウド環境全体を包括的に保護し、セキュリティ運用の効率化とリスク低減を実現できる点にあります。本製品を活用した結果、ゼロトラスト戦略の実現やクラウドセキュリティの標準化にも貢献し、企業のセキュリティ基盤として非常に強力な選択肢になると考えています。

　四つ目の戦略はクラウドへの移行です。オンプレミス環境のクラウドへのマイグレーションと共に、ハイブリッドクラウドによるオンプレミス環境へ付加としてクラウドソリューションも提供し、クラウドへの段階的な移行を促進します。また今年度は、データセンター事業者さまのAzureのプラットフォームへの移行にも注力します。

　今回は、FY26の当社の戦略と、そのうちのCloud＆AI Platformsの概要について紹介しました。今後パートナーさまに提供する提案シナリオやコンテンツ、プロモーションプランだけでなく、マーケティングやインセンティブプログラムについても、本戦略に基づき提供していく予定です。その内容は、順次本企画の中で紹介していきます。今後も、マイクロソフトのAIやAzureの取り組みにご注目ください。

text：日本マイクロソフト 大北崇人 氏