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改正電子帳簿保存法対応のビジネス展開とソリューション提案

改正電子帳簿保存法対応のビジネス展開とソリューション提案

2021年11月10日更新

改正電帳法以外の法令も視野に
電子契約に関わる一連の業務を対応

Part.2 改正電子帳簿保存法対応ビジネスの展開方法

改正電子帳簿保存法の施行が2022年1月1日に迫り、企業では対応に向けた検討および取り組みが進められていることだろう。しかし改正電子帳簿保存法だけを視野にソリューションを選定、導入するのは正解とは言えないようだ。個人情報保護法の改正などほかの法令や改正法も視野に入れた検討が必要となるほか、電子契約においては電子署名だけではなく文書の作成からワークフロー、文書管理まで一貫した仕組みを検討する必要がある。

改正電帳法対応を契機に
文書の電子化が推進される

k&iソリューションズ
代表取締役
村上啓一 氏

 ビジネスでは取引先や顧客から受け取るさまざまな文書をメールなど電子的手段でやりとりする機会が増えている。例えば見積書や請求書などの重要な文書もPDFなどの電子文書でやりとりすることが多いだろう。このようにビジネスでやりとりする文書の多くが電子化されているにもかかわらず、紙の文書が減らないという矛盾はなぜ生じるのだろうか。

 k&iソリューションズで代表取締役を務める村上啓一氏は「押印を電子化あるいは省略できないことが原因でしょう」と指摘する。政府はこれまで押印が必要だった行政手続きの大半で押印の廃止を進めている。しかし「押印をしなくても合意が証明されるのかという不安や抵抗感があるほか、どのような条件下で押印が不要となるのか、あるいは電子署名の効力が生じるのか分からないという疑問などが原因で、電子文書で受領したさまざまな文書をプリンターで紙に出力し、押印してやりとりするという従来の文書の扱い方が残ってしまっている」(村上氏)のが実態だ。ちなみに法務省のホームページで「押印についてのQ&A」が公開されている。

 2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法ではビジネス等において電子文書で受領した文書をプリンターで出力して利用することは認められなくなる。電子文書で受領した文書は電子文書が原本とみなされ、電子文書のままでの保管が求められるようになるからだ。

 村上氏は「当初は法令対応を目的として文書の電子化に取り組む企業が多いと思いますが、文書の電子化は在宅ワークなどで情報を共有しやすくなることや、業務の次の工程や別の業務で情報を引き継ぎやすく、業務が効率化できることなど、業務の効率化や生産性の向上が本来の目的です。今後は改正電子帳簿保存法対応を契機に文書の電子化を推進して、業務の流れを見直すという企業が増えてくると思います」と見通しを話す。

電子化は社内から社外に拡大
前工程と管理を含めて検討

 改正電子帳簿保存法対応を契機とした電子署名を含む文書の電子化は、どのようなシナリオで推進していけばいいのだろうか。

 村上氏は「見積書や契約書、請求書といった相手方のある文書から電子化するのはお薦めできません。取引に関する文書を電子化するには相手の承諾が不可欠です。また社内でも相手の承諾を得るよう業務の担当者に働きかけなくてはならず、業務の担当者にとっては相手の承諾を得るために相当なリソースを消耗しなければならず、承諾を得ることで業務の担当者に直ちにメリットがあるわけではないため動機付けも得られないなど、多くの障壁があります。その結果、全ての取引のうち例えば半分しか電子化の承諾が得られなかったとなると、電子化のために導入したサービスの契約トランザクションの大半が無駄になってしまう恐れもあります」と指摘する。

 そこで村上氏は社内の雇用契約書や機密保持契約(NDA)書といった社内で完結し、認印で押印してきた文書の電子化から始めると効果が得やすいとアドバイスする。社内なら必ず利用させることができるうえに、社内での利用によって社員が利便性を体感でき、利用が定着することで、そのサービスを別の業務の文書の電子化に展開して活用を拡大していくシナリオが現実的かつ効果的だと強調する。

 このシナリオに沿って顧客に電子契約システムを提案する際、どのようなサービスを選定すべきか。この点について村上氏は「相手に電子署名をもらうことを目的として電子契約システムを選ばないこと」とアドバイスする。

 一連の契約業務は相手方から署名をもらって終わりではない。契約書などのドキュメントの作成からワークフローでの社内決裁、送付状を作って封筒に入れて相手に送るなど、多数の付帯業務がある。

 さらに基本取引契約の場合は相手から振込先の口座情報を、雇用契約の場合はマイナンバーカードの写しを、外国人雇用の場合は在留カードのコピーを、与信の場合は決算書というように付帯する文書もさまざまある。そしてこれらの業務や文書を双方でやりとりして、経理や総務などで確認してファイリングして文書管理する。

 村上氏は「電子契約システムの一般的な機能は契約書を送信する、相手の署名をもらう、文書が戻ってきて保存される、このプロセスを電子契約と認識されていますが、ここだけを導入しても前工程、管理が抜けており部分最適にしかなりません。契約業務を電子化、効率化するには前工程、管理までを含めた検討や、すでに運用している業務システムとの連携も必要なのです」と説明する。

電帳法以外の法令も視野に検討
専門家のアドバイスが効果的

 k&iソリューションズではアドビの「Adobe Sign」とサイボウズの「kintone」を組み合わせた電子契約ソリューションを提供している。村上氏は「電子帳簿保存法の観点ではAdobe Sign単体でご利用いただくよりも、kintoneと組み合わせることでより効果的に改正電子帳簿保存法に対応できます。来年施行される改正個人情報保護法などほかの法令対応も視野に入れる必要があり、いろいろな法令および法改正に注意を払って電子化を進めることがきます」とアピールする。

 またkintoneはユーザーが業務改善する際に自らアプリケーションを作成しやすいというメリットもある。またAdobe Signは1トランザクションから購入でき、固定費がかからずスモールスタートできる魅力がある。しかもISO 32000で国際標準化された電子文書ファイル形式であるPDFとの連携でも有利だ。さらにAdobe Signは当事者型と立会人型の両方の署名方法に対応しており、標準機能として使い分けられるというメリットもある。

 またk&iソリューションズはAdobe Signとkintoneを組み合わせた電子契約システムのソリューション提供だけではなく、電子帳簿保存法などの法令対応やそれに伴う電子化について、業務改善を含めたコンサルティングサービスも提供する。同社はケインズアイコンサルティンググループのグループ会社であり、同グループには税理士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人などの士業の専門家が所属するほか、弁護士事務所とも提携しており、専門家による実務を通じたコンサルティングサービスが利用できるメリットがある。

 例えば改正電子帳簿保存法対応をする際、訂正削除ができないサービスを利用することで認定タイムスタンプも事務処理規定も不要になる。ところがGDPR(EU一般データ保護規則)やGDPRの流れをくむ改正個人情報保護法では、削除要請があった場合は削除しなければならず、特にGDPRでは応じなければ高額な罰金が課される。改正電子帳簿保存法対応だけでソリューションを選ぶと、別の法令に対応できなくなる恐れが生じるのだ。

 最後に村上氏は「改正電子帳簿保存法に対応するために急いでソリューションを導入したが、別の法令に対応できない、既存のワークフローとうまく連携できず効率が悪いなどの理由で来年、再来年にリプレースする企業が多く出てくる可能性があるのではないか」と指摘する。

期限が迫る電子取引への対応が最優先
データの自動仕分けと電子保管を提案

Part.3 改正電子帳簿保存法対応ソリューションの提案シナリオ

期限が約2カ月後に迫る中、改正電子帳簿保存法への具体的な対応に取り組み始めていない企業が多くある。対応しなければ罰則の対象になるため、早急な取り組みが必要だ。わずかな時間でコストを抑えたソリューション導入が求められる中、京セラドキュメントソリューションズジャパンでは電子帳簿保存法へのステップ対応を提案しており、そのステップ1としてデータの自動仕分けと電子保管システムを組み合わせたミニマムなソリューションを提供する。

四つのステップに分けて
電帳法への対応を進める

 電子帳簿保存法への対応は、税法上では次の三つの取り組みに大別できる。一つ目の「電子帳簿等保存」では、会計ソフトに入力して作成した帳簿や書類は紙に出力して保存するのではなく、データのまま保存する。

 二つ目の「スキャナー保存」では、紙で受領・作成した書類を、過去のものも含めてスキャナーやデジタルカメラで取り込み、スキャナー保存の要件に従ってデータで保管する。

 三つ目の「電子取引」では、電子的に授受した請求書や注文書などの取引情報を、電子取引の要件に従ってデータで保管する。これらの三つの取り組みの中で早急な対応が求められるのが電子取引である。

 京セラドキュメントソリューションズジャパンの営業本部 副本部長 石川泰文氏は「電子取引は電子帳簿保存法が改正される2022年1月1日から対応が義務付けられます。未対応の場合は青色申告承認の取り消し対象になり得ます」と説明する。ちなみにスキャナー保存に関しては2022年1月1日の改正で要件が緩和される。

 さらにこの点について同社の営業本部 ビジネスソリューション営業統括部 SMBソリューション推進部 部長 沖 俊治氏は「青色申告承認の取り消しになると取引先や金融機関からの信用が失墜する恐れがあるほか、中小企業や小規模事業者には事業継続に支障を来す問題となります」と指摘する。

 このように国内の全ての企業にとって改正電子帳簿保存法対応は必須の取り組みとなるわけだが、対応の期限が目前に迫っている中、対応への具体的な取り組みを始めていない企業が数多くいる。こうした企業にどのようなソリューションを提案すればいいのだろうか。京セラドキュメントソリューションズジャパンでは「四つのステップに分けて電帳法対応を進める」ことを提案している。

京セラ
ドキュメントソリューションズジャパン
営業本部 ビジネスソリューション営業統括部
ソリューションビジネス技術部 部長
安藤雅文 氏
京セラ
ドキュメントソリューションズジャパン
営業本部 副本部長
石川泰文 氏
京セラ
ドキュメントソリューションズジャパン
営業本部 ビジネスソリューション営業統括部
SMBソリューション推進部 部長
沖 俊治 氏

スキャナーで取り込んだデータに
属性付与したファイル名で自動仕分け

 喫緊の課題である電子取引への対応が最初のステップとなる。社外から授受した請求書や注文書などの取引情報の電子化と、電子取引の要件に従ってデータで保管する仕組みの導入だ。

 Webやメールで受け取った書類はそのままデータで保管し、郵送やファックスを通じて紙で受け取った書類はスキャナー等で取り込みデータ保存する必要がある。ここで重要となるのは、ただデータで保管すればいいというわけではないことだ。

 保存したデータは電帳法の要件に応じてキーワードを付与し、必要な情報が速やかに取り出せる必要がある。これに対して京セラドキュメントソリューションズジャパンでは現在、改正電子帳簿保存法に対応した文書保管システムを独自に開発しており、今年12月に「KYOCERA Smart Information Manager」を提供する予定だ。

 この新製品では属性付与による検索性の向上、文書の登録や改訂時の簡易承認などの機能が提供され、またJIIMA(日本文書情報マネジメント協会)も取得する予定だ。

 さらに運用する上では「Webやメールで受け取ったデータやスキャナーで取り込んだデータのファイル名を手作業で入力するのは非効率ですし、入力ミスも頻発します。データの仕分けを自動化する仕組みが必要です」と同社の営業本部 ビジネスソリューション営業統括部 ソリューションビジネス技術部 部長 安藤雅文氏は指摘する。

 そこで同社は授受したデータのファイル名に属性を付与し、文書の種類に応じて仕分けをする作業を自動化する「KYOCERA Capture Manager」を提供している。

 KYOCERA Capture Managerでは複合機からのスキャンや電子メールの添付ファイル、Webブラウザー、モバイル用の専用アプリ、あらかじめ指定したフォルダーなどからデータを受け取り、ファイル全体あるいは指定領域内の印刷された文字のほか手書き文字、マークシートやバーコードなどを自動的に認識、抽出してファイル名に反映したり、取り込んだ文字等を必要に応じて保存したりすることができる。電子署名を付与することで内容や作成日時など改ざんを防ぐことも可能だ。

 つまりKYOCERA Capture ManagerとKYOCERA Smart Information Managerを組み合わせたミニマムなソリューションで、直近の改正電子帳簿保存法にスピーディーかつ低コストで対応できるのだ。

ワークフローとの連携で業務を効率化
高機能な文書管理でデータ活用を促進

 ステップ2では紙で受領した領収書の経費処理をワークフローに乗せて原本をデータ保管する仕組みだ。複合機やスキャナーで取り込んだ紙の領収書のデータをワークフローシステムに取り込み経費精算を効率化する。ステップ3では注文書の社内承認処理を、ワークフローによる電子承認から電子保管まで連携し、ガバナンスにも対応できる仕組みを提供する。

 ステップ4では電子帳簿保存法への対応を通じて、データをさらに活用して業務を効率化したり、新たな価値創造につなげたりするための仕組みの構築を行っていく。

 今後、京セラドキュメントソリューションズジャパンは従来のビジネスに加えて、ドキュメントソリューションを通じたさまざまなビジネスを展開していく計画だ。

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