AWSの信頼性とセキュリティが自社サービスへの評価に直結

岡山を本拠に中国地方で百貨店や商業ビル、スーパーマーケット、ホテルを中心に多数の企業を傘下に収める天満屋グループでICTソリューション事業を担うアイアットOECは、以前よりクラウド事業を推進してきた。現在、クラウド事業は成長を加速させる好機を迎えており、既存サービスの拡充と新サービスの提供を進めている。それに伴い同社は今後のクラウド事業の成長を支えられる新たなサービス基盤をAWSに構築した。

クラウド事業の成長に応じた
サービス基盤の増強がしたい

アイアットOEC
営業本部 クラウドサービスグループ 開発チーム 主任 廣井高明氏

 アイアットOECは地域の企業をはじめ公共や文教、医療の分野に向けて給与計算や社会保険業務などの間接業務のアウトソーシングサービス、人事給与や文書管理、勤怠管理などの総務ソリューションなどを提供して成長を続けてきた。さらにASP(Application Service Provider)と呼ばれていた現在のSaaSに可能性を見出した同社はいち早く事業化に取り組み、2003年にポータルサイト・グループウェアの「WaWaOffice」の提供を始めた。

 その後、「WaWaシリーズ」としグループウェアをはじめワークフロー・電子申請の「WaWaFlow」、SFAの「WaWaFrontier」、さらに簡易データベースの「WaWaD-Be」などSaaSのラインアップを拡充し、WaWaOfficeは1,500社以上の顧客を獲得している。

 さらに働き方改革を経てテレワークが常態化している現在、クラウドサービスへの需要はさらに高まり、WaWaシリーズには成長を加速させる好機が訪れている。実際、顧客は全国に広がり引き合いも大幅に増えているという。しかし顧客が増える一方で課題も顕著になってきた。

 営業本部クラウドサービスグループ 開発チーム 主任 廣井高明氏は「既存サービスの機能の追加や新しいサービスの提供を見据えて、コンピューターやストレージなどのリソースをビジネスの成長に応じて柔軟に対応させられるサービス基盤が必要でした」と説明する。

政府や大企業が評価するAWS
利用料への誤解が解けて導入を決断

アイアットOEC
営業本部 クラウドサービスグループ 部長 仲野浩志氏

 従来、国内大手のデータセンターにサービス基盤を構築してWaWaシリーズを提供してきた。しかし顧客の増加に伴うコンピューターリソースの増強やストレージの増量、ネットワークの帯域拡大といった同社の要望に対して、サービスが用意されていなかったりサービスに制限があったりしたため将来的な不安を感じていた。

 さらに営業本部 クラウドサービスグループ 部長 仲野浩志氏は「データセンターにはお客さまの情報資産と当社のクラウド事業そのものが保管されているため、お客さまも当社も納得できる信頼性や安全性への対策がサービスプロバイダーに求められます。従来のデータセンターでは一切の問題は生じませんでしたが、将来を考えて、さらにセキュリティを担保していくための仕組み作りはできないかと検討していました」と説明する。

 そこで同社は今後のクラウド事業の成長を支えられるデータセンターサービスへの移行を検討し、ダイワボウ情報システム(DIS)を通じてAWS(Amazon Web Services)を導入した。

 AWSを選んだ経緯について仲野氏は「以前よりグローバルで評価されているいくつかのデータセンターの情報収集をしていました。AWSは国内外で広く知られており、セキュリティ水準もグローバルレベルです。AWSから当社のサービスを提供すれば、お客さまに当社のサービスの安全性や信頼性が理解してもらえます。しかし以前、AWSはグローバルでトップクラスの企業が多く利用していること、国内でも中央省庁や大企業が利用していることから利用料が高額だという先入観がありました」と振り返る。

 そしてデータセンターの移行を前提とした検討を始めた際に、仲野氏は改めてAWSのサービス内容と利用料を確認した。すると「実際に利用料を調べてみるとコストパフォーマンスが非常に高いこと、サービスのラインアップが豊富でやりたいことがAWSで完結できることが確認できました」と説明する。

AWSの知名度と信頼性を顧客が評価
今後のクラウド事業の成長を支える

 同社はAWSの仮想サーバーサービス「Amazon EC2」(Amazon Elastic Compute Cloud)や仮想ネットワークサービス「Amazon VPC」、ストレージサービス「Amazon S3」(Amazon Simple Storage Service)、リレーショナルデータベースサービス「Amazon Aurora」などを組み合わせてWaWaシリーズおよび新サービスとなるアットポケットのサービス基盤をAWS上に構築した。

 仲野氏は「Amazon EC2もAmazon S3もビジネスの成長に伴うトランザクションやデータ量の増加に対して、リソースを必要な分だけ無駄なく柔軟に利用できます。またAmazon Auroraはデータが増加しても高速に処理してくれるため、お客さまが快適に当社のサービスを利用できることで満足度の向上につながります」と評価する。

 さらに廣井氏は「AWSのサービスは日本のデータセンターからサービスを提供している上に、複数のデータセンターが常に連携しているため災害や障害が生じても影響を受けにくいという利点もあります。このAWSのリージョンやアベイラビリティーゾーンという仕組みをお客さまに説明することで、当社のサービスへの信頼性や評価も高まります」と話を続ける。

 同社はAWSで構築したサービス基盤を利用して2021年5月より新たに「アットポケット」(@pocket)の提供を開始した。アットポケットはソフトウェア開発の知識がなくてもノンプログラミングで業務アプリケーションが簡単に作成できるクラウドサービスだ。

 廣井氏は「これまでデジタル化しづらかった、規模が小さく細かい業務もアットポケットでシステム化できるようになり、お客さまの業務の効率化やDXの推進に貢献できると考えています。特にテレワークが定着した現在、業務の現場ではさまざまな業務のデジタル化のニーズが増えています。アットポケットを使えば誰でも簡単に、必要な業務アプリケーションがすぐに作成できます」とアピールする。

 AWSを通じてサービス提供されるアットポケットは機能の充実はもちろんテンプレートの拡充や他社サービスとの連携の拡大など、より便利に使えるサービスを目指して進化を続けていく。仲野氏は「ビジネスの成長に応じてリソースを拡大でき、新しいサービスや機能を追加する際は必要なサービスが用意されているなど、AWSには当社のクラウド事業の成長を支え続けてくれることを期待しています」と語った。

業務支援アプリを自分で作れる@pocket(アットポケット)
https://at-pocket.com/

簡単操作のグループウェアWaWaOffice
https://www.wawaoffice.jp/

Company Profile

アイアットOEC
https://www.iii-oec.co.jp/
本社:岡山県岡山市北区本町6-36 第一セントラルビル9F
設立:2004年9月
社員数:90名 ※2021年4月時点