皆さま、こんにちは。
ダイワボウ情報システム(DIS)Nutanix担当の井原です。
Nutanix External Storageの構築・検証手順を、以下の通り全4回に分けて紹介します。
・ 第1回 Nutanix External Storageとは - 概要編(本記事)
【今後の予定】
・ 第2回 Compute NodeのFoundation
・ 第3回 PowerStoreのセットアップ
・ 第4回 Nutanixクラスターとの接続
Nutanixといえば、コンピュート、ストレージ、仮想化を統合したHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
Nutanixは2025年春、外部ストレージを利用できる新たな選択肢として「NCI Compute(NCI-C)」の一般提供を開始しました。最初にサポートされた外部ストレージはDell PowerFlexで、その後、Everpure(旧Pure Storage)FlashArray、Dell PowerStoreへと対応製品を拡大しています。これにより、従来のNutanix HCI構成に加えて、コンピュートとストレージを分離した構成を選択できるようになりました。
第1回となる本記事では、Nutanix External Storageの基本的な考え方、適するケース、対応製品について解説します。
1|Nutanix External Storageとは
Nutanix External Storageは、NCI Compute(NCI-C)が提供するコンピュート機能と、認定された外部ストレージを組み合わせる構成です。これにより、従来のHCI構成とは異なり、コンピュートとストレージを分離したインフラを利用できます。
従来のNutanix HCI構成では、各ノードに搭載されたCPU、メモリー、ストレージなどのローカルリソースをクラスター全体で統合します。中核となるCVMは、ローカルディスクを束ねて分散ストレージを構成します。ノードを追加することで、CPUやメモリーの性能とストレージ容量をまとめて拡張できるため、運用を効率化できます。
一方で、External Storage構成では、各ノードはコンピュートリソースを提供し、仮想マシンのデータは外部ストレージに格納します。仮想マシンのI/OはCVMを経由して外部ストレージへ送信されます。
Compute Node上でAHVとAOSを稼働させ、ストレージは外部ストレージによって提供される分離型インフラとなります。CPUやメモリーの不足にはコンピュートノードを追加し、ストレージ容量の不足には外部ストレージを拡張します。このようにコンピュートとストレージを個別に増設できるため、既存ストレージを活用したい場合や、リソース要件に偏りがある環境で有効な選択肢となります。
2|Nutanix External Storageが適している環境・ユースケース
まず押さえておきたいのは、NCI Computeが従来のNCIを置き換えるものではなく、NCIを補完する選択肢であるという点です。Nutanixは、コンピュートとストレージの分離を重視する場合はNCI Computeと外部ストレージの組み合わせを、HCIのシンプルさや迅速性、俊敏性を重視する場合は従来のHCIを選択できると説明しています。
External Storage構成は、次のような環境で有力な選択肢になります。
- 既存の外部ストレージ資産を継続して活用したい
- コンピュートとストレージを個別に拡張したい
- 大容量ストレージを必要とする
- ストレージ装置が備えるデータ削減やレプリケーション機能を活用したい
- 外部ストレージを利用している既存の仮想化環境から移行したい
- ストレージの性能、可用性、サイバーレジリエンス機能を重視したい
- 仮想化基盤をNutanix AHVへ移行しながら、既存ストレージへの投資を維持したい
3|NCI Compute+External Storageの構成と仕組み
外部ストレージとの接続方式やデータの格納方法は製品ごとに異なるため、構成時には対象のDeployment Guideを確認することが重要です。たとえば、FlashArray、PowerStoreとの統合ではNVMe/TCPが使用され、仮想マシンのディスクごとに外部ストレージ上へVolumeが作成されます。また、ストレージ側で重複排除や圧縮を実施するため、CVM側ではこれらの処理を行わない設計となっています。
Compute NodeにおけるCVMの役割
各Compute NodeにはHCIと同様にCVMが必ず稼働します。従来のHCIとの違いは、CVMがローカルディスクを管理しない点です。代わりにCVMはホストのローカルブートデバイス(M.2カードやBOSSカードなど)から起動し、ユーザーVMのすべての永続データは外部ストレージに保存されます。またCVMはノードとクラスターの頭脳としての役割を保ち、I/Oオーケストレーション、メタデータ管理、ネットワーク、バックグラウンド操作、DRワークフローを担当します。
参考:NCI Compute ・The Nutanix Cloud Bible -External Storage
4|Nutanix MoveのZero-Copy Migrationとは
External Storageを活用する際に注目したい機能の一つが、Nutanix Move 6.3で提供されるZero-Copy Migrationです。
通常、VMware ESXiからNutanix AHVへ仮想マシンを移行する場合、仮想ディスクのデータを移行元から移行先へネットワーク経由でコピーします。仮想ディスクの容量が大きい場合、データ転送に時間がかかるだけでなく、ネットワークやストレージにも負荷が発生します。
Zero-Copy Migrationでは、ネットワーク経由で仮想ディスク全体をコピーする代わりに、ストレージベンダーが提供するAPIを使用して、同一ストレージ装置内で仮想ディスクをクローンします。
Nutanix Moveは、移行元VMの停止、移行先となるプレースホルダーVMの作成、ストレージレベルのクローン、移行先VMへのディスクの関連付けを連携して実行します。基盤となるストレージ装置が変わらないため、大量のデータをネットワーク経由で転送することなく、クラスターとネットワークへのI/O負荷や移行時の停止時間を抑えられます。
5|Nutanix External Storageの対応製品
Nutanix External Storageは、認定ストレージパートナーの製品との組み合わせで提供されます。
2026年7月時点でサポートされている製品は、以下の通りです。製品によって、必要なNCIのバージョン、構築方式、ネットワーク要件、管理コンポーネントが異なる点に注意が必要です。
※NetApp製品については、NetApp AFFシリーズおよび一部のFASシリーズを対象に、NutanixとNetAppが2026年4月に戦略的提携を発表しています。一般提供は2026年後半に予定されていますが、本記事執筆時点では正式なサポートが開始されていないため、本記事では扱いません。
参考:NutanixとNetApp、モダンなクラウドプラットフォームに向けた 新たな統合で戦略的提携を締結
5.1|Dell PowerFlex
2025年5月にNutanixで最初にサポートされた外部ストレージです。PowerFlexは、複数のサーバーにストレージ機能を分散するスケールアウト型のソフトウェア定義ストレージです。ストレージノードの追加により、容量や性能を段階的に拡張できます。大規模環境や高い拡張性が求められる環境、既存のPowerFlex基盤をNutanixでも活用したい場合に適しています。
参考:PowerFlex – ソフトウェアデファインド インフラストラクチャ | Dell 日本
5.2|Everpure FlashArray
2026年10月時点で、Zero-Copy Migrationに対応しているストレージ製品はFlashArrayです。FlashArray内でディスクをクローンすることで、VMのデータをネットワーク経由で全量コピーすることなく、ESXiからAHVへ移行できます。
参考:FlashArray:統合型ブロック/ファイル/オブジェクト・ストレージ・プラットフォーム |Everpure
5.3|Dell PowerStore
NCI 7.6から対応したオールフラッシュストレージです。既存のPowerStoreを活用したい場合や、ストレージ側のデータ管理機能を重視する場合に適しています。
参考:PowerStore スケーラブル オールフラッシュ アレイ ストレージ | Dell 日本
Dell PowerStoreは、NCI Computeの外部ストレージとして利用できます。また、Dell Private Cloudとして構成することで、Dell Automation Platformを利用したNutanix環境の自動導入やフルスタックのライフサイクル管理にも対応します。ただし、PowerStoreをNCI Computeの外部ストレージとして利用する製品統合機能と、Dell Private Cloudによる導入・運用自動化は別の仕組みです。後者を利用する場合は、Nutanixのライセンスとは別に、Dell Private Cloudのソフトウェアサブスクリプション契約が必要となります。
6|まとめ - Nutanix External Storageで広がるインフラ構成の選択肢
Nutanix External Storageにより、Nutanixは従来のHCI構成に加えて、コンピュートとストレージを分離した構成を選択できるようになりました。NCI-Cを利用することで、Nutanix Cloud Platformの機能と、認定された外部ストレージを組み合わせることができます。特に、既存のストレージ資産を活用したい場合、コンピュートとストレージを個別に拡張したい場合、ストレージ固有のデータサービスを継続して利用したい場合に、有力な選択肢となります。
一方で、外部ストレージであれば自由に接続できるわけではなく、サーバー、NIC、スイッチ、ストレージ、接続方式、各ソフトウェアバージョンを含めた認定構成が前提です。
次回は、検証環境の構成を説明したうえで、Dell XC640をCompute NodeとしてFoundationでセットアップするための準備、Foundation Centralのセットアップ、Nutanixクラスターの作成手順を紹介します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



