育児や介護をしながら働き続けられる社会の実現に向け、「育児・介護休業法」が改正された。改正内容は全ての企業に適用され、施行は2025年4月と10月の2段階で行われる。今回の改正では、育児期における柔軟な働き方の支援や介護離職の防止に向けた制度整備など、企業に新たな義務が課される。そのため、企業は法改正の内容を正しく理解し、制度の整備と運用に適切に対応することが求められる。こうした背景を踏まえ、育児・介護休業法の理解を深めるために役立つ書籍を紹介する。
教えて!東京労働局さん 働く人の妊娠・出産・育児

2,200円(税込)
経営書院
本書は「育児・介護休業法」をはじめとした、妊娠・出産・育児と仕事の両立に深く関わる法令を分かりやすく解説した一冊だ。各章の冒頭に、働く女性「さくら」を主人公としたストーリーを挿入し、具体的な場面を通じて理解を深められる構成となっている。本書は、育児か仕事かという二者択一を迫るのではなく、子供を持ちながら仕事を続けたいという働く人の希望を実現することで、より良い未来を築けるという思いの下制作された。また、東京労働局雇用環境・均等部の協力を得て、現場の声を反映した内容となっている。さらに、情報を企業向け・労働者向けに分けておらず、あらゆる立場の人が同じ情報を得られるように記載されている。構成は、第0章で妊娠・出産・育児をしながら働く際に関係する法令の全体像を示し、第1章から第7章では妊娠、出産、育児期という時系列に沿って、働く人と雇用する側の双方に向けて知っておくべき事項や注意点を網羅的に解説している。妊娠中や産休・育休中の流れを分かりやすく示した年表も付属しており、「妊娠・出産・育休」の全体像を把握できるようになっている。社内の両立支援制度の整備の際に参考になる一冊だ。
改訂版 産休・育休制度の実務が
まるっとぜんぶわかる本

3,740円(税込)
日本法令
本書は、妊娠から職場復帰後までの一連の実務を横断的に確認できる実務書として2022年に出版され、育児・介護休業法の改正を受けて改訂された。社会保険労務士である著者が、産休・育休制度の実務を分かりやすく解説している。例えば第2章では、改正内容に加え、改正法施行までに企業が対応すべき具体的な実務とスケジュールについて取り上げ、第3章では改正法施行後を想定した実務対応を時系列で整理している。さらに第4章では、制度全体の概要を一覧できる表や、法改正に対応した育児・介護休業規定例など、実務で活用できるツールを掲載。法改正対応を確実に進めたい企業担当者にとって、信頼できる実務ガイドとなっている。
出産・育児・介護休業の
ための法律と実務

2,530円(税込)
三修社
本書は、産休・育休・介護休業に関する基礎知識を体系的に解説すると共に、関連する社会保険制度や、仕事とプライベートの両立を支援するための助成金制度「両立支援等助成金」まで幅広く取り上げた実用書だ。社内で準備すべき様式サンプルや社会保険手続きに必要な重要書式も掲載されているため、実務担当者の大きな助けとなるだろう。さらに章扉に掲載されたQRコードをスマホで読み取ることで本文を音声で聞ける機能も搭載している。専用アプリ不要で、読み上げ速度や声質も選べる。読むだけでなく聞くことで、産休・育休・介護休業に関する理解を深められる。