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ユーザーとの2フィートの距離から生まれるビジネスの可能性 ~NECパーソナルコンピュータ 後編~

ユーザーとの2フィートの距離から生まれるビジネスの可能性 ~NECパーソナルコンピュータ 後編~

2022年11月21日更新

PCの価値はユーザーとの2フィートの距離
そこから生まれるビジネスの可能性を探る

~NECパーソナルコンピュータ 後編~

PCとユーザーには「2フィート」という絶妙な距離がある。この距離がPCの用途を広げ、新たな価値を生み出し続けてきた。コロナ禍以降はハイブリッドワークが広く普及し、ノートPCをあらゆる場所で使って生産性や効率性を高めることが求められるようになった。2フィートの距離の中で生産性や効率性を高めるにはどのような方法があるのだろうか。NECパーソナルコンピュータの森部浩至氏とフィラメントの角 勝氏の2人がユニークなアイデアを「Wing Binder」という商品に具現化した。

縦派と横派が存在する
セカンドモニターユーザー

株式会社フィラメント
代表取締役CEO
角 勝 氏

角氏(以下、敬称略)今やノートPCを持ち歩いていれば、オフィスや自宅はもちろん、カフェでも移動中の電車の中でも、やりたいときに仕事ができる環境が整っています。ノートPCの性能もとても高くなっており、通信環境さえあればたいていの作業は場所を選ばず快適にできます。しかしどこで仕事をしていても、生産性や効率性をもっと高めたいといつも考えています。

森部氏(以下、敬称略)PCを使っているのは人間ですから、ユーザーが自身でより便利に快適に使える環境を整えることが生産性や効率性の向上につながります。その観点から最近はノートPCにモバイルモニターを接続して、二つの画面で仕事をする人が増えています。その人たちのセカンドモニターの使い方を観察すると「横派」と「縦派」がいることが分かりました。

私はセカンドモニターをノートPCの画面の上、縦に配置して仕事をしています。コワーキングスペースなどでセカンドモニターをノートPCの横に置いて使っている人をよく見かけますが、私は生産性の観点から、横置きは効率が悪いと考えています。

森部そうなんですよね。セカンドモニターをノートPCの横に置くと、二つのモニター間の隙間が大きくなるので、画面間の視線移動距離も長くなります。視線が二つの画面を行き来する際に追うべき情報を探して目が泳いでしまうわけです。その間に不要な情報が目に入りやすくなるし、思考の中断も発生して生産性低下につながるのです。

集中して作業しているほど視界も狭くなりがちですが、モニターを縦置きすればコンパクトかつシームレスに配置できます。そうすることで集中していても両方のモニターが常に視界に収まり、作業への集中と俯瞰を両立できます。顔を動かすことなく視線のわずかな移動だけでさまざまな情報にアクセスできますから、無駄な時間やそれによる仕事の中断がなくなり、集中力も途切れません。

セカンドモニターを縦置きする
携帯可能なスタンドをDIYで自作

NECパーソナルコンピュータ株式会社
商品企画本部
本部長代理
森部浩至 氏

オフィスや自宅だけではなく、カフェや移動中の電車の中でもセカンドモニターをノートPCに縦置きして使いたいと思っていたのですが、セカンドモニターを固定するツールを探してみると持ち運んで使える製品が見つかりませんでした。そこで100円ショップで材料を買ってきて自作しました。

 最初はアンケートを書いたりするのに使うクリップボードを3枚買ってきてコの字型につないでスタンドを作り、その正面のクリップボードの上部に石鹸ホルダーをテープで貼り付けてモニターを固定するようにしました。

 使い心地がとても良く気に入ったのでFacebookに投稿すると反応が良く、改良を加えて2号機を作りました。2号機ではスタンド部分にコンパクトなまな板を使いました。まな板に穴が開いていたので、その部分にケーブルを通してスマートに使えるようにしました。

 また2号機ではオフィスや自宅だけではなく、カフェや電車の車内で使ってみて生産性が向上するかも検証しました。実際にさまざまな場所で使ってみたところ、仕事に集中できることを実感しました。

 さらに本体をコンパクトにして持ち歩きやすくしたのが3号機です。もっとコンパクトにして気軽に持ち歩けるようにしたかったのですが、この先はDIYでは限界だと考えて森部さんに相談しました。

角氏が100円ショップで材料を買ってきて自作した試作品の初号機。
試作品の2号機はスタンドにまな板を使っている。
試作品の3号機はよりコンパクトにした。2号機と3号機はカフェや電車の車内で実際に使用して、その効果を検証した。

Wing Binderを使いたいから
セカンドモニターを購入した

森部角さんの相談を受けて、木材繊維素材であるMDFと段ボールの二つの素材で試作品を作りました。段ボールは思ったよりもかさばることが分かりました。段ボールを3面で構成し、左右のパネルを畳んで持ち運べる試作品を作ったのですが、畳んでもノートPCの面積よりも大きくなってしまい、厚みも相当出てしまいました。これで素材はMDFに決まりました。

 次に奥行きが問題になりました。ノートPCとセカンドモニターをスタンドに設置した際に、画面が見やすくキーボードが使いやすい角度を試行錯誤して良いポジションを導き出したのですが、これらを安定して設置するにはスタンドにある程度の奥行きが必要でした。

 カフェで使う分には問題はないのですが、新幹線のテーブルに置いたときに少しはみ出してしまいます。奥行きを短くすることはできるのですが、そうするとモニターの角度が立ってしまい、またスタンドの安定性も悪くなってしまいます。奥行きに関しては画面とキーボードが使いやすい角度を優先しました。

 それからいろいろな厚みのセカンドモニターが設置できるようにスタンドの切り込みの形状を工夫していて、ここにはタブレットを置くこともできます。またノートPCの画面を開けた際にキーボードがリフトアップする製品に対応できるようにしています。

 この製品には角さんが名付けた「Wing Binder」という名称を付けましたが、これは第1弾で、角さんからフィードバックをいただいて第2弾を設計している最中です。

Wing Binderを私のFacebookに投稿して紹介したところ、たくさんの人が欲しいと言ってくださっていて、とても反応が良いです。実際にその人たちに製品を渡すと自身のSNSに投稿してくれて、それを通じてさらに多くの人たちから要望が来ています。商品として需要があると実感しています。

 面白いのはセカンドモニターを使っていないのに、Wing Binderを使いたいからセカンドモニターを買ったという人がいたことです。Wing Binderによってセカンドモニターの需要も高まるのではないかと、今後のビジネスの可能性に期待しています。

折りたたんだ状態の「Wing Binder」。
Wing Binderの使い方。セカンドモニターとノートPCの画面が縦にシームレスにつながっていることが分かる。
設置する際の角度は画面の見やすさ、キーボードの使いやすさから導き出した。

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