高齢者の健康寿命と生活を
“エイジテック”が支える

「Pick Out Topics」では、その時々のITトレンドの中から、今知りたいキーワードやトピックスを紹介していく。今回のテーマは「エイジテック」。高齢化が進む日本社会において、高齢者を支えるテクノロジーにはどのようなものがあるのだろうか。早速見ていこう。

Introduction
高水準で進む日本の高齢化

 2023年6月に内閣府が発表した「令和5年版高齢社会白書」によると、日本の総人口に占める高齢者の割合は29.0%。先進諸国の高齢化率と比較しても、日本の高齢化率は最も高く、今後も高水準が続く見込みだ。また総務省が2023年9月17日の敬老の日にちなみ発表した「統計からみた我が国の高齢者」によれば、総人口に占める80歳以上の人口が初めて10%を超え、10人に1人が80歳以上となったという。また、2022年の高齢就業率(65歳以上の高齢者)は19年連続で増加しており、912万人と過去最多になった。労働力人口の減少が叫ばれる中、こうしたシニア層の働き手の存在は企業にとっても重要だ。一方で、シニア層が健康に働くためには、加齢によって生じるさまざまな機能障害を予防する必要がある。例えば認知症だ。

 エイジテックの中には、そうした加齢によって生じるさまざまな困難を解決したり、早期に気が付けたりするデバイスやサービスがある。また、一人暮らしの高齢者の住宅を、IoTデバイスで見守ったり、ロボットで生活を支援したりするようなサービスもエイジテックの一つだろう。これらのIoT技術やロボット技術は、介護施設での活用も進んでおり、介護施設の職員の業務負担を軽減しつつ、入居している高齢者の生活を支えている。

Product メディカルリスニングプラグ
眼鏡のように気軽に着けたい新しい補聴器

#難聴 #補聴器 #リモート対応 #おしゃれ #日常的に使える

多くの高齢者が悩む難聴

メディカルリスニングプラグの装着イメージ。ワイヤレスイヤホンのようなスタイリッシュなデザインで、日常的に身に着けたくなるのもポイントだ。

 加齢によって耳の聞こえが悪くなる、いわゆる「加齢性難聴」。65〜75歳では3人に1人、75歳以降では半数以上が加齢性難聴と言われており、多くの高齢者が難聴に悩まされていることが分かる。この聞こえの問題を解決するため、補聴器を利用する高齢者も少なからず存在する一方で、既存の補聴器は高価であったり、聞こえ方を調整するためのフィッティングに複数回通う必要があったりと、実際に使うに至るまでのハードルが多い。そうした既存の補聴器が抱えていた課題を解決する補聴器として、シャープが医療機器製造販売業者のニューロシューティカルズと協業して開発したのが「メディカルリスニングプラグ」だ。

 メディカルリスニングプラグは、ワイヤレスイヤホンスタイルの耳穴型補聴器だ。一見するとスタイリッシュなワイヤレスイヤホンのようだが、本製品は軽度・中等度の難聴者に適した補聴器として、管理医療機器の認証を取得している。

 本製品の開発の背景について、シャープ 通信事業本部 モバイルソリューション事業統轄部 DHS推進部 参事 布浦岳人氏は次のように語る。「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保といった、ニューノーマルな生活が定着しました。しかしそれによって、会話時の聞き取りにくさを自覚する人が、以前と比べて1.5倍増加したのです。この顕在化した社会課題にどう応えていくかを考えた時に、もともとスマートフォンやモバイルの技術で活用してきた音響の技術を活用することを思い立ちました」

シャープが提供する「メディカルリスニングプラグ」。ブラックとナチュラルピンクの2色をラインアップしている。ナチュラルピンクは肌馴染みがよいため、男性にも好評だ。
メディカルリスニングプラグのパッケージ。イヤーチップはユーザーの耳にフィットするよう、サイズ別に5種類用意している。充電は同梱のUSB Type-Cケーブルからの給電のほか、ケースに内蔵しているスライド式USB Type-Aコネクターからも可能だ。

リモートで聞こえをサポート

 そうした経緯のもと開発されたメディカルリスニングプラグは、既存の補聴器にはない三つの特長を有している。

 一つ目はデザインだ。ビジネスシーンにもマッチするスタイリッシュなデザインを採用している。「眼鏡のように気軽に着けてほしい」という思いからデザインされており、一般的なワイヤレスイヤホンのように気軽に使えるのだ。機能面から見ても、高音質で音楽鑑賞ができるほか、ハンズフリー通話にも対応しているため、オンライン会議に利用することも可能だ。この気軽に使える使いやすさやデザイン性と機能性の高さから、補聴器のエントリーモデルとして需要が高く、利用ユーザーの約70%が74歳以下だという。

 二つ目はコストだ。一般的な補聴器の平均価格は30万円程度(両耳の場合)と言われている。この価格には機器の代金のほか、聞こえ方の調整や相談などの技術料が含まれている。メディカルリスニングプラグはその調整や相談を、スマートフォンの専用アプリから利用できる「COCORO LISTENING」サービスで提供している。これにより本体価格9万9,800円(非課税)を実現している。

 また、無償付帯している調整サービスは60日間だが(相談は期限なし)、3万3,000円の有料オプションをつけることで、5年間の延長保証や、盗難・紛失保証、1年間のリモートフィッティングサービスといったケアプランを利用できるようになる。初期導入コストを抑えながら、長く安心して使える補聴器なのだ。

 三つ目の特長として、前述したCOCORO LISTENINGサービスがある。一般的な補聴器は購入後、聞こえ方を調整するために複数回販売店に通い、調整を行う“フィッティング”が必要だ。「フィッティングは補聴器販売店、眼鏡店、病院などで行われますが、いずれにせよリアルの場に通う必要があります。利用者を支えるためのオペレーションとして不可欠ですが、利用者が住んでいる場所によっては、近くにそういった場所がなかったり、本人だけでは通えなかったりといった課題もあります。そこでCOCORO LISTENINGサービスでは、フィッティングからアフターサービスまでを全てオンラインで対応します」と布浦氏。

 COCORO LISTENINGサービスでは、「認定補聴器技能者」や「言語聴覚士」の資格をもったフィッター(調整者)や専門フィッティングスタッフによるサポートが遠隔で受けられる。具体的には専用のスマホアプリを介して聴力データをサービスセンターに送ってもらい、聴力データに合わせてパーソナライズ化された微調整を行う。使用開始後もテキストチャットやビデオカウンセリング、電話でのサポートによって、場所を選ばず利用者の聞こえをサポートしている。

離島の難聴者に補聴器を

シャープ
布浦岳人

 このオンラインフィッティングの有用性を検証する実証実験も行われている。2023年6月16日から12月3日まで、国立病院機構東京医療センター、神奈川工科大学、東京都島しょ部の利島村役場、利島村社会福祉協議会とシャープは共同で、利島村在住の軽度・中等度難聴者を対象に、メディカルリスニングプラグを活用した実証実験を行った。利島村は東京から南に約140kmに位置する島で、面積4.12km2の小さな島だ。島内には小さな診療所が一つあるのみで、そこで対応できない病気の場合は隣の大島まで船で移動する必要がある。もちろん補聴器販売店は島内にない。そうした医療資源が限られた地域の人々に対しても、COCORO LISTENINGサービスによるオンラインフィッティングによって、聴力のサポートが可能になる。本実証では半年の補聴器使用とオンラインフィッティング効果を確認すると同時に、6月と12月の検診時に認知機能検査も合わせて行う。これは難聴が認知機能の低下に影響するという報告があるためだ。現在は実証実験で得られたデータを研究機関側で解析している段階だ。

 ウエルシア介護サービスとの連携も行っており、茨城県内で同社の在宅介護やデイサービスを利用している高齢者に対してメディカルリスニングプラグを活用して聞こえのサポートを行う。「こうした介護サービス事業者との連携は、今後全国に広げていきたいですね」と布浦氏は語った。



Service 脳の健康チェックplus
電話をかけるだけで認知機能をチェックできる

#認知症 #早期発見 #AI活用 #即時記憶 #ワーキングメモリ #パートナー連携

早期発見が認知症予防の一歩

NTTコミュニケーションズ
横山彰之

 高齢化が進む中、大きな社会課題になっているのが認知症だ。さまざま要因によって認知機能が低下し、日常に支障が出る認知症だが、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている。認知症を発症することで生じる課題について、NTTコミュニケーションズ ビジネスソリューション本部 第一ビジネスソリューション部 ビジネスデザイン部門 主査 横山彰之氏は次のように語る。「高齢者が認知症と診断されると、金融機関はその人が使用している口座取引を制限する、いわゆる『口座凍結』を行います。これは認知症によって判断力が低下した人が詐欺などの犯罪に巻き込まれて、お金を引き出してしまうような事態を防ぐためですが、今後認知症の人が増加することでこの口座凍結の件数も増え、将来的に200兆円の資産が凍結されることが予測されており、社会課題の一つになっています」と語る。

 一方で、認知症は軽度の内であれば治療を行うことで進行を抑止したり、回復したりすることも可能だ。2023年9月25日にはアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」が薬事承認され、12月20日から発売がスタートしたが、この薬は認知症を発症する前の軽度認知障害(MCI)および軽度認知症に適用される。高齢者自身がより早期に認知力の低下に気付くことが、社会課題解決につながるだろう。

発話をAIが識別する

 NTTコミュニケーションズは、こうした認知症にまつわる社会課題の解決に向けて、世界アルツハイマーデーである2022年9月21日に、「脳の健康チェックフリーダイヤル」(以下、フリーダイヤル版)のトライアル提供をスタートした。これは20秒程度の通話でAIが認知機能の低下を確認するサービスだ。利用者は「0120-468354」に電話をかけ、音声案内に従って日付を答え、年齢を答えるといったわずか3ステップで、認知機能を確認できる。1年間運用した中で約50万コールがあり、認知機能を電話でチェックできるサービスはニーズが高いことが分かった。

 そこで2023年の同じく世界アルツハイマーデーである9月21日に有償トライアルの提供を開始したのが「脳の健康チェックplus」(以下、plus版)だ。これはフリーダイヤル版の無償トライアルを利用したユーザーから「より早期のタイミングで認知機能の低下を知りたい」といった要望を受けたもので、これまで2段階で認知機能を評価していたフリーダイヤル版と比較して、より詳細な5段階で認知機能の低下を判別する。固定電話の場合1回のチェックでおよそ60円、スマートフォンの場合およそ180円の通話料で利用可能だ。

 plus版の利用方法は以下の通り。

1「0570-012354」へ発信
2 本日の日付を発話(西暦何年、何月、何日、何曜日)
3 複数の質問に回答(4分程度)
4 回答内容や話し方からAIが認知機能の状態を判別
5 判別結果をその場でフィードバック

 フリーダイヤル版と大きく違うポイントは、聞き取った情報を数秒〜数分記憶しておく「即時記憶」と、聞き取った情報を脳の中にため、更新する「ワーキングメモリ」のカテゴリーの質問が増えたことだ。「即時記憶では『●●さんは△曜日に、…を買いました。』といったような情報を記憶し、繰り返してもらいます。ワーキングメモリでは『56,61,13,42,34……』と数字を続けていき、その聞いた数字の最後の三つを言ってもらうようなものです。これらのチェックが全て完璧にできないと認知機能が低下している、というわけではありません。回答している音声をAIが解析することで、言いよどみや声の高さ、発声が詰まると言った音声の特長から、認知機能の低下の疑いを検知します」と横山氏は語る。

企業や自治体との連携も

 plus版およびフリーダイヤル版の利用ユーザーは、約8割が50歳以上だという。これはplus版、フリーダイヤル版ともに傾向に差はない。一方で、フリーダイヤル版と比較してplus版の方が、同じユーザーが定期的にかけてくるケースが多いという。

 plus版およびフリーダイヤル版は今後、パートナー企業や自治体との連携を予定している。「各法人向けに専用のナビダイヤルを用意する予定です。これまで提供してきた2段階、あるいは5段階のチェック機能のほか、利用者の履歴管理機能や、関連情報を案内するためのSMS機能の提供も予定しています。企業さまとの連携では、アプリを提供するようなことも想定しています。その場合、ダイヤル以外の方法で音声をチェックするなど、柔軟な対応をしていきたいですね。また、音声で認知機能の低下をチェックするという特長を活用し、カラオケのようなシーンや、テレビ、見守りスピーカーと連携した、日常に即したやり方での認知機能のテストに生かせないか、検討を進めていきます」と横山氏は語った。

 最新技術と組み合わせた機能強化も検討している。現時点ではワーキングメモリや即時記憶などを検証する質問項目に答えることで、利用者の認知機能を検証しているが、より自然な会話による認知機能のチェックの仕組みも検討している。例えばAIアバターや生成AIで生成した雑談を基に、認知機能のチェックを行うような仕組みだ。また、現在は利用者側が電話をかけて認知機能をチェックする仕組みだが、今後は自治体や企業など、本サービスを提供する側から電話を発信して、都度認知機能をチェックしてもらうような仕組みの構築も検討しており、今後の機能強化に注目が集まる。



Product HANAMOFLOR
“孫”のように高齢者を見守るロボット

#介護施設 #リビング業務 #ロボット #ユマニチュード #認知症 #うつ病

施設のリビング業務に課題

 日本の高齢者人口が増加していく一方で、課題になるのが人手不足である。その人手不足は、高齢者施設でも進んでいる。そのため、高齢者施設ではIoT技術を活用した見守りデバイスやロボットを導入しているケースもある。

 ソニーグループが開発している自律移動型の見守りロボット「HANAMOFLOR」(ハナモフロル)も、そうした介護施設の人手不足解消に役立つ製品の一つだ。HANAMOFLORは、職員が複数の利用者をケアする介護業務において、手薄になりがちなリビング空間などでの見守り業務のサポートを想定して開発されている。

 介護施設で活用されるロボットというと、入浴介助などの直接介助をサポートするロボットも存在する。そうした中で、リビング空間での見守りに特化したロボットの開発を進めている背景について、ソニーグループ テクノロジープラットフォーム Technology Infrastructure Center モーションAI開発部 袖山慶直氏は次のように語る。

「HANAMOFLORの開発に当たり、2019年に介護施設でのタイムスタディ調査を行い、実際にどこに困りごとがあるのかを調査しました。すると、1日の約半分の時間、利用者が過ごす共用のリビング空間に、職員が不在になっていることが分かりました。これはスタッフ1人が複数の利用者をサポートしなくてはいけないため、居室での介護や排泄介助など個別の介護ケアに行ってしまったり、バックオフィス業務に時間を取られたりしていたためです。リビングから職員がいなくなると、特に認知機能に衰えのある利用者などは不安になり、立ち上がって動き回ろうとしたり、怒ってしまったりしてしまうこともありました」こうしたリビング空間での見守り業務を、ロボットが行うことにより、介護施設の職員の業務負担を軽減しつつ、施設利用者に安心感を提供できる。

座っている利用者に対しても下からのぞき込むような仕草で話しかけられるHANAMOFLORは、ユマニチュードという介護技術のアプローチを生かして、認知症の利用者もコミュニケーションが取りやすいよう話しかける。

体温やバイタル測定もサポート

HANAMOFLORは2歳程度の子供をモチーフにデザインされた見守りロボットだ。体長83cmと小さく、利用者に威圧感を与えにくいかわいらしいデザインで、介護施設の利用者からは「はなちゃん」とかわいがられている。

 HANAMOFLORは、高齢者が親しみやすいように子供をイメージした姿でデザインされている。高さ83cm、本体重量約20kgと、約2歳児相当の子供をモチーフにした。また音声も実際に収録した子供の声を使用しており、施設利用者にとっての“孫”のような存在として、見守り業務が行えることをコンセプトとしている。

 袖山氏は「認知機能の低下によって記憶障害がある方でも、エピソード記憶などは消えていないことがあります。特に特別養護老人ホームなどでは、平均年齢90歳の利用者の中で男女比1:9と女性の方が多いんですね。女性には子育ての記憶が色濃く残っているだろうと考え、かわいい子供を想起させるデザインにしました。体長83cmというのもポイントで、この高さだと利用者が立っていても座っていても、話しかけるときに見上げる形になります。この“のぞき込む”仕草は、『ユマニチュード』という介護技術のアプローチを実現する上でも重要です。ユマニチュードは、①ゆっくり近づく、②のぞき込んで目を合わせる、②あいさつから本題まで徐々に話を進行する、という流れでコミュニケーションを取るケア技法で、未知の物事への不安が強い認知症の利用者でも受け入れやすいのです」と語る。

 HANAMOFLORは対話やレクリエーションのほか、体温計測やバイタル計測、電話取り次ぎの機能なども実装されている。体温計測はHANAMOFLORの頭部に搭載されているセンサーによって非接触で行うが、バイタル計測(心拍数計測)はHANAMOFLORの手に内蔵されたセンサーで行うため、利用者に手を握ってもらい行う。

 電話取り次ぎの機能は、HANAMOFLORに内蔵されている機能を活用し、遠隔の家族と利用者が電話面会をする機能だ。あらかじめ電話したいスケジュールを組んでおくと、設定された時間にHANAMOFLORが利用者の元に自走して行き、電話をHANAMOFLORが発信する。すると家族側が電話に応対し、利用者と通話するような仕組みだ。「当然家族から施設に電話があれば、施設の職員が取り次ぎますが、決まった時間に電話をする場合、かかってくるまでの間職員が利用者のそばにいる必要があります。そうした職員の業務をHANAMOFLORが代替している形です」と袖山氏。

ロボットが記憶に残る存在に

ソニーグループ
袖山慶直

 これらのHANAMOFLORの機能は、現在川崎市にある個室ユニット型特別養護老人ホーム「よみうりランド花ハウス」において、2021年11月ごろから利用者も交えた実証実験をスタートさせている。実証は半年に1回、HANAMOFLORを施設に持ち込み、利用効果などを検証している。袖山氏は「現在に至るまで、合計で6回の実証を行っています。よみうりランド花ハウスで継続的に実証をしているのですが、記憶障害のある利用者がHANAMOFLORに再会した時に、『また会えてうれしい』と、以前の実証で会話したことを覚えてくれていました。また、重いうつ病で誰とも話さないような利用者が、HANAMOFLORと一緒に歌を歌ってくれたこともありました。後日話を聞いたところ、自分が楽しくて歌を歌っていたわけではなく、ロボットの希望を叶えるために歌ってくれていたことが分かりました。これはHANAMOFLORの開発コンセプトである“孫”のような存在感が非常にポジティブに受け入れられ、誰かの相手をしたり、世話をしたりすることの喜びが利用者に生まれたのだと思います」と実証実験の効果を語る。実証実験を行っているよみうりランド花ハウスでは、HANAMOFLORを「はなちゃん」と呼び、実証実験で訪れるたびにかわいがってもらっているという。

 ソニーグループとして、現時点ではHANAMOFLORの製品化の予定は立っていないが、現在事業化が検討されており、2023年11月22日から日本科学未来館の常設展示に出展されるなど、一般認知度の向上と社会の受容性の調査を進めている。よみうりランド花ハウスで行われている実証実験についても、現在は1日のみで行っている検証を複数日にわたって行うなど、継続的な検証に力を入れていきたい考えだ。