今月のテーマは……
Google Workspaceでビジネス会議を活性化する「Google Meet」
第2回から第3回にかけて、テキストでのコミュニケーション手段であるメールとチャットについて紹介しました。今回は、音声と映像を使ったコミュニケーション手段であるビデオ会議ツール「Google Meet」について取り上げます。

庄司大助(Dandy) 氏
所属:グーグル・クラウド・ジャパン
   パートナーエンジニアリング本部
役職:パートナーエンジニア
経歴:大学卒業後、日系の中堅企業のIT部門
   でITインフラ担当者として、入社後、
   自動車系IT企業にて、ネットワークエ
   ンジニアを経験。その後、マイクロソ
   フトにて、10年以上にわたり、オンプ
   レミスからクラウドまで幅広くプリセ
   ールス活動に従事。現職に至る。
宮崎悦子(Kiki) 氏
所属:グーグル・クラウド・ジャパン
   パートナーエンジニアリング本部
役職:パートナーエンジニア
経歴:外資系IT企業でオンプレミス・クラウ
   ド製品に関するカスタマーサポートに
   従事した後プリセールス活動に従事。
   得意分野はSaaS、コミュニケーション
   コラボレーション製品。使っていてワ
   クワクするサービスが好き。

会議システムのトレンド

 コロナ禍において、リモートワークを半ば強制的に始めることになり、その環境整備を慌てて行われた企業さまは、多いのではないでしょうか。その中でもキーとなるビデオ会議は、「2021年度の企業IT動向調査報告書」(日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)公表)によりますと、利用率が73.8%で、活用が一気に進みましたが、その反動で、アフターコロナのニューノーマルな時代ではこの分野への投資が減ると予測されています。ただし、導入しただけでうまく活用できているかどうかは別問題です。慌てて導入したシステムは、概してつぎはぎとなり、システム間の連携や使い勝手、見た目もバラバラで、社員に広く浸透しない可能性があります。

青い波線が雑音を表している。ノイズキャンセリングを使用すると周囲の雑音を大きく抑えられる。

Google Meetの特長

 Googleの「Google Meet」であれば、ビデオ会議ツールを社内に浸透させることが可能です。Google Meetは、誰にでも使いやすく、直感的に操作してもらえるように開発しているのはもちろんのこと、AIの機能を活用し、より快適に会議に参加できる工夫を盛り込んでいます。

 まず一つ目は、「ノイズキャンセリング」機能です。リモートワーク環境では必ずしも、静かな場所で会議に参加できるとは限りません。雑踏の中を歩きながら会議に参加することになったり、音楽の流れるカフェから参加したりする場合もあるでしょう。そうした状況で、Google MeetのAIが人の声だけを判別し、そのほかのノイズを除去するノイズキャンセリング機能によって、会議に参加している相手側にクリアな音声を届けられるのです。

 二つ目は、「字幕」機能です。人の音声を認識できることから、文字の認識も可能です。海外とのやりとりといったリスニングのスキルが必要な場合も安心です。現在は、英語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語に限られていますが、日本語など、そのほかの言語もベータ版として、将来的に文字起こしの機能をリリースするべく、精度を高めています。読み書き中心で英語を学んできたシニア世代の私にとっては、目で字幕を見るだけでも、理解度は上がりますし、少し安心して会議に臨めます。また、聴覚に自信のない方は、口の動きを見て相手のメッセージを理解しようとされるそうですが、昨今のマスク着用により、口元が見えず、リアルタイムで会議に参加して、積極的なコミュニケーションを取ることが難しくなっています。字幕機能により、この問題もクリアになりますので、誰もが平等に円滑なコミュニケーションを実現できるGoogle Meetの有用性を実感していただけるでしょう。

 字幕を出すだけでなく、同時翻訳も可能です。現時点では、字幕の翻訳機能も言語は限定的ですが、対応言語が広がりますと、近い将来、言語の壁をなくし、グローバルで気軽に誰とでもコミュニケーションを取れる世界がくると期待しています。

業種業態を問わず活用できる

 ビデオ会議は、デスクワークを主とするインフォメーションワーカーのもので、現場の最前線で働く業務には、無縁のものだと考えている方も多いのではないでしょうか? そんなことは全くなく、さまざまな業務シーンで活用いただいていますので、その一例を紹介します。

 まず一つ目は、製造現場での利用です。工場で働く作業員が、現場で起きたトラブル、故障の際に、タブレットとUSBカメラを使い、ビデオ会議で本社のエンジニアに接続し、現場の故障箇所などの映像を本社に送付、指示を仰ぐといった使い方をされています。

 二つ目は、ドラッグストアでの利用です。薬によっては、薬剤師から説明を受けた上でないと購入できない薬があります。このため、各店舗では薬剤師を常駐させています。しかし、複数の店舗を展開するチェーン店で薬剤師を常駐させることは、人材確保の面でとても大変です。そこで、限られた薬剤師を本社に一括配置し、店舗から該当の薬を購入したいお客さまが来店された際に、店舗スタッフが本社の薬剤師にタブレットを用いて接続し、お客さまにリモートで薬剤師の説明を受けてもらうことで、薬剤師がその場にいなくても薬が購入できるというスタイルを実現しています。人材確保だけでなく、薬剤師不足のために店舗の拡大ができないといった課題をITで解決できる、とても素晴らしいケースです。

 最後は、ブライダル事業での事例です。ブライダルコーディネーターと結婚予定のカップルとの打ち合わせに利用されています。通常、ビデオ会議ツールを使用するには、参加者同士の端末にソフトウェアのインストールが必要ですが、Google Meetでは、ソフトウェアのインストールは不要です。Webブラウザーが利用できる環境さえあれば、いつでも打ち合わせを行えます。これは結婚予定のカップルだけでなく、B to Bのビデオ会議においても同じことが言えます。自社の会議システムに合わせて、取引先に会議ソフトウェアのインストールを強要するようなことはなかなかできません。Webブラウザーであれば、ほぼ全ての端末にすでにインストール済みで、インストールされていないというケースの方が珍しいでしょう。会議参加者の環境がすでに整っていることから、すぐにビデオ会議を始められます。

 そのほかにも、紹介していない機能はたくさんありますが、使いやすさ、機能の充実さといった点が評価されて、実際の利用者を対象に満足度を調査した「オリコン顧客満足度調査ランキング」(2022年10月3日発表)において、ビジネスチャットと共にビデオ会議ツールでも1位に選ばれました。Google Meetは自社での活用、また、他社への提案に自信を持ってお薦めできるビデオ会議ツールです。