なぜ「AMD搭載PCが今、アツい!」のか
やがて訪れるエッジでのAI活用を先取り

2023年、日本HPはAMD CPUを搭載した法人向けPCとワークステーションを相次いで発売した。同社がAMD CPUを搭載したワークステーションを販売するのは久しぶりのことだ。そして同社は「AMD搭載PCが今、アツい!」と訴え、「パフォーマンス性の高さに疑いの余地なし」と自信を持ってAMD CPU搭載PCをアピールしている。なぜAMD CPU搭載PCが今アツいのかについて、高いパフォーマンスが求められるワークステーションにフォーカスを当てて解説していただこう。

スパコンの性能をそのままPCに搭載

峰岸氏(以下、敬称略)🅜ずばり、ワークステーションにおけるAMD CPU搭載モデルの魅力は何でしょうか。

大橋氏(以下、敬称略)🅞結論から申し上げますと、AMD CPUには絶対的なパフォーマンスの高さと優れた省電力性能を高度に両立させていることと、この特長がもたらす高いコストパフォーマンス、そして業界に先駆けてAI専用のプロセッサーであるNPU(Neural network Processing Unit)を搭載しているという大きく三つの魅力があります。これらはワークステーションに限らずPCにとっても非常に大きな魅力です。

 ご存じの通りワークステーションは製造業での製品の開発や建設業での設計、そしてクリエイティブ分野での映像やグラフィックの制作、ゲームの開発などで利用されるため、非常に高いパフォーマンスが求められます。その一方でワークステーションは電力消費が大きいというイメージがあります。

 実際にオフィス業務向けのPCと比較すると、より多くの電力を必要とします。電源が確保できる場所ならば問題はありませんが、モバイル環境ではバッテリーでの駆動時間が短くなってしまい仕事に支障を来すかもしれません。

 例えば建築業では営業職だけではなく設計職の社員も施工現場や客先へ外出することが多く、モバイルでもパワフルなマシンをバッテリー駆動で長時間利用できることが求められます。

 そこで昨年7月より販売している「AMD Ryzen PRO 7040HSシリーズ プロセッサー」を搭載した法人向けモバイルワークステーション、14インチモデルの「HP ZBook Firefly 14 G10 A」と15.6インチモデルの「HP ZBook Power 15.6 G10 A」をラインアップしています。

関根氏(以下、敬称略)🅢AMD Ryzen PRO 7040HSシリーズ プロセッサーには「Zen 4」マイクロアーキテクチャが採用されており、これはスーパーコンピューターにも採用されています。昨年11月14日に発表されたスーパーコンピューター性能ランキングの「TOP500」では、一世代前の「Zen 3」を採用した「AMD EPYCサーバー・プロセッサー」搭載マシンが4期連続で世界トップを獲得しました。

大橋🅞パフォーマンスと省電力性能の両立は、デスクトップでも重視されます。例えば製造業の製品開発において、設計したデータを基にCAE(Computer Aided Engineering)ソフトを用いて、さまざまなシミュレーションをデスクトップワークステーションで行います。

 非常に複雑な解析を長時間にわたって実行するため、電力消費が非常に大きくなります。しかし高騰する電力コストの削減やESG(環境・社会・ガバナンス)への対応から、デスクトップワークステーションには省電力性能も求められます。

 そこでHPではデスクトップワークステーションにもAMD CPUを搭載した「HP Z6 G5 A」をラインアップしています。デスクトップワークステーションをパフォーマンスアップするには、CPUを2ソケット(2個)搭載することが一般的です。

 HP Z6 G5 Aに搭載される「AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WX シリーズ プロセッサー」は一つのCPUに最大96個ものコアを搭載できるので1ソケットで幅広い性能要件に応えることが可能で、省電力とコストパフォーマンスにおいて非常に有利になります。

(左)日本AMD コマーシャル営業本部 セールスエンジニアリング担当 マネージャー 関根正人
(中)日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 本部長 大橋秀樹
(右)日本AMD コマーシャル営業本部 パートナビジネス推進室長 峰岸博英

AI活用はクラウドからエッジへ広がる

大橋🅞すでに業務でのAIの活用が始まっており、AIを導入する企業が増加を続けています。しかし一方でAIの言語モデルや推論はクラウド上で提供されており、クラウドを利用することへの抵抗感を持つ企業も少なくありません。

 例えば製造業では設計データは門外不出の知的財産であるため、クラウド上で扱うことに対して慎重にならざるを得ません。クラウドでAIを利用する場合、自社の設計データが言語モデルに学習されてしまう可能性があり、競合の推論に利用される恐れがあります。そのため今後はエッジのデバイスでAIを利用するニーズが拡大するとみられます。

 これまでPCやワークステーションでAIの推論処理を行うには、高性能なGPUを搭載する必要がありました。ところがNPUを搭載する高性能なCPUの登場によって、高性能なGPUを搭載しなくてもNPUを搭載するCPUのみで推論処理が行えるようになりました。また言語モデルについても設計やCADで扱うデータは数字が多く、オフィスの業務でも数字や文字が主体ですので、テキストベースの言語モデルを構築すればデバイスでの利用が可能となり、モバイルワークステーション上でもAIの処理が行えます。

 今後はセキュリティ対策や自社のノウハウの蓄積を目的にエッジでのAI活用の需要が大きくなり、対応するアプリケーションが充実していくとみています。昨今はPCのライフサイクルが3年程度と短くなっていますが、ワークステーションのライフサイクルは5年が一般的です。

 これから3年間あるいは5年間にわたって使用するPCやワークステーションにNPUが搭載されていないことは、やがて必ず実践しなければならないAI活用の促進を妨げる要因になり、競合に対する競争力の低下が危惧されます。ですから今から導入するPCやワークステーションはNPUを搭載する製品を選ぶべきです。

「AMD Ryzen PRO 7040HSシリーズ プロセッサー」が搭載される日本HPのモバイルワークステーション、14インチモデルの「HP ZBook Firefly 14 G10 A」(左)と15.6インチモデルの「HP ZBook Power 15.6 G10 A」(右)。
最大96コア搭載可能な「AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WX シリーズ プロセッサー」が搭載される日本HPのデスクトップワークステーション「HP Z6 G5 A」は、1ソケットで幅広い性能要件に応えることができる。

エッジ向けAIアプリが今すぐ開発できる

関根🅢AMD Ryzen PRO 7040HSシリーズ プロセッサーはNPUである「AMD Ryzen AIエンジン」を搭載しており、これを搭載した日本HPさまのHP ZBook Firefly 14 G10 AおよびHP ZBook Power 15.6 G10 AはAIレディなワークステーションとして、約1年前から販売されています。

 AMD Ryzen AIエンジンが提供されてから1年の間に、エッジでのAI活用に向けた環境が整ってきています。例えば「Hugging Face Hub」には、AMD Ryzen AIエンジンに最適化されたオープンな学習済みの言語モデルが6万以上公開されており、AIを活用したアプリケーションがすぐに開発できる環境が整っています。

大橋🅞AMD Ryzen PRO 7040HSシリーズ プロセッサーを搭載するモバイルワークステーションのHP ZBook Firefly 14 G10 AとHP ZBook Power 15.6 G10 Aは、ソフトウェア開発にも最適です。また20万円を切る価格から提供していますので、例えばExcelで大容量のデータを扱う業務や、画像を多用するプレゼンテーション資料の作成、プロモーション用動画の制作など、パワフルなPCとしてオフィス業務にも活用いただけます。

峰岸🅜AMD Ryzen PRO 7040HSシリーズ プロセッサーはビジネス向けのAIレディなPCやワークステーション向けのCPUとして、いち早く市場に提供しました。AMD Ryzen AIエンジンに最適化されたさまざまなビジネスアプリケーションも、いち早く市場に充実していくと期待しています。今から導入するPCやワークステーションは、AMD搭載製品が間違いなく有利で「アツい!」のです。